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第9話 ローズの奮闘

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

「ユークス、一体なにが。」



私はただ呆然と立ち尽くしてしまった。


「ロイド様!」


マリーはすぐにロイドの元へ駆け寄る。

「酷い傷、でもよかった。脈はあります。」



その知らせを聞いて私もそっと胸をなで下ろす。

どうしてこんなことに。考えられるのはロイドを誰かが襲って、それを止めようとしたユークスに呪いをかけた、とか。でも、それならなぜこの場にいないのか。



私は全く答えを見いだせずにいたが、今目の前にいるのがユークスであることに疑いはなかった。例えカエルに姿を変えられても見抜く自信がある。



「お兄ちゃん、一体何があったの?」



その問いには全く答えずユークスはその場から一歩も動かない。


しかし、マリーがロイドを動かそうとした時電流が走り、マリーを襲った。

マリーは間一髪でよけたが、その威力はとても人に向けていいものではないように思えた。



「マリー、ロイドを動かさずに応急手当を。

 終わったらすぐに助けを呼んできて。」



「わ、分かりました。

 ローズ様は、どうなさるおつもりですか?」



「私は、、、。

 大切な兄を取り戻す。」



「分かりました、無理はなさらないでください。」



マリーは素早く処置を行い、学校の方へ助けを呼びに行った。







私はどうすればいいのか分からず、とりあえず面白い話をしてみた。


「実は今日、鳥がキチンを食べていたんです。

 余り物のチキンはとてもおいしそうに。」



何かつい敬語になってしまった。ユークスに変化はない。

しまった、センスがありすぎたみたい。もっと単純に面白い話を。



「あ、今日の朝に学校の花壇を見たら一本だけ折れていて。

 一本だけって悲しすぎると思ってよく見た見たらバラだったんです。

 いやー、まるで私。1人だけ仲間外れみたいな。」



またもや何の変化もない。

おかしい、自虐ネタでもだめか。こうなったら最終手段。



「魔法、発動。」



「はい、何の魔法を使いますか?」



「で、出た。凄い、ダメ元でもやってみるもんね。

 えーっと、ユークスを元に戻す魔法。」



「それは出来かねます。

 なぜなら彼は”   ”に”    ”れた”    ”で

 ”    ”な状態だからです。」



「いや、全然なに言ってるか分からない。

 凄い重要な単語が抜け落ちてる気がするけど。」



「すみません、許可無しにお話できない内容ですので。」




許可、一体誰の。まぁいいか。

でも、それならどうしたら。



「一つ、案があります。」



「おお、なになに?」



「彼を殺しましょう。」



「は?一体何言って。」



「”   ”様のためにも彼を生かしておく理由はありません。

 この騒動を治めるにもそれが一番有効な手かと。」



淡々と意味不明な事を言い続ける謎の声。どうしてそんな事が言えるの?



「そんなこと、無理に決まってる。」



「なぜですか?

 彼が好きだからですか?

 恋など所詮一時の感情に過ぎません。そんなくだらない感情で戦争を引き起こした種族もいま

 す。あなたは今すぐにその感情を捨てるべきです。」




「べ、別に恋とかじゃないけど。

 私にとってユークスは恩人だから。絶対助けたい、ただそれだけ。」



「分かりました、では別の方法を考えましょう。

 やはり定番はキッスでしょうか。」



「な、なぬ!

 そ、それは本気で言ってるの?」



「ええ、古くからキッスは王子を目覚めさせると伝わっておりますし。

 彼のもとへ瞬間移動する魔法、彼を一瞬拘束する魔法を使えば簡単ですよ。」



こ、こいつ。殺すからキッスって頭の中どうなってるのよ。



「さぁ、どうしますか?」



「ちょっ、ちょっと待って。考えるから。」



そ、それでユークスは戻ってくるの?

でも他に何も思いつかないし。とはいえ、妹が兄にというのは倫理的に問題が。

いや、義理だからセーフなのかな。ん?もう私もおかしくなってきた。



ここで私はある策を思いついた。


「ねぇ、あなた。」



「はい、何でしょう。」



「こんなこと出来る?」



私は作戦を声の主に伝える。


「はい、できます。でもそれで上手くいくのですか?」



「ええ、多分。

 ところで、あなた名前は?」



「名前、ですか。

 私の名前は”オグル”です。」



「オグル、良い名前ね。」



「そう、ですか。

 私は嫌いですけど。」








私はまず音の魔法を使った。

「サウンド」


もの凄い爆音がユークスの耳元に届いたようだ。

ユークスはひるんだ。


よし、今だ。

「トランスポート」



すると目の前に王妃が現れた。



「え?ここは?」



「王妃様、急にお呼びだてしてすみません。

 ユークス様をお助けください。」



「ユークス、なぜあんな姿に。」



「じゃあ、行きますよ。

 もう一回トランスポート。」





王妃様はユークスの側に転移した。



「ユークス、もうご飯の時間よ。」



王妃様がそう言うと、ユークスを覆う電気が全て消え、その場に倒れた。


「え?どういうことですか?」



「これが母の力ってやつよ。

 ユークスは食にも弱いしね。」





私はその後すぐにロイドの元へ駆け寄り、回復魔法を掛けた。


「よし、これで大丈夫よね。」



「あ、言い忘れてましたが今回あなたは魔法をたくさん使いました。

 なので三日は身体がほとんど動かなくなります。」



「え?それもっと早く言って。」



私はそこで力が抜けて倒れてしまった。

でもよかった。皆が無事で。




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