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28話 人間卒業おめでとう!

作「っっしゃあ! 過去最速! やはり作者はやればできる子! Y! D! K!」


白「古い古い古い古い」


作「まあ、今回短めだからなんだけど」


 ──固有職(ユニークジョブ)【吸血姫】の転職条件を達成しました。


「あ?」


 セレナとの激戦の後、【HP回復ポーション】と【MP回復ポーション】を飲んでから気絶するように眠っていた白夜は、そのシステムアナウンスによって目が覚めた。


 天窓を見ると、先程まではなかったはずの青空が広がっている。

 ずっと夜だったせいで時間感覚が狂っているが、おそらくあまり時間は経っていないだろう。


 時計を見ればいいって? いつ気絶したかも、どれだけ戦闘していたかも分からないのでちょっと無理。


 体の調子を確認すると、さすがに骨はまだ《戦鬼》で固めているが、細かい傷は《高速再生》で修復されていた。


 一通り確認を終え、スキルの効果に感心しつつ身体を起こすと、玉座の間はきれいに修復されていた。

 壁にも床にも、焦げ痕ひとつない。


 おそらく自動修繕系のスキルが付与されているのだろうが、それにしても凄まじいものである。

 王国の城にもここまでの機能はなかった。

 王城を壊したことがあるのかって? あります。


 立ち上がり、ウィンドウを開きながら玉座の下に続く階段に腰掛ける。


 転職可能なジョブの一覧を確認すると、そこには固有職(ユニークジョブ)【吸血姫】の文字。まあ、間違いなく人外系だろう。


 とりあえず、転職しない理由もないので転職を実行する。

 すると、戦闘のためにメインジョブに設定していた【多重武装士(マルチプルウェポン)】がサブジョブの欄へ移動し、メインジョブの欄に【吸血姫】が現れる。


 そして、テッテレテッテッテー♪ という、某神がコンテニューする時のような、なんともムカつく音楽とともに文字が表示される。


『人間卒業 おめでとう 今日から きみも 人外だ!』


 フハハハハハハハ! という幻聴が聞こえたので、思わずウィンドウを掴んで放り投げる。


 投げられたウィンドウは壁にぶつかり、そのまま砕け散った。


「ん? え!? えぇ……?」


 掴めた!? 投げれた!? 砕け散ったぁ!? と、思わず一瞬パニックになる。

 最近感情に振り回されることが多くなった気がする。先程の戦闘でも時折感情が表に出ていた気がする。幼女化の影響だろうか。


「……はぁ……」


(なんのための多重人格(マルチタスク)だ……)


 少し憂鬱になりつつも、【吸血姫】の能力を確認していく。


 ステータスはHPが飛び抜けて高く、それ以外はかなり高水準なバランス型。

 スキルは一に再生能力、続いて純粋な攻撃力に特殊能力と、だいたいの状況に対処できる万能型。


 さらにはセレナが持っていた支配者階級称号『夜闇の王』。『影の帝王』に続いてこれで二つ目の支配者階級称号だが、どちらも使い勝手がかなり良い。


『影の帝王』は、影属性にボーナスが付くのに加えて、《影操作》の補助などの汎用性の高い特殊能力に、必殺スキルとして大規模殲滅能力まで付いていた。


 そして『夜闇の王』は、闇属性にボーナスが付くのに加え、時間帯や月の満ち欠けによってステータスが強化されるようになっている。


 どちらもとても便利だが、どちらの必殺スキルもものすごく使い勝手が悪い。


 実際、『影の帝王』の必殺スキルはまだ使ったことがない。


(とりあえず、今足りないのは……)


 今の自分のスペックを考えると、足りないのは攻撃力、正確には破壊力だろうか。


 シャロ、メイ、セレナと、今まで戦ってきたのはあくまで強力な力を持った個人。

 人間サイズの敵ならば今のスペックと小手先の技でなんとかなるが、問題はただ大きく、ただ速く、ただ強い。そんな存在である。


 実際、【カリュブディス】や【ベルセルク】相手にはかなり苦戦した。


 今までは《オーバーロード》でなんとか凌いできたが、今後それでも対処できない相手が現れるかもしれない。


 さらに厄介なのは、個ではなく『軍』を操るタイプ。

 白夜がいくら強くなろうと、今のままでは強力な個。手足は二本ずつしかないし、目も二つで頭は一つ。対処できる範囲は限られている。

 圧倒的な物量ですり潰されては対処できない。


 となると、今足りないのは殲滅力。

 それも『影の帝王』の必殺スキルよりは扱いやすいもの。【吸血姫】となったことで多少は改善される兆しが見えたが、まだ試せていないのでなんとも言えない。


(と言っても、ないものねだりしてもしょうがない。結局アイテムなりジョブなり探さないといけないわけだし)


