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共存への道

「どっちって──そんなの、比べられないだろう? どっちも大事だ。国の存続と恋愛では、比較の対象にならない」


「では、国や世界が滅ぶとき、そなたは恋人の側にいて最後を迎えるということか?」


「いや、エドガー殿も、参加しないでください」


「陛下。心配いりません。私は、どんなことがあっても、陛下のお側を離れたりすることはありません。共に参り、共に最期を迎えましょう」


「いや、世界が滅ぶ前提で話をされても困るよ、ユリウス」


 私が軽く窘めると、ユリウスは何故か照れ笑いをしていた。


「話が逸れたが、エドガー殿。どうだろう? この新興国カルム国へ住むというのは。もしくはアーリヤ国でも構わない。交渉してみよう」


「アーリヤ国への交渉は私が請け負います。その時は、遠慮なく仰ってください」


 スピンズ王子の言葉に、村長であるエドガーは、困りきった顔をしていた。


「ありがとう。しかし、私達魔族は、魔族として生き延びるつもりはない。魔族であることを隠して、人間として生き延びる。それが、私たち魔族のとれる最終手段だ。時期が来れば、人間に紛れて暮らす覚悟は出来ている」


「では、まずは私達の国へ来てくださいますか? どうするか決めるのは、それからでも遅くはないと思います」


「分かった。今回は、キース殿の言葉に甘えよう。村の皆と話して、問題がなければ、カルム国に住まわせてくれ」


「ありがとう、エドガー殿」


「いや、礼を言うのはこっちだ。魔族の未来を、一緒に考えてくれてありがとう」


 エドガー殿が手を差し出したので、私も手を差し出して、固い握手を交わした。それから、魔族の移住先について、お互いの情報を交換しながら話し合ったのだった。




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