復縁
エドガーの放った魔術は、風に乗って燃え広がり、周囲を焼き尽くした。そればかりか、インフェルノと同じ威力の魔術が同時に放たれ、インフェルノで応戦するも、私の魔力量の方が少ないのか、押し負けそうになっていた。
「ウォータースプラッシュ!!」
後ろにいたユリウスが飛び上がると、周囲一帯を取り巻いていた炎を水魔術で消し飛ばしていた。それを見て、周りにいた近衛騎士達も、息を切らしながら立ちあがった。
「アイリス、ごめん……」
ユリウスは一度着地すると、帯剣していた剣を抜き、地面を蹴って再び飛び上がった。
風魔術を使ったのか、ユリウスはエドガーのいる上空まで飛び上がると、手にしていた剣でエドガーに斬りかかった。
「ユリウス!!」
私は思い出していた。ユリウスが初めて戦争へ行った時に、一人で行かせたくなくて、一緒に行ったことを。ユリウスを失うかもしれないと知って、死ぬほど心配したことを。ユリウスがエドガーに斬りかかった瞬間、私の中の世界が崩壊する音がした。
「ユリウス、だめ────!!」
一方、エドガーはユリウスの剣を躱すと、空高く舞い上がり、何処か遠くへ飛んでいった。
私は地上に降り立ったユリウスに駆け寄ると、叫びながらユリウスに抱きついた。
「何て無茶するの?!」
「キース様、申し訳ありません」
「もう二度と、こんな無茶はしないで」
「お約束は出来ません」
「なっ……」
「キース様の命が、私にとって何より大切ですから」
そう言ったユリウスは、肩までしかない私の髪を掴んで、髪にキスを落とした。
「私に、まだチャンスがあると思っていいのでしょうか?」
「ユリウスのばか……」
私はユリウスに抱きつくと、自分からユリウスにキスをしたのだった。




