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泉のある屋敷

 その後。新しく編成された魔術師団の力を借りて、大量の魔術陣が描かれた石が完成した。ジーク考案のブラックヘアンと魔力増強装置も完成し、あとは敵地へ乗り込むだけとなった。


 新しく編成された魔術師団は、アーリヤ国から連れて来た魔術師から編成されていた。その中には孤児院出身者も多く、前世と同様に魔術師団の団長を、ジークへ任せようとしたら、断られてしまった。


「また魔術師団団長兼、騎士団団長兼、護衛なんてことに、なりたくありません」


「……」


 そんな事がありつつも、私はユリウスとジーク、それから騎士団員を引き連れて、平民を装いながら、数日ずつ人を変えて森の中へ入った。


 荷馬車に魔術具や魔術師が描いた石をのせて、識る力を使って森にある魔素を吸収していった。予め用意してあった魔石に吸いとりすぎた魔力を魔石へ込めると同時に、周りに気づかれないように、魔素を吸いとる魔術陣が描かれた石も、さり気なく置いていった。


 数日かけて、少しずつ森の奥まで進んでいくと、以前に来た森の泉付近まで来ていた。幻影の魔術を解呪薬で解呪すると、以前来た時と同じように、目の前に二股の道が現れた。


「フロウ フローム ウィンドウズ!!」


 私は風を使った浮遊魔術で上空まで舞い上がると、辺り一面に解呪薬をバラ撒いた。風圧を利用して少しずつ下降していったが、地面に着地する前にユリウスに、抱きとめられた。


「「「!!」」」


 二股の道があると思われた場所には、大きな屋敷が現れた。屋敷のすぐ側には、小さな泉がある。


「これは……」


「キース様!!」


 屋敷の中からはジュールが出て来て、こちらへ手を振っていた。私達は、幻を見るような気持ちで、少しずつジュールへ近づいていった。


 幻影の魔術かと思い、少し手前でジークが解呪薬をぶつけていたが、ジュールの姿は変わらなかった。痛がる様子もなく、こちらを見て微笑んでいる。


「キース様、これは罠かと思われます」


 ジークに耳元でそう囁かれたが、まるで頭に入って来なかった。私はジュールに吸いよせられるように、近づいていった。



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