第8話 暴走
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ユークスが狙われて以降、彼の身を守るためにある人物が護衛に就くことになった。その人物とはロイド・ゴールドだ。なぜ第2王子が第3王子の護衛をしているのか、この国のほとんどの人が意味不明だろうが、王様と王妃様の許可は取れている。大丈夫かな、この国。
「ユークス、ここはこの計算式を使った方が早く解けるよ。」
「おお!ありがと、兄ちゃん。」
「なーに、可愛い弟のためさ。」
「あのー、ロイド様とユークス様授業中なのでもう少し声のヴォリュームを。」
その瞬間、担任の先生がクラスからの猛攻撃の的に。
「何をおっしゃいますの、先生。
今、このクラスでは奇跡的な光景を目にすることができますの。
勉強など家でやれば問題ありません。黙っててくださいまし。」
「はぁぁぁ、もう息が苦しい。
私、明日死ぬかもしれませんわ。」
さすが、王子様。とんでもない人気ね。
そんなこんなで、ロイドは1ヶ月間有給を使ってユークスを守っている。
初めはユークスも反対したのだが、王族の権威を保つためとか、力ある者の責務だとか、言われたらあっという間に黙ってしまった。ユークスは上の兄二人を尊敬している分お願いされたら弱いのだ。
ちなみに犯人捜しの方はあまり上手くいっておらず、ナーザを脅した相手も金目当てのただの町のチンピラで、黒幕に辿りつくことは難しそうだ。
私の魔法もあれから発動する気配もないし、黙ってチャンスをうかがうしかない。
そういえば、今日は夕方から雨の予報だっけ。早く帰らないと。
空が雲で覆われていく中、ある人物も動き始めていた。
「たく、世界トップクラスの要人の暗殺なんてできるの俺くらいだぞ。
どんだけ殺したいんだ。ま、骨はありそうか。」
学校の帰り道、俺はロイド兄さんと今日これから何をしようかと話していた。
とても楽しく、今日は良い1日になるとその時はまだ思っていた。
「この世で最も卑劣な人間はどんな人間だと思う?」
その男は突然目の前に現れた。黒い服を着た、まるで葬式にでも行くような服装だ。
ポツポツと雨が降り出す。
「貴様、何者だ。」
ロイド兄さんはすぐに剣に手をかける。
「まぁ聞けよ。」
その男は一瞬でロイド兄さんの側に行き、ナイフを刺そうとした。
ロイド兄さんはそれを軽くよけると剣でその男を切った。
「終わりだ。」
「ああ、この国のな。」
次の瞬間、ロイド兄さんが倒れた。
胸から血を流している。
「な、なにしてんだよ。」
「ん?
人殺しだけど、それが何か?」
「そんなこと、許されるわけが。」
そういいかけた時、その男は俺の背後に回り込み手で口を押さえる。
「それ以上何も言うな。
お前を殺す必要はない、と言われてる。」
「ん、んんんん」
「心配するな、さっきの答えなら教えてやる。
正解は戦争を正当化する人間だ。」
「せ、、、、。」
「ああ、俺のやってることに比べて戦争は命の価値が麻痺するもんだ。
そんなもんを正義だなんだと口にする人間は本当のクズだ。
お前もそう思うだろ?」
きっとここで否定したら、俺は確実に殺される。
でも。
俺はこいつの手を振りはらい、はっきり否定する。
「俺も戦争は嫌いだよ。
でも、それを理由に人殺しの罪は軽くはならない。」
「ほぅ、悪くない答えだ。
お前は生かしといてやる。」
その男は再び歩き出す。
「どこへ、いくつもりだ。」
「ああ、赤毛の女を1人殺りに行く。
たしか、ローズとかいったか。」
「ローズを、、、。
行かせない。」
俺はその男の前に立ち、まっすぐ目を見る。
「おいおい、俺に勝てるのか?
お前、魔法するつかえねぇんだろ?」
「だからどうした。
俺はあいつの兄ちゃんだ、守る義務がある。
いや、守りたいんだ。」
「はーーーー。
とんだバカやろうだ。やっぱ殺そう。」
俺は奴に殴りかかったがすぐに投げ飛ばされた。
「ほい、お終い。」
その瞬間、目の前が真っ暗になった。
2人が遅いので、私は学校まで2人を向かいにいこうと馬車を走らせた。
普段は馬車など使わないけど、雨が降り出していたので2人のためにもとマリーが出してくれた。
学校へ向かう途中。
ピッシャーーーーーーーーーーン。
とても大きな雷の音が聞こえた。
「随分近いですね、ローズ様大丈夫ですか?」
「ええ?平気。」
それにしてもこれは本当にただの雷?
『付近で超高濃度の魔力を確認しました。』
え?またこの声?
まるで機械音声のようなこの声に私を驚きを隠せなかった。
「な、なにが起こっているの。」
それから何の声も聞こえなくなった。
「おいおいおいおい、まじかよ。
聞いてねぇぞ。あんなバケモン、どうしろってんだよ。」
ロイドを仕留め損なったあげく、血まみれのその男は絶望を知った。
「あれは、俺ごときが手をだしていいもんじゃねぇ。
国まるごと破滅させかねぇ。バケモンだ、ユークス・ゴールド。」
私がそこに着いた時には血まみれで倒れたロイドの姿と、髪が逆立ち、目が白く服も電気で焼け焦げまるで魔物のような姿をした少年が立っていた。
「ユークス、なの?」
次回、ユークス対ローズ。