 そこで一旦思考を打ち切り、部屋の最奥にある玉座の裏を覗いてみる。


 隠し部屋でもあるかと期待したが、そこには床が浅く抉られたような跡があるだけだった。

 もしかしたら元はなにかあったのかもしれないが、それ以外にはなにも発見されなかった。


 玉座の間の探索を切り上げ、他の部屋を片っ端から調べていると、なにやら生活感のある部屋を見つけた。


 大き目のサイズのベッドの近くの床には百合の花が描かれた棺桶が置いてあり、作業机の上には大量の素材が広げられている。


 とりあえず目についた棺桶を開けようとするが、鍵がかかっているのか開かなかった。《錬成》を試すもはじかれる。


 攻撃系のスキルを使うことも考えたが、そこまでするほどの興味は湧かなかったので、クローゼットや机の引き出しを漁り始める。


 空き巣まがいのことをしている自覚はあるが、家主はすでにあの世で、さらにその家主自身から『わたしを殺せたらわたしのボスドロップとこのお城をあげます』と言われているので、罪悪感はない。


 引き出しの中にあった素材がたっぷり詰まった小箱型の【アイテムボックス】はもらっておく。


 魔術符に聖銀弾に聖剣にその他アイテムのために今の白夜の財布はすっからかんなのである。特に、聖銀はめっちゃ高い。しかも全て消費しきってしまった。


【アイテムボックス】と一緒に見つけた日記帳を手に、近くにあった棺桶に腰掛ける。


 死体が入っているとは誰も言っていないので、罰当たりではない。中身が何かはわからない。つまりこれはシュレディンガーの棺桶。死体が入っている確率と入っていない確率があり、白夜はそれを観測していない。知っていそうなやつらは全員あの世。なにも問題はない。


 あまりにも完璧すぎる理論武装を終え、魔装少女となった白夜は日記を開く。

 鍵が付いていたが、こちらは問題なく《錬成》で破壊できた。


 ──その中には、2000年前、とある少女の身に降り掛かった悲劇、絶望とそれを上回る憤怒が書き記されていた。



愛「やっほー! しろの情緒不安定がちょっと心配。お久しぶりのあやお姉ちゃんだぜ!」


久「どうも。だれも覚えてないと思うけど、しろの主治医兼しろの父親の妹、つまりは叔母。紅月久美子よ」


愛「くみちゃん久しぶりだねぇ」


久「そうね。しろが今の姿になった時に電話してきて以来かしら?」


愛「……………」


久「言われた通り適当に誤魔化したけど、今度詳しく説明してもらうわよ? なにが『性転病』に『幼体病』だ。そんなのあるわけないでしょ。どんな奇病よ」


愛「想像以上にコロッと騙されてびっくりよ。まあ、実際に起きてる以上、疑うよりそういうものとして受け入れた方が良いと判断したんでしょうね」


久「『地下』の連中はそっちで抑えなさいよ? しろが見つかったら即研究対象として実験動物(モルモット)生活よ?」


愛「ああ、そっちは大丈夫。他の適当な被検体とサンプルを渡しておいたわ」


久「小学校から道徳の授業をやり直してきなさい」


愛「大切な『妹』と赤の他人(いけにえ)、どっちが優先されるかなんて決まってるじゃない」


久「今度の検診でも適当に誤魔化しといてあげるから、説明にはきなさい」


愛「はいはーい。……と言っても、私としてもよくわからないところが多いというか……」


久「分かる範囲で全て答えなさい」


愛「はーい……」


久「で? 旦那とはうまくいってる?」


愛「………私未婚。彼氏すらいないけど?」


久「田村くんに決まってんでしょ」


愛「ちげえっつてんでしょ。あれは助手兼幼なじみ。おーけー? なにをとち狂ってんだ行き遅れ」


久「……今度会った時覚えてなさいよ?(そんな早口で否定するあたり、まだまだ子供ねぇ……やっぱ姪っ子は可愛いわぁ)」


久「まあ、田村くんは顔もそこそこ良いし、気が利くし、誰にでも優しいし、モテると思うから気をつけなさいよ〜。田村くんだってついつい目移りしちゃうかもしれないし、他に好きな人できたらあやの助手を続ける意味もないし?(絶対にありえないけど)」


愛「……………」


久「それでは、次回『しろちゃん、定期検診の時間ですよ!』次回もお楽しみに!!」


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