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尋問

 逃げた商人を探し回っていたが、どこを探しても見つからなかった。夕方になって街の宿屋へ戻ると、ジークがフード付きのローブを着た人間を縄で縛り上げていた。


「キース様」


「見つけたの?」


「はい。街の教会で祈りを捧げているところを発見致しました。おそらくは、神に自分の犯した罪の内容を告白して、懺悔していたのでしょう。おい、お前──懺悔するなら、その前にキース様へ説明しろ」


「ジーク、ここは人目があります。私の部屋へ連れて行きましょう」


 いつの間にか宿屋の宿泊客が集まって来て、物陰からこちらの様子を伺っていた。入り口で尋問をしようものなら、宿屋の評判が落ちてしまうだろう。


「承知致しました。ほらっ、立て!!」


 ジークは縛っていた縄を引っ張り上げると、商人を2階にある部屋へ連れて行った。薄汚いフード付きのローブを着た青年は、髪色を隠しているのか、フードを被っていた。俯きながらジークの様子に怯えている。


「ジーク、事情を聞くだけよ。乱暴しないで」


「キース様は甘すぎですよ。そんな態度では、犯罪者がつけあがってしまいます」


「彼が犯罪者と決まった訳では……」


 階段を上りながらジークと話していると、ユリウスが後ろでクスクスと笑っていた。


「ユリウス? なんで笑ってるの?」


「いいえ。ただ仲がいいな、と思いまして」


「今の会話で、どうしてそんな風に思うのよ?」


「陛下、着きましたよ」


 部屋へ着くと、ユリウスが客室のドアを開けて、私達に中へ入るように促した。



※※※※※



 狭い部屋の中で私が椅子に腰掛けると、ジークが私の前に商人を連れてきた。特にこれといった罪は犯していないと思われたが、あの絵の出どころや逃げた理由が気になっていた。あの絵自体が、この世界を滅ぼすきっかけには、ならないとは思うが、気になることは早めに聞いておいた方がいいだろう。


 尋問するために、私はジークへ目配せして合図を送った。すると、ジークは商人を私の前へ跪かせ、フードを無理やり外した。そこには、かつて私の伴侶だった人物に、そっくりな青年がいた。


「──エリオット様?」




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