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第8話 天使ちゃん、貢物を貰う

 約一年と半年ほどの時が流れ、ティアマトは十四歳となっていた。



「どうでしょうか? ティアマト様」

「うん……良いです、悪くない。ぁん……」


 ニンリルがティアマトの白い肌に手を這わせる。

 たっぷりの亜麻仁油を裸体に塗りたくりながら、ゆっくりと各所のツボを刺激する。


「んぁ……」


 ニンリルの二十本の指が動くたびにティアマトは体を小刻みに震わせ、熱い吐息を漏らす。


「ティアマト、入るぞ」


 突如、ドアが開いた。

 半裸のティアマトとアダムの視線が交差する。


「この、変態ロリコン触手黒トカゲがぁあああ!!」

「わぁ! や、やめるんだ、落ち着け!」


 油の詰まった壺を投げつけられ、アダムは悲鳴を上げた。 

 

「黙りなさい! この発情トカゲが!」


 怒り心頭のティアマトをニンリルが宥める。


「て、ティアマト様、どうか落ち着いて……起き上がられてはダメです!」

「これが落ち着いてられますか!」

「見えてしまいますよ!」

「見えるって何が……」


 と、そこでティアマトは自分が臀部に布を一枚被せただけの、全裸状態であることに気付いた。

 この一年間で急速に丸みを帯びてきた美しい裸体が、完全に露わになっている。


「……」


 ティアマトは顔を真っ赤にし、ニンリルが差し出してきた布を奪い取るようにして取り、体を隠した。




 



 ティアマトは一度アダムを追い出し、服を着こんでからアダムを再び呼び出した。

 そして怒りに震える真紅の瞳でアダムを睨みつけ、その脛を蹴る。


「痛い、痛い……何をするんだね。確かに許可を取らずに開けたのは悪いと思っているが……」


 ガシガシと脛を蹴り上げるティアマトに、アダムは苦情を言った。

 といっても、今のティアマトは十四歳の少女程度の力しかない。

 脛を蹴られるのは確かに痛いが、それほどでもない。


「黙りなさい、駄トカゲ。トカゲの分際で人様の体を見ておいて!」

「だから謝っているだろう? 暴力系ヒロインは昨今では受けが悪いぞ」

「三枚おろしにしますよ?」


 ティアマトから殺気が放たれる。

 少し揶揄い過ぎたと思ったアダムは、これ以上ティアマトを刺激するのをやめた。


 そして要件を告げる。


「それはともかく、今日は商人が来ているぞ」

「商人? それは今に始まったことではないでしょう」


 ここ一年と半年でエレク国は急速に発展した。

 大洪水が遠因となって故郷を失った流民たちが次々とやってきて、このエレク国に定着したのだ。

 

 すでに七つの丘は全て埋まり、エレク国は中心となる都市とその衛星都市三つを合わせた合計四つの都市から成る、人口四万の国となっていた。


 これだけ人が増えれば、商人たちも自然とやって来る。

 エレク国の農産物を求めて、遠隔地から人々が集まり、エレク国は大いに発展していた。


「今回は総勢百人の隊商だ」

「百人?」


 商人が来ると言っても、貨幣経済が発展していない【アンキ】の商人の数や規模など高が知れている。

 それを考えると百人の隊商というのは異例の規模だ。


「これだけの規模となると、君が出迎える必要があるんじゃないか?」

「……それもそうですね」


 ティアマトは頷いた。







「始めまして。ティアマト様。私は隊商の隊長を務めさせて頂いている、アフマドと申します」


 ティアマトに対し、褐色の肌に長い耳の男性が一礼した。

 砂漠エルフ。

 【アンキ】の砂漠地帯に住む遊牧民の一つであり、陸上交易を担っている存在だ。


「これはご丁寧に。私はこのエレク国の国王兼神官長、ティアマトです」


 ティアマトも改めて名乗る。


「それで商売をさせてくれ……というのがあなたの望みですね」

「はい、ティアマト様」

「まあ、あなたが私に差し出せるものに依りますね」


 本当のところは商業税を取りたいところだが……

 エレク国ではまだ税制度が整備されていない。

 

 そもそも売上を正確に把握することは不可能に近いため、『売上に対して○○%』という風に税金を掛けることは難しい。

 が、それでも税金はできれば徴収したい。


 そういうわけでティアマトはエレク国に訪れる商人に、貢納を要求していた。

 

 非常に前時代的だが……

 そもそも使われている貨幣が未統一であり、金・銀・銅以外にも宝石や穀物、布、奴隷、家畜が“貨幣”として用いられることがある【アンキ】では、むしろこのやり方は合理的だ。


