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エスコート

「モネ、言っちゃダメでしょう?」


「え? 側近の方はご存じなんですよね?」


「もしかして、知らなかったのは俺だけですか?」


 サイモンは落ち込んでいるのか、顔が青ざめていた。私が女性で落ち込むとは何事だろう。


「彼は見習いの側近で、ジークとユリウスが許可しなければ、2ヶ月で終わる臨時職員みたいなものなの。人手が足りなくて、やりたいと言うから、試しにやらせているだけなのよ」


「そうでしたの」


「き、キース様が女性……」


 サイモンは、私が女性でショックだったのか、しばらくの間、その場に立ち尽くしていた。


「サイモンは、私が女性で残念だったの?」


「いえ、そういう訳では──私の恋愛対象が男だっただけで、キース様が嫌いな訳ではございません。あの、気分を害されたようであれば、申し訳ありません」


「気にすることないわ」


「キース様、この方は私達のお知り合いに似ておりますが、性格は随分と違うのですね」


「ええ。全くと言っていいほど似ていないわ」


(ああ、もう、エリオット様!! 何処にいるんですか?!)


 この世界にエリオット様がいるのであれば、世界中を旅してでも、探し回りたかった。しかし、国王になるという今の立場を考えると、迂闊に動けない。しかも下手に動けば、周りの人間に危害を与えてしまう可能性も、なくはなかった。


 キースだった時の記憶が無いのであれば、王家の人間関係などは気にせずに自由に動き回ればいいのかもしれない。けれど、記憶が無いのに動き回るのは、あまりにも不自然だろう。


 それに、探しに行くにしても、この時代の階級制度や社会情勢などの情報が不足している気もしていた。


「人が集まるまでは、山のようにある仕事も終わらないしね」


「キース様? 私もお手伝いしますわよ?」


「いえ、それよりも、城を案内しましょう」


 私はネモフィラ嬢の前へ手を差し出した。エスコートするのは、意外と難しいんだなぁと思いながらも、ほとんど見たことのある城の造りや部屋を、順に案内して回ったのだった。




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