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「なろうラジオ大賞4」のための物語

ひまわりみたいな君が好き

作者: ヤギマルケイト

「君はまるでひまわりみたいだ」


 そう言うと君はいつも照れたように笑う。


 でも僕は心からそう思ってる。

 僕だけじゃない。きっと誰もがそう思うんじゃないかな。


 この子は──まるでひまわりみたいだって。


 君に初めて会った日を、僕は忘れない。


 あれは3年前。

 一面のひまわり畑だった。

 

 本物のひまわりの花が振り返ったのかと、僕は一瞬思った。


 一目惚れだった。


「突然ごめん。──君を好きになってしまいました」


 見ず知らずの男がこんなことを言い出して、びっくりしたと思う。

 僕もだ。

 自分でも驚いた。


 君は困ったように「ごめんなさい」って断ったよね。


 でも僕はあきらめなかった。

 その場でしつこく何度もアタックした。知ってる愛の言葉を全部ぶつけて。


 周りの人たちがおかしな目で見ていたけど、気にならなかった。 

 ここで手放したら最後、二度と君に会うことはできなくなってしまう気がしたんだ。


 とうとう君は折れてくれた。

 お友達からだったら、と。

 あんなに嬉しかった瞬間はない。


 何度もデートをしたっけ。


 君がどんどん好きになっていった。

 君の声も仕草も、何もかもが。もちろん、ひまわりみたいな笑顔も。



 君から秘密を打ち明けられた時は、少しだけ驚いた。


 この星の人間じゃなかったなんて。


 そんな予感はあった。君は普通の人とはどこか違っていたから。


 でもそんなことどうだってよかった。

 君が、好きだから。


 君が人間であろうがなかろうが、

 君だから、好きなんだ。


 だから──


 星に帰らなきゃいけない、と告げられた時は本当にショックだった。

 この世の終わりかと思った。


 でも君は言った。

 必ず戻ってくるからって。


 だから僕は信じたんだ。


 あのひまわり畑で、君を待ってる。

 絶対に待ってる。

 そう告げた。


 君のいない日々は真っ暗闇だったよ。

 何度も心が折れそうになった。


 だから──あの日。


 あの夏と同じ、一面のひまわり畑で君が振り返って微笑んだ時。


 僕はもう、言葉にならなかった。



 ありがとう。


 君が好きだ。大好きだ。

 心から愛してる。


 二度とこの手を離すものか。

 いっしょに歩いていこう。

 ずっと。


 君が微笑む。

 やっぱり君はひまわりみたいだ、と思う。


 ひまわりみたいな君が、

 僕は大好きだ。


          ☆


 後に──

 彼の友人たちは口を揃えて語る。


 あの時は驚いた。

 自分の目を疑った、と。


 無理もない話だろう。

 彼らは見てしまったのだ。


 人間と──


 人間サイズのひまわりが、


 ひまわりにしか見えない謎の何かが、


 幸せそうに並んで歩いている、

 衝撃的な光景を。

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