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幻影の魔術

 次の日の明け方になって、ジークが城に仕える従者や護衛騎士を引き連れて戻ってくるという知らせを受けた私は、朝食の後に応接室へ来ていた。


 近くまで出迎えても良かったのだが、次期国王が頻繁に表に出るのも良くないと思い直し、ジュールとユリウスで応接室を立食パーティーの会場に作り変えて、歓迎会の準備をしていた。


 今まで閉鎖していた城の一部を開放出来るとあって、城のみんなは仲間の到着を待ちわびていた。


 ────その時だった。


 爆発音が聞こえて、建物が崩れ落ちる音が城門の方角から聞こえた。応接室で準備をしていた私達は、何があったのか理解できずに、固まってしまう。


「火事だ、火事だぞ!! 逃げろー!!」


 たちまち炎が燃え広がり、人々は逃げ惑う様に、城の中を右往左往していた。応接室を出た先の広場には、それぞれの部屋から出て来た人達で、ごった返していた。


「避難通路は、こちらだ。みな、押し合わずに一列になって外へ出るように。ジュール、ユリウス!! 誘導をお願い出来るか?」


「「はっ!!」」


 ユリウス達が広場へ向かった後、後ろからジークの声が聞こえた。


「キース様!!」


「ジーク、無事だったか。城へ来た人達はどんな様子だ?」


「ご安心ください。城の外に待機させております。少々お待ちを」


 ジークは、私の脇をすり抜けると炎の中へ突っ込んでいった。


「ジーク!!」


 ジークは、何故か粉のような物を、炎へ向けて投げていた。私が呆気に取られていると、粉が掛かった場所から、たちまち炎は消えていった。


「まさか──幻影の魔術か?」


「はい。キース様、お気をつけください。幻影の魔術を仕掛けた人物は、おそらく城の中にいます」


「ジーク。そもそも城の中に、幻影の魔術を使える人がいるのか?」


「城の中──まさか?」


 ジークはサイモンのいる場所を私に聞くと、応接室へ駆けて行った。ジークの後を追いかけて部屋の中へ入ると、ジークがサイモンめがけて袋の中の粉を、思いきり投げつけている所だった。


「ジーク様、何をっ……」


 すると、みるみるうちに幻影の魔術が解けて、サイモンの姿がおばあさんの姿に変わっていた。




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