9話 ロクなのがいないんですけどこの世界②
どこかの天使が一人ぶつぶつ言っている頃、白夜は、
「……こうやって太陽の下何も気にせず歩けるのは初めてでは?」
なんか出所した重犯罪者みたいなことをつぶやいていた。
内容としては「シャバの空気がうめぇぜ!」より酷いのではないだろうか。
白夜の名誉(?)のために説明すると、白夜が今まで気にしていたのは人の目線などではなく、日光である。
白夜は今の姿に変化する以前からも、運動神経は化け物並だが身体が弱く、皮膚も弱かったため、肌が白く、長時間日光に当たることが出来なかった。
そのため、小学校のプールの授業なども参加したことが無く、元々が女顔ということもあって毎年夏になると「やっぱりあいつ女じゃね?」という疑惑があがっていた。
ちなみにどのくらい女顔だったかと言うと、今の見た目に変化した後、家族や幼なじみ達が白夜だと一瞬で判別できた理由が、「あ、昔のしろの色少し変えて髪伸ばしたらこんな感じかな?」といったことを全員が考えていたから、と言われればお分かりいただけただろうか。
そんな事情があって、白夜が学校に通っていた小中学校(中学は一年だけ)の間は事件が多く、小学校の頃、白夜を女の子だと思っていた男の子の初恋が、後から真実を知った際に儚く散ったり、
中学の頃は女子に人気だった先輩(もちろん男)のラブレター(白夜は果たし状だと思っていた)が靴箱に入っており、「これはやべぇ」と思ったその時一緒にいた陸海空とプラス二人によって説得され、(白夜自身どうでもよかったため、靴箱から階段を上り始めるまでに説得は終わった)教室のごみ箱に捨てようと(先輩可哀想)したところ、クラスの女子の間で手紙の争奪戦が始まり、(なんか雰囲気が怖かったので大人しくあげた)放課後にオークションが開催されたりなど、様々な出来事があった。
ちなみに先輩は完全に手紙の存在など忘れていた白夜を待って次の日の早朝まで屋上で待っており、陸海空とプラス二人に白夜の教育上よろしくない危険人物と判断され、次の日に処刑された。
とまあ、こういった様々な出来事があったが、これらの事件は、自分の容姿など全く気にしなかった白夜だけが知らない。おそらく自分の容姿が女っぽい事にも気づいていない。
ちなみに、処刑執行人五人の内三馬鹿含をめた四人が最初白夜のことを女だと思っており、後から知って驚いた経験を持つ。
流石に自分がしょっちゅう(毎回)女と間違われることに違和感を抱いたのか、中学に上がる際に一人称が「しろ」から「おれ」に変わった。
話を現在に戻すと、しばらく目に付いた巨大な噴水のふちに座って足をふらふらさせながら空を眺めていた白夜は、そのまま立ち上がり、意気揚々と路地裏に入っていった。
とりあえず日陰に行こうとするのは最早習性か、アンクルの言う通りゴキと同じ習性である。
天「『どうせお前しばらく出番無いから』という理由で採用されました、アンクルです」
愛「『どうせ以下略』愛夜華です」
天「……どうしてあなたなのですか?」
愛「驚きのコンビよねぇ……。早く帰りたい」
天「私も嫌です。なので早く終わらせますよ」
愛「と言っても次回予告は前回のうちに終わってるわよ?」
天「ええ、なので今回は茶番です」
愛「今回は? 今回もではなく?」
天「さて、なんのことやら」
愛「はぁ……まあ、いいやそれでは最近マギレコにまたはまってバレンタインなぎさちゃんのガチャ爆死した作者による、しろが魔女になったらどうなるのかな? という話『魔法少女しろ☆マギカ』どうぞ! ……しろ三文字にならないかな……」
天「『びゃくや☆マギカ』でよかったのでは? ……しっくりきませんね」
◇ ◇ ◇
Q「僕と契約して魔法少女になってよ(以下略)」
白「死にたい。自殺にならない範囲で、わたしの意思と関係なく」
Q「君の願いはエントロピーを凌駕した(以下略)」
しばらくして
白「わー。ソウルジェムが濁ったー(棒)」
LYCORIS・RADIATA
死願の魔女
その性質は不死
処刑道具の散乱した結界の中にいる。
生前の『約束』すら忘れ、ただひたすら己を殺し続けるが、決して死ぬことは無い。
手下にも自分を殺し続けさせ、結界に入ってきた人間や魔法少女にも見向きもせず、魔法少女すらも処刑道具の一つと考える。八つ当たりで殺される魔法少女も多い。
手下に自分を殺させ、魔女自身も自ら処刑道具に身を投げる異様な光景の中、いくら殺しても死なない魔女に絶望し、また新たな魔女が生まれるという。某白い妖精は喜ぶ。
RED SPIDER LILY
死願の魔女の手下
その役割は主殺し
主の命令により主を殺し続ける。
たまに結界の中に紛れ込んでくる魔法少女を見つけては、邪魔せずに魔女の元へ案内するが、決して帰すことは無い。
◇ ◇ ◇
天「……魔法少女と言いつつ最初から魔女化しているのですが?」
愛「魔法少女なってたわよ? 一瞬」
天「『わー。ソウルジェムが濁ったー(棒)』の部分ですか?」
愛「そうですが? ……あと、途中で満足したからドッペルは書いてないよ。気が向いたらまた書くかもね」
天「そうですか。それにしても、地味に本編と絡めてありますね」
愛「重要なような、そうでもないような、って程度だけどね。本編といえば、私次出番いつなの?」
天「7、8話くらいじゃないですか? 10話はいかないかと」
愛「長いわね。でもあんたはもっと先よね〜。まあ、ラスボスくらいの役割はあるんじゃない?」
天「勝手にラスボスにしないでください。それだと私の出番本当に最後じゃないですか。あとラスボスならあなたの方が似合ってますよ」
愛「私は裏ボスくらいでいいのよ」
天「やるんですか?」
愛「やらないわよ」