表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/89

ネモフィラ嬢の婚約者

「それで、一時的にでもいいから、私が婚約者になるように。と言われました」


「ユリウスが?」


「何でも、娘を泣かすような奴の所に嫁に行かせることは出来ないと──怒りを静めるのだけで精一杯でした。謀反でも起こしかけない雰囲気だったので、ひとまず私が婚約者になる事に……」


 私は半眼でジークのことを見つめていた。ゲームのことは、すっかり忘れていたが、無意識のうちに何かのフラグを立ててしまったのだろうか。


(ジークが示談だなんて、訳が分からないことを言うからよ)


「ユリウスは、それで良かったの?」


「いいか悪いかと言うより、仕方が無いという感じですね。どうやら、カルム伯爵はジークのことを、あまり良く思っていないみたいです。ネモフィラ嬢は、ジークの事を、たぶん前世から好いていると思うのですが……。申し訳ありません」


 ユリウスになったエリオット様が、ジェイドであるネモフィラ嬢と婚約──そう想像しただけで目の前が真っ暗になった。確かに二人は端から見ればお似合いだ。


 ユリウスがエリオット様だと分かった時点で、ネモフィラ嬢にユリウスと結婚する意思は無いのだろう。でも、基本的に貴族の結婚に本人の意志が反映されることはない。


 国王は国のためにある存在だ。自分が幸せにならなければ、国民も幸せになれないとは思うが、それが他人の幸せを踏みにじっていい理由にはならない。


「所詮、私に国王なんて無理なのよ」


 私はそう言い捨てると、手にしていた書類を机の上に放り投げ、私室にある転移陣でアーリヤ国へ逃げ帰ったのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