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作者の体験した恐怖体験録  作者: パイオニアレポート
2/6

誰かいる


これは私が中学三年生の頃に本当に体験した話です。


中学三年生の頃、私は学校の帰り、ちょっと変わった帰宅をしていました。

当時、私には2つの家がありました。

一つは中学二年生まで私を含めた家族一同が住んでいた古い家。

そしてもう一つは当時、私が住んでいた新築の家です。

私は当時、中学校が終わると新築の家にはすぐに帰らずに一旦、古い家に行き玄関の鍵を開けて自分の部屋でゲームをしたりして時間を潰し、新築の家から祖父が車で私を迎えに来るのを待つというのを繰り返して行っていました。

というのも、古い家は中学校に比較的近くにあったのですが、新築の家は中学より遠かったからです。

ですから、古い家といえど、私の部屋には荷物が多く残されていました。

テレビゲームやボードゲーム、その他、ストーブや扇風機などです。


当時、私はこのちょっと変った生活スタイルを非常に気にいって満足していました。

私の家はゲームなどに厳しく父や母にゲームをやっている所をみられると色々、文句を言われるのが当たり前の空気でした。


ですが、この古い家にいる間は私は解放されている様な気分です。

この古い家には日中基本的には私だけです。

ゲームをしようが、友人と遊ぼうが、エアガンのためし撃ちをしようが怒られる様な事はなかったのです。


そんなある日の事でした。


その日も私は学校が終わると一目散に古い家への帰路についていました。

当時、私は部活もやっていなかった為に帰宅部のエース(笑)と周囲の者達から呼ばれていました。

変な話ですが、クラスでは一番先に帰るのは殆ど私でしたし、私の学年全クラスの授業が仮に終わったのなら恐らく1位2位は争える帰宅速度だったと思います。

学校の玄関にまだ私しか居ないなんて事もよくありました。


そして、その日もいつもの様に古い家へと向かったのです。

私は家につくとリュックサックから家の鍵を取り出して玄関の扉の鍵穴に差し込みました。


しかし、そこで私はある事に気づきました。


玄関の鍵が開いていたのです。


私は祖父がもう来ているのかなと思いました。

今までも私は祖父が私より先に家に来て色々やっている所を見た事がありました。


たとえば、普段は使わないレコード盤を使って007のテーマ曲を流して聞いていたり、庭木に水をやっていたりと、まぁ色々です。


ですが、この時は少しだけ違和感を感じたのです。

祖父が来ているのであれば、庭に祖父の自動車が停まっているはずです。

ですが、庭に祖父の自動車はありませんでした。


私は昨日、祖父が鍵を閉め忘れたのではと思いました。


この時はこの程度に考えていたのです。


私は玄関ドアを開けると家の中に入りました。

玄関ドアの扉が閉まり、ドアに付けられたベルがチリリンと鳴ります。

ですが私はここで第二の違和感を感じたのです。


これは、なんと説明すればよいでしょうか……。

この第二の違和感とは端的に言うと空気というか、気配です。


私以外は誰もいないはずの古い家。


そのはずなのですが、私はこの時、家の中に音などは一切しないにも関わらず、なんだか胸騒ぎというか、自分以外にも誰かが居るような、そんが空気とも気配とも言えるようなそんな感覚を覚えたのです。

確実にいつもの感じとは違う……そう思いました。


私はその異様な感覚に困惑しましたが、とりあえず、家に上がる事にしました。

気にしすぎだと自分に言い聞かせ、二階へと上がり四畳半の自分の部屋へと入ったのです。

ただ、気にしすぎとはしながらも、私はこの時、かなり警戒しながら自分の部屋へと入った様に思います。


いつもならば荷物を置いてテレビをつけてゲームをしはじめるのでしょうが、この時はそんな事をする気にはなりませんでした。


家の中に自分以外の誰かが居る……そんな気がして仕方なかったのです。

私は言い知れぬ恐怖を感じていました。


恐怖を感じた私は部屋にある押入れの戸を開けました。

あるものを取り出したのです。


そのある物とは、祖父の持ち物である本格的なライフルの形状をしたエアーガンです。

もちろんこれで、もしも、この家に本当に侵入者、泥棒の類がいたとして対抗できるとは思っていません。

ですが、このエアーガンは金属と木材の集合体で、安っぽいそこらのプラスチック製の物ではありません。ライフルを逆さまに持ち銃底を鈍器にすれば例え侵入者が居て出くわしても最低限の撃退はできると考えたのです。

