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前編

数十年前とある土地に慈愛と癒しと良心を司る神の国が存在していたその国は人に滅ぼされたのではなく……

疫病によって滅んだとされている…ただひとりの姫をのぞいて…


とある一座に美しい歌声の歌姫がいました。


彼女の歌声は神をも魅了するだろうと人々が囁いていました。


正に神に愛されし美しい美貌の持ち主であり…

彼女にはいくつもの縁談がありました。


それなのに平凡を絵にかいたような冴えない男と結婚しました。


彼女と男の間には娘が産まれました。


娘の名はカナリアと名付けられました。

容姿は父親似の平凡な顔で声は母親の美しい歌声が受け継がれました。


その二人の娘カナリアが8才の時とある帝国の(ちまた)では奇妙な噂がありました。

当時の帝国では女児ばかりが身元不明のバラバラ死体で見つかると言う事が多発していました。


カナリアは自分が作った料理を一座の皆に食べてもらおうと一座の人達に持って行ったのだが皆が真っ青な顔で『カナリアおまえが皆のために愛情込めて作ったのだけはちゃんとわかってるだがすまん俺達はまだ長生きしたいんだ!』と訳のわからない言葉で拒否された…


そんなに皆に拒否された食べ物をがつがつ自分だけで食べる事になったがカナリアは皆に拒否されたのが不思議でならなかった…


「何で?こんなに美味しくできたのに?!」

カナリアには本気でわからなかった。


野外で寝泊まりするのが日常のカナリア達一座は今はアルクブル帝国の宿に滞在している。


恐顔と一座以外の人々に恐怖される顔の団長イカルドはカナリアが今まさに食べている物を見て恐怖していた…確かに民族料理としてある料理ではあったのだがいかんせん団長と団員達は苦手だったカナリアの父親もよくあの料理を(この)んで食べていたのだが…


バッタとカエルにミミズといったグロテスクな料理である…


カナリアは自分の顔を平凡顔だと思っているようだがちょっと特殊な顔でよく見たら整っているとイカルドは思っている。


カナリアの父親は元々カナリアの母親を殺しに来た暗殺者だった冴えないように訓練され目立たないように暗殺者として生きて来た一族だったらしい…カナリアにも無意識に少し訓練してしまったと言っていた。


「おーい!リアちょっと買い出しに行って来てくれ近くの酒場で酒買って来て欲しい」

「えーサルクが買いに行けばいいじゃん!自分で飲むやつでしょ?」


サルクは茶色のボサボサな髪をかきながら言ってきた無精髭をはやしたままである


「そうだけどーもうすぐククに子供が産まれそうで見てないといけないから~他のやつらじゃ行ってくれないだろ?ここの団員酒飲まないやつらばかりだし唯一飲みそうなキラはどっかに行って頼めないから…」


まあここの団員は訳ありで戦争とかで荒れるだろうと予測した家族が逃げる手段として旅芸人に成ったと言う団員が多いしお酒がちょっと多額なのも飲まないというか家計にひびくので飲めない…

サルクは自称商家の放蕩息子でお金はあるらしい…


ここは帝都で治安も良い方だお貴族様がよく来るので酒場は高級感がある今は夕方でもうすぐ真っ暗に成りそう…ふとカナリアは違和感と言うか異臭に気ずいた…カナリアは臭いのする暗い路地裏に入って行った…


え!?


そこには首と手足が切断された子供らしき遺体があった…内臓も飛び出ており顔は潰れている服を着ていないかろうじて女の子だとわかる…


「キ…キラ?!」

カナリアは死体の事を伝えようと酒場に入った…死体があったのが酒場の真後ろの路地裏で…


そこにキラがいたのだからカナリアは驚いた…


「この子キラ君の子供?」


キラの横に座っていた男の人が軽い口調で話しかけてきた…

その人は異様なほど妖艶な人間離れした美貌があり…


男は子供のカナリアですらわかる仕立ての良い服を身に纏っている…貴族かもしれない…


スミレ色の瞳が楽しそうにこちらを見ている…


…ふと…カナリアは男の顔が誰かに似ていると思った…だれだっけ?


…ってそれどころじゃない!


『キラ!し死体がちょうどここの後ろの路地裏に…ま…まさかと思うけどキラの仕業じゃないよね?…』


カナリアは男に聞こえない様にキラの耳元までよじ上りさらに小声で話した…


『…リア何故私の仕業だと思うのですか?』


キラはカナリアを抱きしめてカナリアの耳元で小声で聞き返してきた…


死体がある場所の近くには必ずキラがいるからであるだからカナリアは治安維持の役人ではなくあまり大事にしたくないだろう酒場の店主に知らせに来たのだから…


…カナリアはべつにキラを庇いたい訳ではなく…

キラからカナリアの父親の親戚だと聞いていたからカナリアだって自分の血縁者が殺人犯だと認めたくないからである…


「うわーぐちゃぐちゃだねー股下も開いているから遊ばれたのかなー?」

キラの横にいた男ルーベンスさんがへらへらと軽薄な口調で話しているこの異様な遺体を前にしてその言葉は変態ではないのかとカナリアは思う…


キラは潔白を証明するかの様に役人も連れて来たルーベンスさんがついてきたのは誤算だ…


「ルーベンス様後は我々が処理します」


「うん任せたよ?」

「承知しました」

カナリアはげんなりしていたこの何かなれてますと言った感じの不気味さは何だ…聞くところルーベンスさんはお貴族様らしい治安維持の役人と親しい様子だから階級は高位なのだろうか?


「リアちゃん何処行くの?」


「私と同じ一座の人にお酒頼まれているので私は此処で…」


「じゃあ僕も御一緒しますよお嬢さん?」

カナリアが最後まで言い終わる前にちゃめっけたっぷりのウインクをしてルーベンスが言ってきた…


「リ…リアその人…」


カナリア達と同じ一座でカナリアのお母さんの様な存在のミレーニアが真っ青な顔で話しかけてきた。


ミレーニアはイカルド団長の奥さんで今抱っこされている赤ちゃんは先日産まれたばかりのミレーニアとイカルド団長の子供である。


…ふと赤ちゃんの顔を覗いてみた…二人と似てないとは思っていたけどやっぱりルーベンスさんに似てる…髪は金髪でまだ産毛瞳の色もルーベンスさんに似ているまさか…!


「ミレーニア信じてるけど怒らないで…えーと」


「リア…言いたい事はよーくわかるわ!でもいくらリアでもその先言ったらお尻ペンぺンするわよ?この人とそう言う関係なら近親相関よ!」


「ルーベンス何でおまえ此所にいるの?」


…サルクが少し驚いた顔で出て来ていた……て…手血まみれ…クク出産終わったの?


「わかった…二人の知り合いなのはよーくわかったから取り敢えず此れ食べて落ち着こうよ?」


カナリアは自分が作った料理を持って来て皆に差し出した。


「ルーベンス久しぶり元気だったか?」


「兄上と…」


ルーベンスはこの女誰?と言った感じで首をかしげる…


『…お兄様が私の事知らないのは仕方ないわ忘れられた王女だからこそ私は今生きているのだから…』


「ねー何で皆そろって私から離れながら話してるの?」


キラまで遠いルーベンスさんだけ異常に近い…











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