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美瑠としおり  作者: 氷見
1/8

翼をくださいはドナドナの続編だと思うんだ

 一応「過去を見る力のその先」と同じ舞台の話。そっちの方には今のところ「相原しおり」が登場する予定はないけど、豊島マナという共通の知り合いがいる2人が出会わないわけも無いという事で。

 読んでもらおうという気もなく、ただ楽しく書いてるだけ。

 検索で引っかかる事もほぼ無いぐらいにキーワード設定もしてない。あらすじも1行しか書いてない。

「翼をくださいってドナドナの続編だって思った事ない?」


 親友である豊島マナ…マナちゃんの命の恩人だという美瑠クン。面白い子だから一度逢ってみるといいと言われ彼の引っ越しにマナちゃんと一緒に彼の家に押しかけてしまった。

 初対面の私に対しても特にイヤそうな顔もせずに歓迎してくれたし、その特徴あるしゃべり方は確かにそれだけで面白い。けど、それだけ…普通の子って印象。だから、前々から思っていた事をちょっと話してみた。誰も…マナちゃんですら乗ってきれくれなかったこの話。美瑠クンは付き合ってくれるだろうか。


「なるほど、面白い着眼点なのだ、相原しおりさん」おぉぉ、乗ってきてくれた。そしてマナちゃんが言ったとおり普通にフルネームで呼んでくる。もう、この時点で十分面白い。ただ毎回フルネームで呼ばれるのはやっぱり面倒くさい。

「マナちゃんにも言われなかった?フルネームで呼ぶなって。相原さんでお願いするね」

「わかったのだ。ただ続編といういには…子供の頃夢見たというのはおかしいのだ。ドナドナは確か仔牛なのだ。可愛い仔牛さんのはずなのだ。それが子供の頃とかそれは無理があると思うのだ」

「美瑠クンは小学生ぐらいの時に、幼稚園とかそれぐらいの時の事を子供の頃はとか思ったり言ったりしなかった?」美瑠クンの言い分は確かにその通りだとは思う、けどそれは大人の勝手な視点だ。仔牛さんからすればもっと小さかった頃の事を子供の頃と言うかもしれないから。

「相原さんはやっぱり結構鋭いのだ」

「アンタら、何バカな事言ってんの?鋭いとか鋭くないとかそういうレベルの話じゃないじゃん」せっかくこの話に珍しく乗ってくれた人が出てきたのにマナちゃんが無粋なツッコミを入れてきた。

「では、豊島さんはどう思うのだ?」そうだよ。自分の意見も無しに否定とか有り得ない。

「そもそも続編じゃない。以上」…何……それ?…美瑠クンの方を美瑠と彼も同じように驚愕の表情を浮かべている。

「待つのだ。だから今、相原さんと2人で続編であることを証明しようとしているのだ。今のところ無理はないのだ」

「そうだよ。どう考えたって続編なのに。何の理由もなしに続編じゃないとか。いい?ゆっくり説明するからちゃんと聞いててね?」私は愛すべき親友にもわかりやすいように順に伝えるべく説明を始めた。


「まず、売られてゆく仔牛さんは故郷の牧場が恋しかった」

「故郷は誰しもとまでは言わないけど、嫌な思い出がないなら好きなものなのだ」

「うん、でも仔牛さんは強制的に連れ出された。ヒドい話だよね。それで仔牛さんは翼さえあれば故郷の牧場に帰れると思った」

「でも、そこは少しおかしいのだ。仔牛さんのサイズ次第とは思うものの、牛に翼が生えてもそれはただ翼の生えた牛というだけでどうにもならないと思うのだ」

「でもさ、虎に翼って言葉あるし、翼生えると何か強くなるのかもしんないよ?」

「そもそも仔牛さんはどういう状況なのだ?私のイメージでは何となく閉じ込められているイメージがあるのだが」

「荷馬車っていうから、現代のトラックみたいなイメージで考えちゃいけないんじゃないかな?普通に飛び出そうと思えば飛び出せるんじゃない?翼があればそこからふんわりと着地出来るとかさ」

「でも、翼をくださいでは、翼を広げて大空を飛びたいと言っているのだ。無理なのだ。もしかしたら豊島さんの方が正しいかもしれないのだ。…何か続編じゃない気がしてきたのだ」ここまで来て美瑠クンがとんでもない事を言い出した。何でそんな事を言うのか全然理解出来ない。

「はい、美瑠クンも私についたし、終了終了。バカな話はここまで」マナちゃんが話を無理やり切り上げようとしてる。何でそんな無理に打ち切ろうとするんだろう?何か探っちゃいけない秘密でもあるんだろうか?

