5話 化け物姉妹とショッピング①
待たせたな CV:大塚明夫
いや、まじで本当に
いいわけは後書きで
今回は説明回です
今回の説明でなにか質問がある場合、気軽にコメントしてください
答えられる範囲で答えます
追伸 2話に分けました
白夜達が外に出てみると白夜にとっては幸いなことに見事な曇り空だった。
アルビノ体質になってしまった白夜は直射日光を浴びることが出来ない。
メラニン色素が無いために紫外線を遮るものが無く、直射日光を浴びると皮膚癌になってしまうのだ。
曇りの日も紫外線はあるが、そこは後々説明しよう。
そのため昨日病院に行く際も日が沈んでからだった。
「まあ、吸血鬼みたいなもんだしな」
「誰が吸血鬼じゃい」
陸斗の言葉に思わずつっこむ白夜。
「でも身体能力的には吸血鬼みたいなもんでしょ?」
「………」
だが続く拓海の言葉には否定が出来ない。
実際、白夜は身体能力が吸血鬼並と言われても否定が出来ないくらいには化け物である。
そこは愛夜華も同じなのだが、今の小さくなったからだはともかく、以前までのからだなら単純な戦闘能力では愛夜華よりは白夜に部があった。頭脳ならば白夜は愛夜華に一歩劣るが、一応白夜も人外級の天災……天才の一人である。
この世界にはこういった存在が偶に現れる。世間では〈特異点〉などと呼ばれている存在達である。
一人で十倍の時代を進める愛夜華などはこの時代の〈特異点〉の中でもトップクラスと言われている。
ちなみに白夜や愛夜華が人間の常識を超えた本物の〈特異点〉で、陸斗、拓海、美空は人間の限界に限りなく近いところにいる準〈特異点〉である。
もちろん普通は〈特異点〉はこんなにごろごろ転がっているようなものではない。もちろんス○ンド使い同士は引かれあう。みたいな法則も無い……はずである。
陸斗達のような準〈特異点〉でさえレア度(?)で言えばオリンピックで金メダルとってるような人並である。
ちなみに〈特異点〉には大きく分けて二種類あり、『頭脳型』と『身体能力型』である。
頭脳型はそのまま、分かりやすく言うと天才。
身体能力型は身体能力が生まれながら異常、という訳でなく、運動神経が異常に高い者達である。
異能力ものならもっと多彩な種類があるのだろうが、人間の持つ能力などこんなものである。
〈特異点〉といっても異能力者という訳でなく、〈特異点〉=『最低でもどこか一箇所が異常に尖った天才』くらいの認識で正解である。
とまあ、化け物共の異常性を説明しようとすればキリがないので細かいところは後々説明していくとして先へ進もう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
現在、一同は由美が運転する車で近場のデパートに向かっている。
ちなみにメンバーは白夜、愛夜華、陸斗、拓海、美空、由美である。
研仁は留守番、田村は家に帰るらしい。弟にお土産を頼まれていたのでそれを渡しに行くらしい。
「そーいやしろ、今日の朝暴走したんだって? いつぶりよ?」
「……退院してからはほとんどなかったと思う」
助手席に座っている愛夜華からの質問に少し考える素振りを見せてから答える。
「普段は薬無くても問題ないけど……まあ、昨日はいろいろ疲れてたから。その辺も明日にでも相談する」
「おう、ついでに俺達も別に怒ってないって伝えといてくれ」
「りょーかい。明日はあの子なだめるところから? ……いや、やっぱり他のやつらにたのむ。つーわけでたのんだ」
((((ふざけんな!))))
なんか聞こえたが無視する。やつらには明日までにうちの小動物をなだめて貰わなければならないのだ。
「ナチュラルに虚空と会話すんのやめろ。俺達はわかってるけど傍から見たらやべぇやつだから」
もちろん陸斗がなにか言ってるのも無視である。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんなことをしているうちにデパートに到着した。
ちなみに白夜は昨日までの包帯のから代わって愛夜華が速攻で作ってきたという黒いチョーカーとリストバンドを左手に付けている。
昨日の今日で仕事の早いことである。
ちなみにこれらは愛夜華の特別製で防火、防水、防弾、防刃、耐爆仕様で、現代の軍服もびっくりの超高性能品である。
なぜこんなに高性能かというと、そもそもなぜ白夜がチョーカーやリストバンドをしているかというところに繋がるのでこれもそのうち話そう。
「……はぁ」
デパートに入ってまず最初に感じたのが大勢の人間からの好奇の視線だった。大方、白夜の白い髪が目を引いたのだろう。正直、鬱陶しい。
既に何人かはスマホを構えようとしている。流石は現代人、珍しいものを見ると反射的にスマホを向ける。盗撮は犯罪だということを知らないのだろうか?
