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作者の体験した恐怖体験録  作者: パイオニアレポート
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水の都

これは私が専門学校2年生の時に体験した話です。

私の通っていた専門学校では2年生になるとイタリアのミラノにある同系列の専門学校に一週間の予定で研修に行くという研修旅行がありました。


予定としては6泊して7日目に日本に帰るという日程です。

季節は12月の冬でした。ですが、イタリアの冬は日本の冬とは違い過しやすかったのを良く覚えています。


このイタリア研修は今思うと良い意味でも悪い意味でも私の記憶に一生残るだろう旅行となりました。


研修旅行1日目は到着してホテルに荷物を預けるとすぐにバスに乗ってミラノ観光。ミラノ市内の観光スポットを巡ったり昼食や夕食をレストランでとって、ホテルに戻ると明日から始まる専門学校での研修に関するブリーフィングが行われ、通学に当たっての通学手段としてのトラム(路面電車)の利用方法。各個人で通学するに当たっての注意点などが説明されてその日は終えました。


その後、翌日から研修が始まったのですが、研修旅行といっても、研修自体は一週間の内、4日程度の半日授業しかなく、実質は殆どの時間は自由でした。各々自由に行動しました。有名な世界遺産を見に行く人もいればグルメに興じる人もいました。


一方で、私はといえば、自由時間の間、独りで行動し本屋に行ったり、街を巡って普通の住宅街や町並みの写真をとったりしていました。ただ、食事は、私が重度の外国語コミ障だった為、朝食はホテルのバイキングでしたが、昼飯と夕飯は店員と会話せずにすむスーパーでサンドイッチとカットフルーツを購入する等、旅行というより現地の金のない学生みたいな生活をしていました。

あとは、家族や親戚へのお土産として5日目の時には同じスーパーでパッサパサのチョコケーキとキャロットケーキ、レモンケーキも買いました。


ただし、私があまりにも、イタリアのスーパーに慣れていなかった為に、例えばレジ。日本の感覚では店員が袋に商品を入れてくれるのが普通ですが向こうでは自分でやれスタイル。そこを分かっておらずレジの店員になんだこいつみたいな顔をされてしまったり、商品を買いすぎてリュックに入りきらずそれでもリュックに押し込もうとしたあげく諦めて山の様な商品を抱えてホテルに帰るという失態を犯したりしました……。イタリア滞在中私が最も使った言葉はボンジョルノ~でもボナセーラ~でもグラッツィエ~でもなく非常にテンパった結果、ソーリーでした……。イタリアなのに何故かイタリア語でなく英語……でした。


……。


と、言ってもスーパーでのコミュニケーションはレストランとかに行くよりは遥かに最低限に済んだ気がします。ただし、コミュニケーションは最低限に済みましたが、あまりにも店員達の印象に残ったのでしょう。最後にスーパーに行った時、私は有名人でした。5日目の夜には、私が店に入ると、私を見た店員達が私を見て笑みを浮かべ私がレジを通過すると、レジの店員が私に向けてバイバイと言いながら手を振られる始末でした。


ただし、私の感覚としては、それは決して悪意を感じるものではなく、もしも1年位イタリアに住んでこのスーパーに通い続けたとしたら、誰かと仲良くなれるだろうなぁと思える感じです。結果としては恥ずかしさはありますが、良い経験だったと思います。


そして研修旅行6日目、帰国を翌日に控えたこの日。

私達、専門学生一向はイタリア版新幹線に乗って水の都、ヴェネツィアに行きました。

ヴェネツィアと言えば伝説のアニメARIAの舞台でもあります。

ただし、現実はARIAの劇中よりも人口密度で私個人としてはARIA気分は味わえませんでしたが……。


ヴェネツィアではサン・マルコ広場を集合場所に半日間の自由時間が与えられました。


自由時間、私は同級生の皆が観光エリアに入っていくなか、明後日の方向へと向かっていました。

というのも、ヴェネツィアにおける私の目的は実は海洋史博物館という博物館に行くのが目的だったのですが、この博物館。調べてもらえば分かると思いますが位置的に観光エリアから離れた位置にあるのです。

また、半日という限られた時間から、私は日本に居るときに、グーグルマップと睨めっこをしながら、観光計画を立てたのですが、観光エリアからは離れた位置にある為、他の観光スポットに行くのは早々に諦めてヴェネツィアの端っこまで行こうと思いました。

それに私の海外旅行での趣味は主に普通の住宅街の写真を撮ったり行く事です。私は根っから何故か世界遺産の建物だとかには興味が無い人間で、何故かそこに住んでいる人の空気感というものを味わいたいという人間でした。ですので、観光エリアはすぐに諦める事ができたのです。それに、こんな事は他の人は中々しないだろうという考えもありました。


