火山の少女
その少女のお腹には
ずっとマグマが溜まっている。
いつ噴火してもおかしくはない。
うつうつと ふつふつと
煮えたぎらせながら 俯いて歩いている。
みんな 彼女のこと つまらない子だと思っている。
いつもヘラヘラ笑っていて
何も考えてない 空っぽの
流されるだけの少女だと思っている。
でもそれは違った。
彼女の中には
あまりにも外に出せないマグマが溜まっていて、
それはもう いつ噴火してもおかしくはなかった。
しかし彼女の理性は強いので、
慎重さと臆病さも相まって
マグマが噴火することはなかった。
なので ふつふつと 彼女の腹の底を
燃やし続けている。
どんなに 花畑の中にいても
そのマグマから 化け物が出てきて
彼女の心を 食い散らかすのだ。
そのマグマは
外に出したくても 出せない分厚い壁で覆われている。
なので、
内側で暴れまわり 彼女の心を蝕んでいくのだ。
ずうっと ずうっと
長い間 少女が大人になっても
マグマは噴火しないで 溜まり続けている。
無限に 化け物は産まれていく。
周りは 幸せそうに笑っている。
彼女の心は カスしか残っていないけれど
マグマから出た化け物は
それでも 食べ物を探している。
お腹に ずうっと 溜まった なにか。
心に ずうっと 溜まった なにか。
死ぬまで 抱え続けて 生きていくのか。
無限のストレス 心のマグマ。
どうして 外に出せないのか わからないまま
彼女は 悲しい大人になって
今日も 俯き 歩いてる。
鬱々と 沸々と。