というわけで、犯罪者(未遂)にはそれ相応の罰を受けてもらう。
「あれ!? 俺のスマホが!?」「ええ!? 私のスマホも!?」「嘘だろ買い替えたばっかだぞ!?」「おいおいなんでだよ!」「くっそ最悪だよ!」
どういうわけかスマホを構えようとした全員が騒ぎ始めた。どうやらスマホの画面が暗くなり、動かなくなったらしい。珍しいこともあるものだ。
「……これすごいね」
「でしょ?」
もちろん原因は白夜だ。今朝愛夜華に渡された防犯アイテムの一つ、『|対特定機器妨害電波発信機《こっち見んな変態!》』によるものである。
その名の通り特定の条件を満たした機械に対する妨害電波を流すものである。
今回の場合は、『カメラアプリの起動』『スマホのカメラをこちらに向ける』という二つの条件を満たした機器が機能停止している。
よくよく考えれば電波の範囲内の全てのスマホに作動するコンピューターウイルスなのだが誰もつっこまない。
「……はぁ、さっさと終わらせてかえろ。あと帽子買お」
視線にうんざりしてきた白夜がフードを被りつつ言うと、
「「「え? 何言ってんの? 今日はしろの着せ替え祭りだよ?」」」
当然のように言う女性陣の言葉に、白夜の顔が絶望に染まるが、女性陣は気にせず、男性陣は見ないふり。
ちなみに、絶望に染まったと言ったが、傍から見たら白夜の表情はデフォルトの無表情から変わっていない。せいぜいアホ毛がへにゃったくらいである。五人にそう見えたのは単にここにいる全員の白夜の表情を見抜く技術が高すぎただけである。
陸斗と拓海が慰めるようにポンポンと白夜の肩をたたくが、白夜は同情するなら助けをくれ、という心境である。
この時、白夜の中でなんとしても二人を巻き込もうという決心が生まれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「着せ替え祭りは後でするとしてとりあえず下着類ね」
さすがにいつまでもノーパンはまずい、と思った由美の発言にすぐさま動いた者が三人、
「「それじゃ、俺ら適当にぶらついてるんで!」」
「にがさないよ?」
下着売り場とかついて行けるか! という現役高一の男子二人と、先程二人を巻き込むと決めたばかりの現在幼女元男子の白夜である。
言ってなくても有言実行! この展開を読んでいたからこその先程の決心である。だってTSもの好きだもん。何が起こるかはよく知ってる。
「………」
「「………」」
白夜は二人の服の裾をがっちり掴んでじぃ〜〜っと感情の読めない暗い瞳で二人を見つめる。
二人は察した。すなわち、「あっ、これ逃げられないやつだ」と。
この場で白夜の手を振り切って逃げることは出来る。だが、それをした場合待っているのはリミッターを外してでも追いかけてくる化け物との鬼ごっこだ。
「「………」」
二人は無言で両手を上げて降参アピール。
白夜は二人の無抵抗の意思を感じ取り、手を放す。
「それじゃ行くよ〜」
そんなことを言う愛夜華に引きずられるようにして連行されていく白夜、その後をとぼとぼとついて行く二人、残りは先程のやりとりの間に既に行っている。
ちなみに白夜が二人を放したのはこうすれば周りから見ると無理やりではなく渋々とはいえ自分の意思で入っているように見えるから、という意味の無い嫌がらせのためである。
この時になって二人も気付いたが時既に遅し、手は放された後なので渋々ついて行くしか選択肢がなかった。実にタチの悪い嫌がらせである。
「ところでしろ、胸のサイズわかる?」
「貧乳です」
「「「見りゃわかるわ」」」
結局、男子高校生二人は無駄にいい視力で天井のシミを眺め続け、白夜のアホ毛はさらにへにゃったという。
次回予告は話を分ける際、次回に移動しました。