こうして私のヴェネツィア観光は始まり、ひたすらヴェネツィアを西へ西へ。雄大なアドリア海を右に歴史的な街並みを左に望みながら進みました。


目的の海洋史博物館で船を見てトイレを借りて、それから色とりどりの洗濯物が沢山干してあるまるで絵画の世界に迷い込んだかの様な錯覚を覚える幻想的な路地を見たり、謎のオブジェを見たり、しながら、最終的には普通の一般住宅地へとたどり着き行ける範囲ギリギリで私はヴェネツィアの端に来るという目標を果たしたのです。


目標を果たした私は途中、絵を買ったり、ベンチで休憩を挟みながら集合時間に間に合うように帰路につきました。


とても満足した気分でした。

素晴らしいの一言です。


私はヴェネツィアでなんとも言えぬ達成感を感じていました。

そして、集合時間になり、再びサン・マルコ広場で集合した私達は、ミラノのホテルへと戻る為に新幹線の駅へと向かったのでした。


駅のホームで、新幹線が来るのを待っている間。私は強烈な空腹感を感じていました。

というのも、実はこの時、私は朝食は来る時の新幹線内で軽食を食べたものの、ヴェネツィアに着いてからは食事を一切取っていませんでした。飲み物は飲んでいましたが。その為、お腹がすいていたのです。


すると、この時、私の目にホームにあるピザ屋が目に入りました。

そういえば、私はイタリアに来てからパスタは食べたものの、ピザは全然食べていませんでした。イタリアといえばピザです。この時、このままでは、私はせっかくイタリアに来たのにピザを食べないまま日本に帰ってしまいそうと危機感を感じました。なにせ明日には飛行機に乗って日本に帰るのです。


私は2つのピザを購入しました。普通のトマトのピザとオリーブオイルのピザです。

ちなみに、私の買ったピザはクレープの様に丸めて食べるタイプです。


一つは新幹線を待つ間にもう一つは新幹線の中で食べようと思っていましたが、一つ目を食べて驚きました。物凄く美味しいのです。空腹だったというのもあるかもしれませんが、これがイタリアのピザかと思う位には美味しくて、二つともホームで食べてしまいました。


そして、新幹線が到着して、私達はそれに乗り込んだのです。


しかし、この時私はまだ気づいていませんでした。

この新幹線が私の恐怖の始まりだったとはまだ、気づいていなかったのです……。


新幹線に乗って1時間程たった時の事でした。

私は頭痛に襲われて座席でうな垂れていました。歩きすぎて疲れたのかもしれないそう思いました。


しかしです。

さらに時間が経過すると何か変だと感じました。

頭痛は相変わらずだったのですが、それと一緒に気持ち悪さも私を襲ってきたのです。


ミラノに付くころには私の体調はもう最悪でした。

私はこの時、分かりました。原因はあのピザだな!と。ピザを食べる前は絶好調でした。ですが、ピザを食べてからこの有様です。あの日食べた食べ物で思い当たるのはピザしかありません。


ただ、食べ物に当たるという経験は日本でもあったのですが、頭痛も一緒にやってくるというのは初めてだった為、食べ物にあたったという絶対的な確信はこの時はまだありませんでした。もしかしたら風邪かもしれません。


ですが、あのピザの事は常に頭の中にありました。


駅に到着する頃には私は周囲の人から顔色が真っ青で大丈夫?と言われる有様です。


私はこの時、本当に早くバスに乗って早くホテルに戻りたい気分でした。いえ、気分ではなく体調でした。それだけキツイ状況だったのです。


しかし、現実は私に非情だったのです……。


朝、ヴェネツィアに行く為にミラノの駅に行った時はバスに乗って行きました。ですから、私は帰りもバスがあると思ったのです。なんと、衝撃的な事に帰りはミラノの駅からホテルまで徒歩で戻るという驚愕のタイムスケジュールだったのです。


私は体調が最悪の中、歩いてホテルに向かいました。


頭は痛いし気持ち悪い顔色も真っ青そんな状況でです。

ですが、歩いて戻る事事態には問題はありませんでした。確かに体調は悪く足も少しフラフラでしたが、結果的に言えば自分の足でホテルの部屋に戻る事はできました。


しかしです。問題はその道中にあったのです。


元気な時はまったくと言って良い程までに感じなかったのですが、駅を出た瞬間でした。

イタリアの街中何処へ行ってもピザの匂いが漂っていたのです。恐らく、体調が悪くなって嗅覚が敏感になったんだと思います。


ただでさえ、ピザで体調を崩した私はその匂いが堪らない程に地獄でした。


何処まで行っても……。


ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ!!!!


頭も痛いし気持ち悪いのに、ピザの匂いが何処までも永遠の続くのです!

