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言霊円~Border of the mankind~  作者: 羽葉世縋
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化け物と兵器

翌日ポース王子がやってきた。ヘリで数人の兵士を連れて颯爽と現れた。

「…随分少なくなったな。」

「色々と例外のことがあったもので。」

霊残が応える。

「それなら仕方ない。後で墓参りと言ってはなんだが祈りを捧げよう。」

王子は前とは違ってハッキリ話すようになっていた。

「言葉に迷いが無くなりましたね。」

「あぁ。なぜこの僕が君たちの悪口を言わねばならないんだと考えたら馬鹿らしくなってね。」

そう言うと懐から手紙のようなものを出した。

「これはカレットくんのお父様の親友から預かったものだ。」



栽の都の防衛機関のみなさんへ

この度は俺の御主人様、桜葉記紀が500年も迷惑をかけて申し訳ない。デウスを守るために俺は記紀を裏切ることに決めた。これから書くのは君たちがこれから殺すべき怪物たちの詳細だ。俺も裏で動く。


デンドロン

木の化け物。見た目は山吹色の少年のようだが油断してはならない。栽の都を囲む木の親玉だ。コイツを殺せば簡単に森は突破できる。1人が引き付けて他の場所から散り散りに森に入れば時間を短縮できる。


タンラン

カマキリの化け物。緑色のアホそうな奴。本気を出せば強いというが、臆病な奴だからきっと気にしなくてもいい。殲滅したいのなら一番力の弱い部隊を向かわせるのが吉。


バトラコス

毒ガエルの化け物。赤い服を着ている。毒の矢を使った遠距離戦が得意だから厄介だ。遠距離には遠距離が良い。


ハウドヴィス

黒い金魚の化け物。絶対にカレットが殺せ。カレットの母親を殺した張本人だ。仕組みはわからないが近づくと傷つくように罠を張るのが上手い。その分本体は弱いはずだ。しかし油断しないよう。


オピス

黒蛇の化け物。アダムという人間がいるのなら彼に殺せと伝えてくれ。しかしその名前で殺せるかいささか不安であるため、他にも数人連れていく方がいい。


ちなみに俺はカラスのヴァロナだ。空を飛べる。

君たちが来るまでデウスを殺されないよう上手くやる。そして奴の倒し方を探す。どうかできる限り強くなってから来てくれ。今の君たちでは到底勝つことは出来ないだろうから。




「父さんの友達かぁ…。」

「僕のお父様曰く、お父様もデウスさんの親友なのだそうだ。」

「なんで俺たちそのことを知らなかったんでしょうね。」

「きっと隠していたんだよ。理由はまだわからないけれど。」

カレットの様子に霊残は疑問を抱く。

「カレット…お母さんを殺した敵の話が出たのにどうしてそんなにも冷静でいられるんだ?」

そのことについてはカレットも疑問に思っていたらしいが、何となく答えは出ていた。

「…全く覚えてないから、でしょうね。母さんの思い出は父さんを取り返してからゆっくり聞こうかと思います。」

「そ、そうか…。」

どうやらカレットは父親のことしか考えていないようだ。

「さぁ、作戦を立てよう。力でかなわないなら頭も使おう。」

王子の指示で会議が始まった。




「…ふぅ、やっとできた。」

かなり苦労した。一晩かかるなんて考えもしなかった。

「御主人様、お疲れ様です。」

「あぁ、バトラコス。君の知識があったら楽なのになんで昨日に限っていなかったんだい?」

「あー、オピスの奴にまた食われまして。申し訳ございません。」

「毒は常に持っておきなさい。」

赤い軍服のような服装をした中年の男の名はバトラコス。非常に疲れた様子でソファに座り込む。

「デウスに殺される方がマシですね。オピスはしっかりと咀嚼して飲み込みますから。」

「どうせまた酒を飲んで酔っ払ってるんだろうね。帰ってきたらお説教かな。」

「そうしてください。」

そんな会話をしている横にはデウスがいる。

「鎖も外してるんですか?」

「うん。もう大丈夫だろうしね。」

「じゃあ完了したんですね、洗脳。」

「彼の意志はかなり強固でね、ズタズタにするのに時間がかかったよ。」

「わぁえげつない。」

「いいじゃないか。」

「まだ食べ頃じゃないんですか?」

「うん。もう少し美味しくするつもり。」

そう言うと記紀はデウスの頬を撫でた。赤い目は濁った黄金色になり、憎悪に満ちた表情は従順な犬のような笑みを浮かべている。

「さぁ、明日君の一番の親友を殺しに行こうか。」

デウスはただ笑って頷いた。

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