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第2話 要

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

この世界には魔法が存在する。適正がある人とない人がいて、使える人は2割程度。

第1王子と第2王子は歴代でも類を見ない程の才覚の持ち主で、第1王子が炎の魔法、第2王子が氷の魔法を使うことができる。二人とも軽く軍隊を1つひねり潰せてしまうほどの威力がある魔法を使えるという噂だ。


そして王様と王妃様はどちらも光の魔法を使う。主に回復魔法が得意で、私も1度それで怪我を治して貰ったことがある。


そんな中、ユークスはというと魔法の適正はある、、、らしい。でもどんな魔法の適正があるのか未だ分かっていない。本人は気にしていないようだけど、周りの貴族からは落ちこぼれなのではないかと陰口を叩かれている。私にそれをたしなめる力はない、ただの居候だから。




今日はユークスと一緒に魔法の訓練。

どうやら私にも魔法の適正があったようで一緒に家庭教師の先生から魔法について教えて貰っている。


「いいですか、魔法というのは選ばれたものに与えられた神様からの贈り物です。

 決して粗末に扱ってはいけません。正しい知識を持ち、自分や大切な人を守る為に使うので

 す。」



家庭教師のブライアン先生は王様と仲がいいらしく、その縁で私たちに魔法を教えてくれている。



「んん、もう食べられないよ~」



私と一緒に聞いていたユークスは完全に寝てしまっている。とても幸せな夢を見ているのか寝言まで言っている。



「ユークス!あなた真面目に聞く気はあるのですか?」



「は、はい!

 えっと、おはようございます先生。」



「はぁ、ローズはこんなにも勤勉だというのに。

 あなたは兄なのですからもっとしっかりしてください。」



「先生、お言葉ですがこれは仕方の無いことなのです。

 出来る妹を持つと兄はダメになってしまう。これは世間の常識ですよ。」



「な!そんな訳ないでしょう!」



先生が鬼の形相でユークスを叱り始める。国の歴史や天文学とかは真面目に聞いてるのに、なぜか魔法の授業はいつもこんな感じだ。普通逆だと思うけど。




授業が終わり、私たちは食堂へ移動する。


「今日も長かったなー、先生の話。」



「お兄ちゃんが真面目に受ければ先生だって怒らないと思うよ。」



「ふ、無理だな。俺あの人の話聞くと必ず睡魔に襲われるんだ。」



「あ、そう。」



ユークスの魔法か、やっぱり兄二人に匹敵するような魔法なのかな。



「そういえば、ローズの魔法って何か分かったの?」



「ううん、まだ。何度かやってみようとしてるんだけど。」



魔法の適正があるかどうかは魔法の鏡で判断する。その鏡に姿が映るということは魔法の適正があるという証。その鏡に姿が映ったことで大喜びした王妃様が私にもブライアン先生の授業を受けさせてくれた。彼女はきっとユークスのことを信頼しきっている。だからユークスが連れてきた私のことも大切に扱ってくれているのだ。



「ま、焦ることないさ。俺なんて未だに何の魔法使えるか分かんないし。

 兄さんたちは10歳の頃には既に分かっていたらしいけど。」



コツコツ。

高貴な雰囲気が漂う。

後ろから二人の屈強な戦士を携え、この国の第2王子がやってきた。


「やぁ二人とも。魔法の授業お疲れ。」



「ロイド兄さん、オーロラ国との交渉は上手くいった?」



「もちろん、こちらの条件は全て呑んでもらった。」



「さっすがー。」



第2王子のロイド・ゴールドは完璧超人で、人当たりも良い。銀色の髪に青い瞳、その姿に魅せられた女の子たちは数知れず。ほんと、隙が無い。ある1つの事案を除いて。



コツコツ。

そして明らかにその場の空気を一変させるがごとく現れたのがこの国の第1王子、オリバー・ゴールド。第2王子すらも越える能力の持ち主で、各国からその存在を恐れられている。青い髪に黒い瞳、誰も寄せ付けないような迫力がある。躊躇なく近づけるのはユークスくらい。



「あ、オリバー兄さん。今日のご飯はミートソーススパゲッティだってー。」



「そうか、それは楽しみだな。ところでちゃんと手は洗ったのか?」



「いや、俺も15歳なんでそれくらいしたよ。」



「そうか、すまない。」



微笑みながらオリバーはそう答える。この方が笑顔を見せるのはユークスと話しているときだけ。きっと日頃から色々な重圧を背負っているのだろう。



「お疲れ様、兄さん。」



「ロイド、オーロラ国との交渉は?」



「聞かなくてもすでに知っているだろ?兄さんの耳はいつも早いから。」



「ああ、さすがだな。」



「いえいえ、第2王子として役目を果たしただけですよ。」



オリバーが20歳、ロイドが18歳、ユークスが15歳と年が近いからなのか、この三人兄弟は基本的に仲が良い。



私達はそれぞれの場所に席に着く。長い机の中で私は一番端の席。ユークスがその2つ隣。そしてロイドが私とユークスの隣。オリバーが反対側でユークスの隣に座っている。


「ユークス、この後僕の部屋に遊びに来ないか?」



「え?いいの?

 行くー。」



「待てロイド。お前にはまだ仕事が残っているだろう。

 ユークスは今日は俺の部屋に来るといい。」



「兄さん、先に誘ったのは僕ですよ?」



「早ければいいというものでもない。」



あはは。いつもこんな感じでユークスを取り合っている。

きっと端から見たらこの家族の要は第1王子か第2王子だと思っているのがほとんどだろうけど、実際はユークスだ。ユークスがいなかったらこの家族は、いやこの国はもっと悲しい国になっていただろう。周りの人皆が彼に助けられている。それはきっと、私も例外ではないのだろう。



 

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