「待って。まだ話は終わってない。確かにちょっとした翼で仔牛さんは飛べないかもしれない。でも、仔牛さんの頭でそんな事が理解出来るのかな?」

「仔牛に失礼な事言い出したね、いやそりゃ理解してないでしょ、翼が生えれば飛べるか飛べないかとか、考えてもいないだろうし」

「だよね?ならどこもおかしくないよ。翼が生えれば飛べると思ってる。もしかしたらこう何とかメラの翼みたいなアイテムで飛ぶとかさ」

「むぅ、そういう考えも確かにあるのだ。すまなかったのだ、やっぱり相原さんが正しいのだ。売られてゆく哀しみのない世界に仔牛さんは飛んでいきたいのだ」

「仮にだ飛んで牧場に帰ってもまた売られるっていうか荷馬車にまた連れ戻されるでしょ、普通に考えて。おぉ、まさか帰ってきてくれたのか、すまないお前を売ってしまったのを後悔していたんだ、とか無いでしょ」またマナちゃんだ。マナちゃんはいつからこんな冷たい人になっちゃったんだろう?孤立していた私を救ってくれたあの頃のマナちゃんはどこに行っちゃったんだろう?


「その度に牧場に帰ればいいのだ」

「そんな何度かえってきても売り払われるような牧場がそんなに恋しいかな?」

「いつか疲れて諦めるのだ、きっと」

「何なら、もしもし私仔牛ちゃん、今牧場の前にいるのとか毎回電話かけた後に戻ってくれば怖くなって諦めてくれるかも」

「そりゃ怖いわ。っていうか電話かけるだけの能力あるならもうそれ売り払うよりテレビか何かに出した方が儲かるだろうし。あー、でも翼生えてる時点でもう珍獣か」

「仔牛さんの未来は明るいのだ」

「でも、飛んで行きたいって願望で終わってるから翼は生えないんだなぁ、残念ながら」

「豊島さんはヒドいのだ。そんなバッドエンドなわけがないのだ」

「いや、でもさ…美瑠クン自体がオチ用意してんじゃん。その肉さ…」

「牛肉は牛肉であって仔牛さんとは関係ないと思うのだ、それはそれ、これはこれ」

「うん、牛美味しいから。だからってそれと仔牛さんは関係ないんじゃないかな?」


「ああ、うん…でもまあ2人逢わせてよかったよ、何か気が合うみたいだし、聞いてて頭痛くなってはくるけど」

「あー、こんな話付き合ってくれる人は確かに初めてだし、それは嬉しいんだけど…私は大海クン一筋だから」美瑠クンは面白いとは思うしこれからもこんな話してくれるといいなとは思う、大海クンもこういうのは付き合ってくれないから。でも、気が合うとかそういう相手じゃないよね。

「誰ものろけろとは言ってないから。そもそも美瑠クンはロリコンだからしおりとか眼中に無いし」

「そーなんだ?じゃあ、美瑠クンとマナちゃんってどういう関係?ただの命の恩人ってだけで引っ越しお祝いとかするものなのかな?」

「仕事仲間かな?美瑠クンはどう、しおり?…思ってたよりずっと面白い子でしょ?」

「確かに面白い人なのだ。私は自分がおかしいという事がわかっているのだ。でも相原さんは多分わかっていないのだ。面白過ぎるのだ」

「おぉぉ、なかなか失礼な事言うね、本人の前で堂々と。私も他の人と何か違うよなぁって程度にはわかってるから、それも子供の頃から」

「じゃあ美瑠クンもいいよね、しおりが来ても?」

「歓迎するのだ。いつ来てもいいのだ。その大海クンという人を連れてきてもいいのだ」

「あー、大海クンは私と同じで普通の子だし…アンタ等の頭おかしい会話聞かせるの可愛そうだからやめといて」

「大丈夫だと思うのだ、何だかんだで豊島さんも普通に会話に加わっていたのだ」

「余計なツッコミばっかりだったけどね」でも、こんな子は確かにそうそういない。大海クンを連れてくるかどうかはわかんないけど、時々話し相手になってもらうのは悪くないかな。仕事仲間とか言ってるけど、2人の関係もちょっと気になるとこだし。さて、次来た時は何の話をしようかな。

 大人になった相原しおりが本当にこんな変人になっているのかかどうかは知らない。あの世界の公式に当てはめていい作品なのかどうかも自分でわからない。

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