表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/89

術の範囲

 魔の森へ着くと、識る力を使って片っ端から魔素を吸収していった。無謀かもしれないと心のどこかで思っていたが、自分に出来る1番の方法だとも思っていた。


「ウィンドフリッティング!!」


 吸収した魔素を魔術へ変換して、風魔術を放ち、上空へ風を巻き起こした。木の葉が空へ舞い上がっては、舞い降りてくる。何度も吸収して放出するうちに、小さな風が互いに影響し合ったのか、小さな竜巻が出来上がっていた。


「うそ……」


 私は風がこちらへ向かって来るのを、ただ呆然と見つめることしか出来なかった。


「モラリム ウォール!!」


 いつの間にかユリウスが後ろにいて、私が突風に巻き込まれないように、土壁を作ってくれていた。もともとユリウスに貸していた魔術具には、それぞれの属性を少しずつ付与していたのだ。


「ユリウス……」


「陛下。1人で森の魔素を全て吸いとるなんて無謀過ぎます。今すぐ対策を立て直しましょう」


「でも、ジュールが……」


「陛下が、そのような状態では、魔女の思うつぼです。あなたは、自分の体力が尽きるまで、森の魔素を吸収し続けるつもりだったのですか?」


 そうだ。もともと無尽蔵にあるような気がしていたキースの魔力量は、底なしではない。いくら多いからといっても、森の魔素を全て吸いとることに魔力を使い続ければ、全て吸いとる前に力尽きてしまうだろう。


 少し考えれば分かることだったが、ジュールがいなくなって、少し冷静さを欠いていたようだ。


「対策を立て直します。一度、城へ戻りましょう」


「そうですね。その方がいいでしょう」


 私はユリウスの手を取ると、馬に乗って城へ戻ったのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