#1 始まり
割と適当なので気にしないでください。
緑の生い茂る森、せせらぐ川、囀る鳥。
そこに響く少年の怒声。
「てめぇ!!キモイんだよ!」
なんと低レベルな悪口か。
この少年の悪口のボキャブラリーには「キモイ」、「バカ」、「アホ」とかしかないのではなかろうか。
そんなことを思いながら罵声を浴びせられている、10歳程の子供がいた。
その子供はこの国では珍しい黒い髪の毛を肩にかかるくらいに伸ばしていた。
あまり櫛を通していないことが伺えるほど、ボサボサである。
前髪は目にかかっており、見えているのかすら不安になるほどだ。
背は小さく、ガリガリに痩せている。
対して、罵声を飛ばしている少年はふくよかな体型をしている。
12程だろうか。
金髪にそばかす、細い目。
典型的なガキ大将のようだ。
近くには2人、子分を引き連れていた。
「おい!聞いてんのか!」
少年はまたも叫ぶ。
しかし、黒髪の子供は全くの無反応である。
「聞いてねぇなら、こうだぞ!」
少年は足元にあった大きめの石を取り、黒髪の子供に投げ、
ガッ!!
見事に額へと当たった。
「っ痛…」
「な…よ、避けない方が悪いんだぞ!!」
もはや逆ギレである。
少年は走り去って行った。
本当に何がしたかったんだ?
そう思わずにはいられないほど不思議な行動をとっていた。
子供は少年の支離滅裂な行動を不思議に思いながら川の上流へ向かった。
子供が向かったのは、村とは反対方向で、あまり人が寄り付かない場所だった。
人は寄り付かない。
つまりは人の手が加わっていない。
人の手が入らなかったからこそ出来た、美しい世界が広がっていた。
草木は生い茂り、鳥は唄い、動物は遊ぶ。
下流より遥かに"生"があるれていた。
ここは黒髪の子供のお気に入りの場所である。
何かあれば、いや、何も無くとも毎日来ていた。
そう、"毎日"来ていたのである。
今日はどの子(動物)が来ていない、あの子(動物)は新しく来た子か。
そんなレベルで、いつもと違う事には敏感であった。
しかし。
しかし、人の来た形跡も無いのに。
剣が刺さっていた。
見覚えが"ある"ものが。
そして「剣」は言う。
「久しぶり」と…。