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3話 我らが姉は世界最強!


 家に着き、からだが動かない白夜の変わりに由美が作った料理を食べ、ほぼ意識の無い白夜を美空が風呂に入れて意識の戻った白夜によりひと騒動起きた後、白夜がある程度動けるようになったので白夜の姉である愛夜華に連絡をする事になった。


 現在リビングのテーブルに五人が集まっている。美空はリビングのすみっこで縛られている。


 スマホをビデオ通話に切り替え、愛夜華に電話をかける。数コールの後、愛夜華は電話にでた。


『もしもし?』


「おう、愛夜華久しぶり」


『父さんが名前で呼ぶってことはなんかあった?』


「相変わらず話が早くて助かる」


『まあ、天才なんで?』


 本人は冗談めかして言っているが、一切冗談になっていない。彼女がまだ二十歳(はたち)だというのに世界中を飛び回っているのにはもちろん理由がある。その理由がこれである。


 近年、ゲーム界隈で話題になっている、フルダイブ型のゲームだが、彼女が作ったものである。


 数ヶ月でフルダイブシステムを作り上げ、さらにその当時はCTスキャン並のサイズだったそれをさらに数ヶ月、合計半年程で従来のVRゴーグルサイズにまで圧縮し、市販化まで済ませた。要は化け物である。


 他にもいろいろ作っており、彼女一人で地球の文明は十年は進んだ。と言われているが、ここにいる全員がそれを少し疑っている。


 というのも、果たして本当に十年でフルダイブシステムを作り上げ、今のサイズまで小型化し、市販化まで出来るのか。という話である。


 ちなみにすぐに作って市販化した理由は研究資金が尽きかけていたのでお金が欲しかったという理由である。


「つーかお前今どこにいんの?」


『えーと、どこだっけ。 田村〜ここどこ〜?』


『ロンドンだよ!! なんであんたはここの研究員とかと普通に喋ってんのに今いる国が分かんないの!?』


((((田村さん生きてた!!))))


 子供組四人の最初の感想はそれである。


 毎回自由奔放な愛夜華に振り回され、というよりぶん回され、戦場のど真ん中を駆け抜け、どこかのジャングルで原住民族に数日間追いかけ回されたりと、例えをあげればきりがないが、超ハイスペック人間モドキな愛夜華はともかく、人類の中では優秀な方とはいえ、れっきとした人間である田村がいつまで生きていられるかとこの四人は心配していたのである。


 ちなみに田村は美空の実家の剣道場の門下生で、愛夜華の幼なじみ、現助手である。


 なぜ田村が愛夜華について行っているかというと、愛夜華が海外に行く事が決まった時に田村が愛夜華に告白し、自分もついていきたいと言ったのだ。


 そして二人で数々の困難を乗り越えて二人の絆は深ま──ったかどうかは神の味噌汁というやつである。


 そんな理由で本人が幸せそうなので誰も田村を止めようとはしない。


『だって周りで喋ってんだからそれに合わせればいいだけじゃん』


「「「「「「『????』」」」」」」


 それを聞いた全員がなにを言っているか分からないという表情になる。なぜ話している言語をなにか理解せずに話せるのだろうか。


 見えている世界が違う。天才が天才たる所以である。


『んで、なんか用があったんじゃないの?』


「ああ、見てもらった方が早いな。しろ」


「はいはい、姉ちゃん久しぶり」


『久しぶりって程でもないけどね〜。ずいぶんと美少女になったね〜しろ。どしたのその格好』


 かなり今更だが人の性別が逆転しているというのに全員「今日は珍しい格好してるね」くらいの反応なのはなぜなのだろう? そしてなぜ誰もその事につっこまないのだろう。


「なんか『性転病』とかいうのと『幼体病』とかいうのだって」


『あー、そういえばどっかの研究所でそんな話を聞いた気がする。たしかそれ治らないよね? 顔立ちは昔の白夜だね。こんな美少女になるとは……やはり私の目に狂いは無かった!!』


「まったく同じセリフを昔聞いたな。大丈夫、あんたはしっかり狂ってる」


『えへへ〜、照れるなぁ〜。白夜程じゃないよ〜?』


「照れるな褒めてない」


「ところで明日にでもしろの服買いに行こうと思ってるんだけど、あやはどうする?」


 白夜と愛夜華が話していると由美が隣りから口を挟んできた。その言葉に愛夜華は、


『なんですと!? 明日!? 今すぐ帰るわちょっと待ってね。田村ー! 日本に帰るよ!』


『言うと思ったけど研究どうすんの?』


『だいたいは終わってんだから後はここの人達で出来るでしょ。不測の事態に備えて対処マニュアルも置いていく』


『不測って言葉が仕事してないんですが? まあ、そう言うと思ったから荷物は用意しておいたけど』


『田村ナイス! マニュアル10分で書き終える! それじゃあすぐ帰るから待っててね!』


 ブツッ、という音とともに通話が切れた。


「……相変わらず慌ただしいな」


「アレについて行ける田村さんすごいよね」


 研仁の言葉に白夜が答える。


「ところでそらはいつ抜け出したんだ?」


「いつの間にかいたな」


「まあ、そらさんは不滅なので?」


 陸斗の疑問に拓海が同調し、美空が答える。


 そこで由美がすでに白夜が船を漕ぎ始めているのに気付き、


「まあ、あやも明日には帰ってくるみたいだしあなた達はもう寝なさい」


「「「はーい」」」


「………あい」


 三人も白夜が限界である事に気付き、すぐに頷いて部屋へ戻る。




 その後、陸斗は寝る準備を済ましている間に白夜が一緒に寝ようとしてくる美空を部屋から叩き出しているのを眺めた後、


「さてと……寝るか」


 丁度寝ようとしていたところで、部屋のドアがノックされた。


「ん?」


 ドアを開けると、そこには少しアホ毛をへにょらせ、さらに少し涙目でこちらを見上げている白夜がいた。


「……いっしょにねよ?」


「?」


 まだ寝てもいないのに寝ぼけているのかそれともすでに夢の中なのか、という考えが頭をよぎり、目を擦り、さぁ現実を見るぞとばかりに目の前を見るが、変わらずそこにある現実(涙目の白夜)があった。


「……なんで?」


 とつぶやいたところで思い出した。


 ──『幼体病』は肉体だけでなく精神も幼児化する。


「……そらのところ行けば?」


「あそこは危険地帯」


「なるほどたしかに」


 美空に対する全員の認識がよく分かる会話である。


「今一応異性なわけだが、さすがにまずいとは思わんか?」


「? べつに問題ないでしょ?」


 意訳:お前幼女襲う度胸とか無いでしょ?


「馬鹿にされてるのか信頼されてるのかどちらでとれば?」


「両方かな?」


「せめて嘘でも信頼だけと言ってくれ……今日だけだからな?」


「……それは約束しかねる」


 結局陸斗が折れたようだ。陸斗はため息を吐きながらも白夜を中に入れる。


(これ明日絶対めんどくさくなるやつだろ)


 明日を思い少し憂鬱になるが、今考えても仕方ないのでさっさと眠る準備をする。



 次の日の朝、そんな陸斗の予想を覆す形の出来事が起こるのだが、その事を陸斗はまだ知らない。

 ども! 現在真っ昼間のロンドン市内を疾走中、紅月愛夜華です!

 しろの着せ替えなんて滅多に出来ないんだから早く帰らねば!

 というわけで次回はTS現代の定番、ショッピングです

 え? それはもう一つ後? まじで?


 次回:『暴走幼女と爆走少女』


 お楽しみに!!

 あれ? しろの身になにかが起こる気配が?

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