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第7話 秘めた想い

お待たせしました。ブックマークと評価、よろしくお願いします。

「今日、俺の部屋に来て欲しい。」



そうユークスに言われた私は生まれて初めて美容室に行った。いつもは使用人の方に切ってもらっているから、不安だけど。


「今日はどうなさいますか?」



「えっと、少し大人っぽい感じにして欲しくて。」



「それは、年上に好きな方がいらっしゃるということですか?」



「ひょえ?

 そ、そんなわけないです。ただ、乙女のたしなみとして。」


急に変な事を聞かれて、訳わからないことを口にしてしまう。



「もう、隠さなくていいですよ。

 いいですねー、どんな人なんですか??」



美容師の方はそう言いながら、櫛で私の髪を解かす。


「だから、そういうのではなくてですね。」



「じゃあ、今まで一番幸せだったことは何ですか?」



「い、いきなり?!

 ま、まぁ。考えてみますけど。」



私の幸せ、それは周りの人達が笑顔でいてくれること。

その時、真っ先に思い浮かぶのはお兄ちゃんだ。


「家族が笑ってくれた時です。」



「へぇ、具体的には?」



そう言いながら、お姉さんは私の毛先を切り始める。

さすが美容師、マルチタスクだ。


「昔、私が悪夢を見てしまって涙が止まらなくなってしまった事があったんです。

 まだ3歳だったからとても心配されて。その時、お兄ちゃんが、、、」




黙って私の前に来て、思いっきり変顔をしてきた。

最初は私をバカにしているのかと思ったけど、あまりにもおかしかったからつい笑ってしまった。


「やっぱさ、ローズは笑顔が一番!

 笑顔って女の子にとって最高の毛皮なんだって。」



「そ、それ。何か違う。」



「え?あーケモ耳だったかな。」



理由はよく分からないけど、それから私はあまり悪夢を見なくなった。






「なるほど、じゃあこれで彼もイチコロですね!」



「だからそういうのでは、、、。」



鏡を見ると、そこには綺麗な赤い髪をした女性がいた。


「これが私。」



「いやーこんなに質の良い髪に触ったのは久しぶりでしたー。」



「でも、こんな赤い髪。」



「赤は、女の子をより魅力的に見せてくれる色なんですよ。

 だから、自信持って!」



「あ、ありがとうございます。」







そして、私はユークスの部屋を訪ねる。

「お、お兄ちゃん。入ってもいい?」



「おう。」



入るとそこには綺麗なネックレスを持ったユークス。

赤い宝石があしらわれていて、とても美しい。


「ローズには命を助けて貰ったからさ、そのお礼。」



「いいのに、そんな。」


私の方が何倍も助けられてる。



「これでも真面目に選んだから、付けてみてよ。」



「う、うん。」



私は自分でネックレスを付けようとするがなかなか上手くいかない。


「よし、お兄ちゃんがやってあげよう。」



ユークスは私の後ろに回り、そっと手を伸ばす。

結局1分ほど苦戦を強いられ、ようやくネックレスを付けることができた。



「ま、まぁこんなもんさ。」



「あ、ありがと。」


私は涙がこぼれそうなのを必死で押さえた。また心配をかけてはいけない。

私はそうそうに部屋を立ち去ろうとする。


「じゃあ私、行くね。」



扉から出ていこうとすると。

「あ、せっかく可愛くしてもらったんだから母さんにも見せてあげろよ。

 おやすみー。」



「お、おやすみなさい。」



パタン。




気づいてたんだ。直接褒めないところはユークスらしいけど。


生まれて初めてのこの感情が何なのか分からなかった。



会うだけで胸が高鳴って、相手が嬉しそうにしていると自分まで嬉しくなって。

絶対に失いたくない人、そっかこれが。



ブラコン、というやつなのね。




いやーまさか私がブラコンだったなんて、前世の私に聞かせてあげたいわ。

だから他の女の人と仲よさそうにしているとモヤッとしていたのね。

うん、納得がいった。






そう、そういう事にしておこう。

気づかない方が良いことも世の中にあるのだから。


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