重複
「・・・意味がわからないんですけど。」
話の文脈が読み取れない。
どういうことなんだ。
恐らく僕に文才があると思っていて、それを使って殺して欲しい?って、どういうことだ。
「私ね、ずっと生きてるのが苦しいの。
こうすれば工数かけずにスムーズに事が進むってことだけはわかる。
でもそれって私の意思じゃないの。
誰かを大切に思ったり、慮ったり、自分の気持ちを大切にしたりできないの。
自分の気持ちをうまく話せないの。」
「どうしてですか。そういうのうまくできたから生徒会長になれたんじゃないんですか。
演説って自分のマニュフェストを掲げて、自分の理想を掲げて、それにプラス自分の気持ちを付け加えて話すじゃないですか。それも人前で。
なのにうまく話せない。気持ちを大事にできないって、矛盾してませんか?」
そう告げると、先輩は少しだけ渋い顔をして考える仕草をした。
「今は家庭環境が複雑だったっていう言葉のニュアンスで受け止めて欲しいかな。あまり詳しくは言えないの。」
家庭環境のことは流石に深くは突っ込めない。
でも結局先輩が僕に具体的に何をどうして欲しいのかすら1ミリもわかっていない。
「わかりました。僕も流石に他人の事情に口を挟むことはしたくないので、詳しくは聞きません。
でも結局先輩は僕にどうして欲しいんですか?」
「私の気持ちを、人生を、君の言葉で小説にして成仏してほしい。」