五話
「ここは食堂」
もうすぐ夕飯時だからか食堂からはとても良いにおいがした。おなかすいたなぁ。
「ここは図書館。軍人といえど知識は必要ですから、わからないことがあったらここで調べるか、私や三人に聞いてください」
図書館の中は本だらけだった。そりゃそうだ。バルドさんが一冊、本を借りていた。ちなみに私は真面目な本を読むと寝る。
「ここは訓練場です。ここのほかにも何か所かあるでそちらも使用してください。訓練場には防御魔法がかけられていますから、思う存分暴れられます」
中から雄叫びとすごい音が聞こえたが皆スルーしてた。きっと日常茶飯事なんだろう。
「ここは射撃場。銃の訓練はこちらで行ってください」
私は銃をよく使うので今度来よう。中から爆発音が聞こえたのは多分きのせい。
「ここは会議室。何か仕事の説明をするときなんかに使います。覚えておいてください」
会議室というプレートがつけられた扉がいくつもあったが……会議室っていくつあるんだろう。今度数えてみよう。
「そしてここが武器庫。最初はここから武器を借りて構いません。慣れてくると皆ラボの方に依頼します」
様々な場所を回った後にたどり着いたのは武器庫だった。中に入ると銃や剣、様々な武器が置かれている。
「ここにあるのはすべて魔法武器です。……フィオーレの武器は明日選びましょうか」
「ここには魔法武器しかないのですか」
「そうですね。ここは魔法軍の施設ですから」
「なるほど」
この国には魔法軍と普通の軍に分かれている。有力種はどうしても人数が少ないので、彼らだけで戦力をそろえるのは少し難しい。だから普通の軍も存在する。
ここに保管されている『魔法武器』は『魔石』という石を組み込まれた武器のことだ。
『魔石』は『魔物』の体内で作られる石で。魔力を流し込むとそれを増幅してくれる。
人間は保有できる魔力量が少なく、魔石を使わなければまともな威力の魔法を繰り出せない。勿論、例外はいくつかあるが。
この『魔石』だが、とても便利だがいくつか弊害もある。これは魔物からしか取れないので、魔物を倒して手に入れなければならない。魔物は基本的に強いので、必然的に魔石は高価なものになる。そしてこの魔石、魔力を増幅してくれる代わりに、魔法属性が固定される。
人間の魔力はもともと無属性、つまりどんな魔法も使える、とても便利なものだ。だが、魔石を使うと魔石の属性に固定されてしまう。自由度が格段に下がる。
まぁ、私には関係ないけどね!
希少種である私は人間が保有できる魔力量をとうに超えている。魔石に頼らずとも十分な威力の魔法が繰り出せるのだ。ていうか、魔石を使おうとすると、相当気を付けて使わないと魔石が流し込まれる魔力量に耐えられず、割れる。だから「ただでさえすごい威力の魔法を、魔石を使ってさらに強力にしてやるぜヒャッハー!」なんてことはできない。ちょっと悲しい。無双してみたかった。
なので私はこの中から武器を選ぶことはできない。毎回壊していいなら選ぶけど。
……まぁ、後で言えばいいかな!!