「あなたたち、砂漠エルフは遠隔地との大規模な交易に従事しているとか。期待しても良いですね?」

「無論です、ティアマト様。必ずお喜び頂けるかと」


 するとアフマドは背後に控えさせていた奴隷たちに、商品を並べさせた。

 まず初めにアフマドが広げたのは、精巧な模様が施された美しい絨毯。

 その美しい絨毯の上に次々と商品を並べる。


 その数は軽く三十を超えていた。

 これにはさすがのティアマトも驚きで目を見開く。


「どうぞ、ご覧ください」

「……」


 ティアマトは立ち上がり、玉座から降りる。

 そして護衛として側に立っていたアダムを引き連れて、しげしげと商品を眺める。


「随分と大きなルビーですね」

「それはルビーの中では最高級と言われる、ピジョン・ブラッドです」


 ティアマトは自分の瞳のような色のルビーが嵌め込まれた指輪を興味深そうに眺め、そして自分の手に嵌めてみた。


「わぁ! 綺麗です! ティアマト様!!」


 ニンリルが大絶賛をする。

 自然とティアマトの頬が緩む。


「ふふ、まあ私の美しさに比べればどんな宝石も霞みますけどね」


 自信に満ち溢れた表情のティアマトにアダムはちゃちゃを入れた。


「ほぉ……ティアマト。君はそういうのを好むタイプだったのか」

「何が言いたいのですか、アダム」

「いや、君は典型的な花より団子……痛い! 全く、乱暴だな」


 脛を蹴られ、悲鳴を上げるアダム。

 その他にも、美しい絹の織物や、真っ白い陶器、多種多様な香辛料など様々な宝物があった。


 ティアマトは絹の布を手に取り、軽く身に纏ってみる。

 それからニンリルの肩に軽く纏わせた。


「あなたはよく働いてくれていますし、その生地で服を仕立ててあげましょう」

「え、でも……」

「私の秘書がみすぼらしい姿をしていたら沽券に関わりますから」


 ティアマトはそう言いながらニンリルの髪を優しく撫でた。

 それからティアマト、ニンリル、アダムの三人は陶器を手に取ってみたり、香辛料の匂いを嗅いでみたりする。


 そして最後に三人の視線が一本の刀剣に集まった。

 するとアフマドが得意そうに解説を始める。


「これは空から降ってきた石に含まれる、鉄という物質から作られた剣です。青銅の剣よりも遥かに丈夫な武器です」

「鉄鉱石から作り出した鉄の武器ならありますが、隕鉄は珍しいですね」

「ええ、隕鉄はそう滅多に……鉄鉱石?」


 アフマドの表情が硬直する。 

 ティアマトはニヤリと笑い、アダムに目配せした。


 アダムは剣を抜き、それをアフマドに見せた。


「鉄は我が国の特産品です」


 エレク国の農具、そして武器は全て青銅器・石器から鉄器へと置き換わっている。

 そこでティアマトは少量ではあるが、鉄製品の輸出を行っていた。

 

 常に作り続けなければ技術の伝達と研鑽はできないが、余った鉄を在庫に腐らせるのは無駄なだけ。

 ならば国威発揚も兼ねて、少量を輸出した方が良いという考えだ。


(まあ、いつかは技術も流出するでしょうしね)


 ティアマトは技術の完全な独占は不可能だと考えている。

 下手に独占し、秘匿するよりは積極的に鉄を生かして、国力を底上げした方が合理的だ。


「て、鉄を作り出せるのですか!?」

「ええ、無論。欲しいですか? まあ、貴重な品ですから、無論対価は支払って貰いますが」

「是非! それと毎年……いえ、毎月この国に訪れても?」

「毎月、貢納を欠かさずしてくれるのであれば、構いませんよ」


 するとアフマドは笑みを浮かべた。


「無論です……早速、故郷に使いを出しましょう。毎月、通商をさせていただきます」






「商品を売ると、早々に帰っていったな。まあ、すぐに戻ってくるのだろうが」

「ですね……」


 立ち去っていく隊商を塔の上から眺めながら、ティアマトとアダムは会話をしていた。


「しかしこの国も随分と発展したな」

「そうですね……しかし、油断はできません」

「それはまた洪水が起こるということかね?」

「いえ、まさか」


 ティアマトは首を左右に振った。


「豊かになるということは、その富を狙う者たちもやって来るということですから」


 そしてそれは商人のように、平和的な手段を取るとは限らないのだ。

天使ちゃん、マジ天使!

天使ちゃんにお近づきになりたい!!


とお思いの方はブクマpt(信仰心)をお送りください

きっとお近づきになれます

ついでにご利益で成績も上がり、部活でも大活躍でき、彼女もできるようになります

社会人の方は収入が上がり、夫婦生活が上手くいくようになるはずです(効果には個人差があります)

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