これでも一応、小学生の時は剣道のクラブに入っていたのでそんな自信が出ていたのかもしれないと思います。


鈍器を得た私はこの不安の原因を取り除くべく、この不安が勘違いであると確かめるべく、ライフル銃を持って自分の部屋から出ました。

部屋から出た私は最初に二階の部屋を全て回ると、次に階段を下りて一階へと降りました。

私はライフル銃を逆さに持って全ての部屋を回りました。


侵入者らしき人物は見当たりません。


ですが、この時、私が感じていた人の気配はより大きくなっていました。

怖くなった私は一階の居間で声を上げました「居るなら出て来い!」


…………。


ですが、帰ってくるのは沈黙だけでした。


一階に居るのが怖くなった私は逃げるように再び自分の部屋へと戻りました。

部屋の扉を閉めて、扉から離れた対角線上の部屋の隅に座って、ただ、護身の為に持ち出したライフル銃を握り締めていたのです。

とりあえず、祖父が迎えに来るの待つことにしました。


そうして部屋の隅で怯えて時間が徐々に経って行きました。


すると、そんな時でした。


突然、チリリンとベルの音が鳴ったのです。


聞き間違えるはずがありませんでした。

そのベルの音は私が長年、この家で聞きなれた玄関ドアが閉まる時に鳴るベルの音だったのです。

私の家の玄関ドアはドアが閉まるとベルが鳴る構造をしていました。

そして、このベルはどんなに静かに扉を閉めても音が鳴るようになっていました。


そのベルの音が突然聞こえたのです。


そして、その直後、家の外の方から砂利を駆ける音が聞こえました。

私の家へと繋がる道路は砂利道です。

走れば、二階からでもその音は聞こえます。


私はすぐにその人物の姿を捉えようと、外を見ましたが、すでにその人物は見当たりませんでした……。


私はぞっとし驚愕しました。あの気配は勘違いではなく本当にそうだったのです。

私以外の何者かが私と同じ空間内に居たのです。


その後、祖父が車に乗って私を迎えに来ました。


私は祖父が来るとすぐに家の中に誰かが居た事を伝えました。

しかし、祖父は気のせい気のせいだと、言って信じてはくれませんでした。

私は新しい家に帰った後も父や母に誰かが居た事を伝えましたが、残念ながら家族は全員、気のせいだといって私の話を流してしまいました。


それから数週間後の事です。


私たち家族の下に警察から突然、電話がありました。

その内容は、古い家に不法侵入をしようとしていた者が居て、近所の人が通報したというものでした。

この時の古い家に不法侵入をしようとしていた者は……私の中学の友人でした。

とても仲が良かったのでとても意外に思い驚いた記憶があります。


ですが、この件は私たちは不問にしました。

警察は被害届を出すべきと言って来ましたが、あくまで私の友人であり、特に大事な何かが盗まれたとかの被害は無かった為、被害届は出しませんでした。

ちなみに、この友人の事ですが、私は現在でも友人であると思っており、これは揺るぎませんし私も私たち家族も誰も怒ってもいません。

この一件の後も交流があり、今でも友人ですので、この友人には何ら悪い感情は抱いていません。


ですが、侵入者が居たという事実は数週間前に私が体験した出来事を家族が信じる根拠となりました。

母と父は古い家にまだ置いてある自分達の私物の引越し作業を進めました。


そして、この作業の際にある事が分かったのです。

二階のリビングに置いてあった母の五百玉貯金箱の中身が半分近く無くなっていたのです。

そして、本来ならば貯金箱の中に入っていなければならない五百円玉の記念硬貨がなぜが、玄関付近に落ちていました。

私たち家族はこれを受けて家族会議を開きました。


議題はもちろん、五百玉貯金箱の中身についてです。

そして、この会議の結論は泥棒に入られたでした。


被害額は恐らく数万円以上。


家族の一人は私の友人を疑いましたが、友人は物は取っていないと言っています。

それに、私が体験した話も大きな問題になりました。


なぜなら、私の体験から分かるのは古い家への侵入者は少なくとも一人では無いという事なのです。

なぜ一人だけではないのか。


私がこの体験をした当時、私はいつもの様に急いで家に帰ったのです。

そして不法侵入をしてしまった私の友人は私と同じクラスでしたが、この日、私はクラスで一番早く帰ったのです。


つまり、私の友人は私があの体験をした日には確実に居なかったという事になります。

そして、知り得る限り、あの日、私が学校を出た時は玄関には私ぐらいしか生徒はまだ来て居ませんでした。


ここで、あの時、古い家に居たであろう謎の人物は少なくとも中学生ではないという可能性が高まります。


では、あの時、誰が古い家に入ってきていたのか……。


ちなみに、家族会議の際に町の色々な情報でここ最近、不審者が目撃されているという情報がありました。

空き巣もあったとの事です。


結局の所、貯金箱から金を盗んだ人物は誰だったのか。

あの日、私が古い家に行った時に居たであろう謎の人物が誰だったのか。

それは分かりません。


ですが、一つだけ言えるのは、あの時、私が古い家に帰った時に玄関の鍵がなぜか開いており、中に入った時に感じた違和感と玄関の音や砂利道の音は事実。そして古い家への侵入者は少なくとも一人ではなく二人は確実に居るという事なのです。

そしてその謎のもう一人は中学生ではない可能性が高い……。


私はあの時、あの家で、少なくとも私の友人ではない何者とも知れぬ謎の侵入者と同じ空間に居合わせてしまったのです。


この体験は今では笑い話です。

ですが、当時は非常に怖い体験でした。

もし、あの時の私が居合わせた侵入者が私達の予想通り泥棒だったとしたら……。


よくニュースで泥棒と鉢合わせて殺されたなんで話は良く聞きます。

そう考えるととても怖い話です。


ですが、私はこの事件で思った事が一つだけあります。

護身用の装備は家には一つ、必ず置いておいた方が良いという事です。

私はあの時、幸いエアーガンを持っていました。

今でもあのエアーガンは家に大事に置いてあります。


正直言ってただの鈍器ですが無いのと有るのでは安心感が全然違います。


もちろん、それで安心という訳ではないですが、緊急時にすぐに使える護身用の装備は身近に置いて置くべきだと声を大にして訴えたいです。


田舎でもこんな事が起こる時は起こるのですから。


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