ひまわりみたいな君が好き
「君はまるでひまわりみたいだ」
そう言うと君はいつも照れたように笑う。
でも僕は心からそう思ってる。
僕だけじゃない。きっと誰もがそう思うんじゃないかな。
この子は──まるでひまわりみたいだって。
君に初めて会った日を、僕は忘れない。
あれは3年前。
一面のひまわり畑だった。
本物のひまわりの花が振り返ったのかと、僕は一瞬思った。
一目惚れだった。
「突然ごめん。──君を好きになってしまいました」
見ず知らずの男がこんなことを言い出して、びっくりしたと思う。
僕もだ。
自分でも驚いた。
君は困ったように「ごめんなさい」って断ったよね。
でも僕はあきらめなかった。
その場でしつこく何度もアタックした。知ってる愛の言葉を全部ぶつけて。
周りの人たちがおかしな目で見ていたけど、気にならなかった。
ここで手放したら最後、二度と君に会うことはできなくなってしまう気がしたんだ。
とうとう君は折れてくれた。
お友達からだったら、と。
あんなに嬉しかった瞬間はない。
何度もデートをしたっけ。
君がどんどん好きになっていった。
君の声も仕草も、何もかもが。もちろん、ひまわりみたいな笑顔も。
君から秘密を打ち明けられた時は、少しだけ驚いた。
この星の人間じゃなかったなんて。
そんな予感はあった。君は普通の人とはどこか違っていたから。
でもそんなことどうだってよかった。
君が、好きだから。
君が人間であろうがなかろうが、
君だから、好きなんだ。
だから──
星に帰らなきゃいけない、と告げられた時は本当にショックだった。
この世の終わりかと思った。
でも君は言った。
必ず戻ってくるからって。
だから僕は信じたんだ。
あのひまわり畑で、君を待ってる。
絶対に待ってる。
そう告げた。
君のいない日々は真っ暗闇だったよ。
何度も心が折れそうになった。
だから──あの日。
あの夏と同じ、一面のひまわり畑で君が振り返って微笑んだ時。
僕はもう、言葉にならなかった。
ありがとう。
君が好きだ。大好きだ。
心から愛してる。
二度とこの手を離すものか。
いっしょに歩いていこう。
ずっと。
君が微笑む。
やっぱり君はひまわりみたいだ、と思う。
ひまわりみたいな君が、
僕は大好きだ。
☆
後に──
彼の友人たちは口を揃えて語る。
あの時は驚いた。
自分の目を疑った、と。
無理もない話だろう。
彼らは見てしまったのだ。
人間と──
人間サイズのひまわりが、
ひまわりにしか見えない謎の何かが、
幸せそうに並んで歩いている、
衝撃的な光景を。