表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
4章.大鎧と勇者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/1031

4-12.亡き父の夢、母娘の思い

亡くなったお父さんの夢を継ぐ母娘の姿。とっても美しいです。

ところが、やっぱり残念な方向に、向かってしまうのです。

挿絵(By みてみん)


大鎧(おおよろい)関連の本を読む許可”が出たので、読みに行くことにした。


「今日、大鎧(おおよろい)なんたらのところで本調べてくる」と言うと、


エスティアに文句を言われる。

「え? 今日やりたいことあったのに、何で勝手に決めるの」


「テーラと二人で……」

と言いかけたが、なんか、続きは言えない雰囲気だった。


本を読むには、本の閲覧許可を貰わなきゃならず、

その許可が出ると、今度は、エスティアに、その本を読みに行く許可を貰わないといけないのだ。


エスティアは、俺を自分の所有物と思ってる節があって、相手先に制限されない限り勝手についてくる。


「私も行こう」

リナも、読むのを手伝うと言いつつ、ついてくる。

たぶん、エスティアと俺を見張る役なのだ。


本読みに関しては、本命はテーラなんだが。


アイスは町まで行くので、途中までは一緒だけど、本を読みには行かない。

「俺、文字とか嫌いなんだよ」とアイスが言う。

凄く納得する。

まあ、どう見ても、文学少女って感じでは無い。


文学少女と言うのは、文章を読むことが好きな女の子のことだ。

他にもいろいろ条件はあるかもしれないが、文字や本が好きな子のことを指す。

俺はそのくらいの意味合いで使っている。


アイスは、潔いほど、その基準に引っかからない。


因みに、アイスは依頼書(いらいしょ)とかは読めるので、文字が読めないわけではない。

本読む趣味は無いってだけだ。


行ってみると。予想外に本は多かった。


「けっこう(たくさん)あるな」

書物は少ないと思っていたのに、50冊くらいあって驚いたが、大雑把に確認すると、一部に竜の記載があるだけのものが多かった。

まともな竜の本は10冊くらいだが、これは難しくて読めない。


「ごめんなさい、これはちょっと私には無理みたい」

「こんなやつだったのか。これは無理だな」

実際に本を見るとエスティアとリナは即音をあげた。

2人は、この読みにくい文の読解力は、ここの文字に不慣れな俺と同レベルらしい。


テーラは頑張るが、歯抜けにしか読めず、ほとんど話がつながらない。


「”竜”と”人”と、”領地の代表”?領主かな?”穴”、”竜人”?」


しばらく頑張るが、テーラも降参する。


「竜の遣いのことは、書いてあるみたいだけど、単語しか拾えない。私にも無理」


テーラが無理じゃ、誰も読めないだろう。

仕方がないので、一度帰って、シートに本読み手伝ってくれるようにお願いする。


「テーラも読めなかったの?」

テーラは、深く頷く。


基本的に、あまり教えてくれないシートだが、こればかりは仕方ないと思ったのか、珍しく協力してくれた。

大鎧なんたらに行くと、シートを見てあからさまに白々しい反応。コイツ等絶対グルだ。


途中で別れたアイス以外は、全員ついてきた。

もしかしたら、エスティアとリナは、シートを警戒しての見張りなのかもしれないが。

もちろん、性的な意味での警戒だ。


こっちの書物は、ダルガノードの勇者伝承なんか目じゃないくらいに難解だ。

思いついた単語並べただけだろ……みたいな感じだった。

多分だが、書き慣れていないのだ。本があまり書かれない地方だから。


ダルガノードは、本に溢れていたが、ここにはあまり無い。

だいたい昔のお話しは、踊りと歌にになるようだ。


不思議なことに、シートはすらすら読んでと言うか、元から内容だいたい知ってて、頭の中の情報を、文書に沿って教えてくれたと言った方が正しそうな勢いだった。

ここの書物くらいは、とっくの昔に調査済みなのだろう。


”道を塞ぐ大岩”を、どかしてくれた竜の話は何度も出てくる。

こいつが竜信仰の元になったのではないかと思った。


この竜が作ったのが、オーテル神殿。


神殿は竜が作るものなのだろうか?


今は神殿跡地だが、もしかしたら当時は、神殿があったのかもしれない。

この竜が居なくなったのと、大鎧の書が”一番大きな竜を探す”になったのが同時期。

探しに行ったのが、この竜なのだろうか?


オーテル神殿を作った竜だから、この竜の名がオーテルなのだろうか?


城を壊した竜のことも書かれている。いつ来たか書かれてないが、帰ったと書いてある。

勇者側で書かれてた、”グリアノス”という竜のことだろう。

こちらの書物には”グリアノス”の名前は出てこない。

勇者側の伝承がある土地で、勝手に付けた名前なのかもしれない。


その後は、”迷宮の竜”の話ばかりで、”竜の遣い”が出てくる。

”竜の遣い”が先代の領主に”竜の遣い”探しをさせた。

見返りは財宝。


その財宝は、この国が安全であるために、必要らしい。

”竜の遣い”が、他の”竜の遣い”を探させるのか、何故だろう?