頭が本当に本当におかしくなるかと思いました……。


この時のピザの匂いは本当にトラウマで……それまでは、私、ピザは普通に食べられていたんです。ですが、今ではこの時の体験が完全にトラウマとなってピザを食べようとすると拒否反応が出るようになってしまいました……。コンビニのピザトーストとか大好きだったのですが、それも食べられなくなりました……。ピザソースもです……。大好きだったんですがね……。


ホテルに着いた私はすぐにベットで横になりました。

ですが、体調は一向に回復せず、しまいにはトイレで吐いてしまいました。


そして、ここからが、私の人生でもっとも未知の領域の症状に襲われる事となったのです。


私は寝ようと思ったのですが、眠れませんでした。というのも、異常に喉が乾くのです。

それは本当に異常な喉の渇きで、人生で経験した事のない喉の渇きなのです。


スーパーから買ってあった水のペットボトルを2本すぐに飲み干してしまい、有料だから金を払いたくない場合は手をつけないようにと言われていた冷蔵庫内の有料の水のペットボトル2本までを飲み干し、さらに、私は普段、炭酸が嫌いなので飲まないのですが、炭酸水のペットボトルを2本飲み干してしまったのです。


ですが、私の喉の渇きは全然収まりません。

しまいには余りにも喉が乾きすぎて、日本の水道水とは違うから絶対に飲まない様にと言われていた水道水にも手をつけてしまったのです。それは本当にガブ飲みというレベルで。


同室の同級生がそんな私を心配して同伴先生に言ってくれて、先生が私の元にペットボトルの水を数本集めて持ってきてくれました。


結局、それもすべて飲み干してしまうのですが、なんとかその夜はそれで凌ぎ、なんとか眠る事ができたのです。


翌日、私の体調は昨晩と余り変わりませんでした。

ただ、顔色は少しだけ良くなり、喉の渇きも無くなりました。ですが、飛行機に乗って日本へと帰る訳ですが、イタリアのミラノの国際空港から日本の成田空港までの飛行時間は約12時間なので途中、機内食とかも出るわけですが、食欲が無い為に食べられませんでした。


日本に到着した私はすぐに体調の事を親に連絡。

翌日、田舎からやってきた母親に付き添われて病院に直行しました。


その結果、言われたのが……食中毒です。


やっぱりかーと思いました。やっぱりあのピザじゃないかと。

ただ、医者によると症状から食中毒なのですが、異常な喉の渇きを伴う食中毒というのが分からなかったみたいで、日本には居ない菌かなにかが原因かもしれないとの事でした。


私はとりあえず、病院から処方された食中毒を治す薬を貰って一週間近く自宅で寝たきり生活となりました。体調自体は薬のおかげもあって少しずつ改善されていきました。一週間がたった頃には殆ど症状は無くなりました。ただ胃が少しおかしいかな?といった感じです。


1週間の間。食事はずっとゼリーか、おかゆです。なお、おかゆ生活は胃に負担を掛けないようにと、その後2週間以上続きました……。


ちなみにですが、どうやら私以外にもこの研修旅行中に似た様な食中毒になった人が居たみたいで私を含めて3人くらいが体調不良を訴えたそうです。ただ、私が一番重症だった様ですが……。


皆さんも、海外へご旅行の際には食べる物には細心の注意を払って下さい。

ただ、私みたいなパターンは自分では防げないかもしれませんが……。


だって駅のホーム内にあるお店のピザですよ?

誰だって安心して買うじゃないですかそれは。それを買って食中毒になってしまった訳ですからね……。


皆さんもお気をつけて。

私みたいに好きな食べ物がトラウマになって食べられなくならない事を祈ります。


PS.

イタリアのスーパーで買ったお土産のケーキですが、厚さは薄いのですが、大きさは1ホール分です。それは8箱買いました……。帰りにただでさえ具合が悪いのに持って帰るのが大変すぎて後で後悔してしまいました……。なお、そのケーキのお味なのですが、普通に美味しかったのですが、チョコレートケーキがめちゃくちゃ乾燥していまして、ケーキなのに馬鹿でかいカントリーマームを食べてる様な錯覚を覚える程でした。ちなみに、飛行機に乗せたから乾燥したのではなく、最初からです。イタリアに居る時にお土産どれにしようとか考えてた時に試しに1箱買ってきて食べたので間違いないです。ただし、お値段は1ホールと考えたら安かったですし、ケーキなのに保存も利きますし、ケーキの種類にもよって乾燥しぎみですが、味も良好でしたので、お土産としては普通に優秀なのではと思いました。買いすぎには要注意ですが……。


Mulino Bianco Torta Pronta da Gustare con Crema al Limone per una Merenda Gustosa e Morbida - 620 g


Mulino Bianco Torta alle Carote con Gocce di Cioccolato per una Merenda Gustosa e Morbida - 500 g


↑これを書くにあたって、ひさしぶりに、思い出して調べたから3つのケーキの内、レモンケーキとキャロットケーキしか見つかりませんでした。チョコケーキに関しては似た様な箱に入っていたと記憶しているのですが、私の記憶の物と一致する物が見つかりませんでした。興味のある方はAmazon.itで売っている様なのでぜひ購入してみてください。ちなみに、この二つは私が購入した当時はパサパサではなかったです。如何にも海外のお菓子!という感じで好きな人は好きな筈です。


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