新しい未来の創造
「魔素の融合というのか、何というか……」
「融合？」
「簡単に言うと、融合したことにより、より燃えやすくなったってことさ」
「より燃えやすいって、不味いんじゃ……」
「ああ。だから、君たちの力を借りたい。下手したら、インフェルノより、もっと凄い大爆発になるだろう」
「インフェルノより凄い爆発──見てみたい気もしますが、世界が滅びそうですね」
「世界が滅ぶ？」
スピンズの言葉に、私は眉を顰めた。この時の私は、この時代に転生する前に、ノーム様から聞いていた、世界の滅びについての話を思い出していた。この世界は、どうあっても滅ぶ運命にあるのだろうか。
「そうならないためにも、君たちの力を借りたい」
「あの、魔族の方々が私達と一緒に住むわけにはいかないのでしょうか？ 昔ほど差別はないですし、お約束は出来ませんが、必ず私の国で生活出来るようにします」
「ありがたい話だが、私たち魔族は人間に何度も裏切られている。そう簡単に、信じられないさ。それに、人間とは価値観や考え方がだいぶ違う。それを全て埋めるのは、ほぼ不可能だ。それが出来ていたら、今まで何度も戦争なんか起きなかったはずだ」
「ずっと、隠れて生きていくつもりですか？ 今は、いいかもしれません。でも、このまま同じ生活を続ければ、その内また同じ様なことになると思います。世界が滅ぶ危険を未来の子供に託せますか？」
「そう言われると……」
「自分たちが生き延びることを考えるのは、確かに大切かもしれません。でも、世界は変わりつつあります。それに目を向けずに、終わらせないでください」
「……」
「世界がどう変わったのか、一度、あなた方の目で確かめてください。空間魔術を行うのは、それからでも遅くないはずです」
「あんたのいうとおりだ。そうかもしれないな」
「えっ、僕の出番は無しですか？」
「そうでも無いよ」
私はスピンズ王子の肩を叩くと、お互いの今の生活について話をしたのだった。