迷宮の竜は”ディアガルド”だったはずだが、本には名は書かれていない。


だいぶ古い本に、ずっと昔に遠くから飛んできた竜のことが書かれていて、コイツは飛んできただけ。

名前は”ガスパール”。名前の付いた竜が出るのは、これがはじめてっぽい。


「ガスパールって、確かテーラのお父さんの名前じゃ?」とエスティアが言った。


ああ、そうか。

竜のガスパールの話は、俺はここの偉い婆さんに聞いてたが、エスティアは聞くの初めてだったか。


「トート森に来てから名前を変えたの」とシートが答える。

そして、

「竜はトート森に飛んでくる可能性が高く、時期も近いと聞いてたから一緒に待ってたんだけど、間に合わなかったのよ」と付け足す。


玉に反応が出るとテンゲス迷宮に行かされる理由は、本には書かれていなかったが、

”竜の遣いには、人間には開けない扉を開けることができる”という記載があった。


「竜の遣いは開けられるのか!」

いや、待てよ……ってことは、

「俺より前にテンゲス迷宮まで行かされた人達って、全員外れだったのか!」と言うと、


シートが「そういうことになるかしら」と言う。


白々しい。

そして「だから、間に合わなかったのよ」と続けた。


あれ? 俺の前は、全員外れで、俺は当たり。


テーラのお父さんは、当たりが出るまで待てずに亡くなった?


テーラのお父さんは森に飛んでくる竜を待っていた。

……飛んでって飛行?

そもそも、俺はどこから来たんだ?

どこかから落ちたらトート森に居た。


”森に飛んでくる竜”を待ってた?


俺は森に向かって飛行してきて、墜落したのではないだろうか?


ここではじめて気付いたが、ガスパールが待ってたのは、(おれ)なのではないか?


「テーラのお父さんが待ってたのって……」

ここまで言いかけて、シートを見ると、”やっと気付いたか”みたいな顔をしてた。

そう思ったなら教えろよ!!と思い、ちょっとイラっとした。

そうか。シートとテーラの家に、初めて行ったときの反応は、これのせいか。


テーラは知っていたのだ。俺がやってくると言うことを。


テーラを見ると、じっと俺を見つめていた。

そうか。テーラのお父さん亡き後も、人里から離れた家にずっと住み続けたのは、このためだ。

この母娘も、俺を待ってたんだ。


エスティアとリナは、話をしていて、気づいて無さそうだった。

「私がキノセ村に来た時には既にいなかったからな」

「私も会ったこと無いわよ。話を聞いたことがあっただけで」

テーラのお父さんの話をしているようだ。


俺は、はじめてテーラの家に行ったとき、”いずれ勇者が現れる設定”みたいなものが、あるんじゃないかと感じたが、待ってたのは勇者じゃなくて”飛んでくる竜”だったのか。

いや、飛んでくるのは”竜の遣い”?


「飛んでくるのは、”竜の遣い”なのか?」と聞くと、

「でもあなた、今、神殿跡地に住んでるわよ」とシートが答えた。


「待ってた竜って、トルテラのこと?」エスティアが気付いたようだ。

「そうか、竜だから、神殿跡地を返されたんだよな」とリナが言う。


「これが竜なのか?」と言って、手を広げて見せる。


「尻尾も無かったし」、「うん。無かった」とエスティアとテーラが言う。


そうだ! こいつらには、風呂で尻見られたんだった。

おっさんの尻見て嬉しいんか!と思ったが、なんか嬉しそうな顔してるので、イラっとした。


俺は正直、”おっさんの尻に需要のある世界に来たい”と思ったことは無いと思うのだ。

なんで、俺はこの世界に来たのだろう?


俺は”神殿跡地に住んでる”から、竜ってことになってるけど、竜って人間の姿をしてるんだろうか?

でかい狼だったような気がしたが。


もしかして、テーラはお父さんの意志を継いで竜を見たい?

竜を見る前段階として、俺が何かをする必要があるのか?


とりあえず、俺が竜を呼ぶための生贄ってことはないよな?


ここでテーラが口を開く。

「竜は飛んでくるって、(うち)に飛んでくるからって、お父さんが”あの家”で待ってたの」


飛んでくる竜が俺で、俺を待ってたのに、テーラの家に飛んでこなかった?

飛んでくるはずの俺が、歩いて行ったから困惑したのか?

俺に飛行能力は無いような気がするのだ。


「飛んでくるのは竜よ。巨大な生き物で一目見ればすぐわかるわ」とシートが言う。


あれ?テーラのお父さんは、俺を待ちきれずに亡くなったという意味に聞こえたんだけど。

確かに、シートは明言してないと言えばしてないのか……な?


「どういうこと?」「さあ?」エスティアとリナも混乱中だ。


「俺が何かをするから、竜がシートの家に飛んでくると?」とシートに言うと、「飛んでくれば、あの人の予想は当たってたってこと」と言った。


俺が何かをすると、竜が飛んでくるかもしれないってことか。

竜の遣いというのは、竜を呼び出すもの。寄せ餌だったら嫌だな。


テーラは、お父さんの予想が当たってほしい。

シートも当たって欲しいとは思っている。


ただし、シートは他に何か知っている。そんな気がした。


=======


”竜の遣いは人間の開けない扉を、開けることができる”

大鎧様の遣いかどうか調べる玉で、1日がかりで反応が出ることは何度かあったが、扉は開かなかった。


俺はあっさり扉を開けた。


領主に頼んだという”竜の遣い”が探してたのはたぶん俺だ。

玉は即反応が出るか調べるものなのに、使い方間違ったのだと思う。


時間をかければ反応する人も少数居て、今までは、その人たちを”大鎧様の遣い”と呼んでいたのではないかと思う。


一通り本を読んで……と言うか、内容を聞かせてもらったが、大鎧様の遣いの竜と言うのは、どこにも書かれていなかった。


「ありがとう、助かりました」とシートに礼を言うと、「お礼はまた今度」と言った。

エスティアとリナとトルテラは思った。


これは、あとで体で払えってことだなと。


========


”遣いの竜”のことをモブキャラA子に聞くと、

「神殿跡地を聖域化できるお方を、単なる遣いとお呼びするのは」

と、遣いであり神殿の持ち主だからそう呼ぶことにしただけだと言う。


俺がそう呼ばれてるだけで、元からあったものではなかったのだ。


納得した。……けど、その設定先に言えよ!!と思った。

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