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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
30章.ルルシアを助けに来た老人、その後

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30-36.ルルシアを助けに来た老人、その後(29) 石とち○こ見る子

だんだんと、終活の時期が近付いてきます……

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「そろそろ頃合いですね。石を」


俺の体感では、ここに来て2日。だが、ガスパールとルルにとっては、数年間。

もし、俺が鎧が現れた時からだとしたら少なくとも30年、おそらくもっと長い期間経っている。

遂に決着の時が来た。


了解の意味で答える。

「ああ」


俺は、石を探しに来た。おそらくこの石のことなのだろう。

俺はこの石を手に入れなければ先にに進めない。


ガスパールが話始める。

「私は小さい頃、竜に会い”石”の話を聞き、”竜のガスパール”から貰ったと思っていました。

 一時は無くしたものの、なんとか取り返し、それからも大事にずっと持っていました。

 ですが本当は、一時託されただけ。

 あなたに渡すため、そしてあなたに娘を託すために、この石を」


ガスパールにとっては、一生をかけた計画の最後の仕上げなのだろう。

だが、これで終わりではない。ガスパールだけでなく、その娘の人生までかけて。


俺がまた来ると信じているのだ。


なぜ、そう信じられるのだろう?


だが、俺も、その可能性は十分あると思っている。


俺は、この世界に居たときの記憶を持っている。

つまり、過去にも来たことがある。

俺は、この世界には何度も来たり帰ったりしていることになる。

だから、ルルが生きてる間にまた来るかもしれない。


結局、次に来たときルルが年頃だったら……と言っても、たぶん、この世界での“お年頃“は高校生くらいだから、もっともっと後に来れば問題無いかもしれない。

その時には、ルルは俺の事など忘れて、既に子を産み育てているかもしれない。


そうすれば、俺の事など気にしないだろう。

そんな頃に来れば、何も問題は無いのかもしれない。


「これを」

ガスパールは、案外あっさり石を俺の手に置く。


穴の空いた石。紐を通して首から下げられるようになっている。


一見、なんてことのない石だが、触れると、この石には記憶が入っていることがわかる。


間違いない、これは特別な石で、俺宛てのメッセージが入ったものだ。


中身を読む。

読もうと意識せずとも、染み込んでくる。

内容は、意外なものだった。


横浜には俺の妻が居た。

……なんてことだ。俺には帰る理由があった。


俺が横浜で独りぼっちだったのは、うまく行かなかったときの記憶だ。

俺はまだ、妻の願いを叶えていない。


重要なことを思い出した。

俺は横浜に帰らなければならない。


この石が必要だった理由を思い出した。


この石は……そもそも、これは石では無い。

俺の首の骨の1つ。こんな見た目では、まったくわからない。

これじゃ、地味な宝石だ。


俺は、まだただの人間だった頃、妻の願いを叶えるため、富士の樹海に神殿を作った。

建物では無い。特別な場所にした。

俺が死んだあと、そこに妻が首の骨を持ってきたとき、俺は妻の願いを叶える約束をした。


俺は、事前にしっかり準備して進めたつもりだった。でも妻にはバレていた。


妻は、願いを、”とても叶えることが難しい内容”に変えてしまった。


”時を超える竜”は、都合良く時間を行き来できない。

”転移する竜”は、異世界から帰る時、戻る時間を選べる。

つまり、”転移する竜”は、時間を超えることができる。

だから俺は、静かに人間として死ぬことを諦め”転移する竜”になった。

俺には元から転移する竜になれる素質があった。


だが、”転移する竜”は、自分一人で好きな時間を行き来することができない。


時間を戻すためには、異世界に来なくてはならないが、異世界に行く時、大事な記憶は置いてくる。

だから、この石を読んで、帰らなくてはならない理由を知る必要がある。

この石があるところに行かなければ、俺は時間を戻せない。

妻の願いを叶えることができない。


だから、石のある場所で俺に協力する条件で、願いを託されると俺は断ることができない。

神は、真摯な願いを無視して去ることは難しい。

そして、竜のガスパールは、罠を配置した。

それが、この人間のガスパール(テリオス)と、その娘、ルルシア。


俺は、罠だと知っても、その石を使わないと、横浜に残してきた妻の願いを叶えることができない。


だから、わざわざ”竜のガスパール”が会話可能な人間を探し……罠の設置成功した。

ガスパール(テリオス)の言っていた呪いはこっちか。

神様は願いを叶えるまで消えることができない。

これでは、横浜で妻の願いを叶えても、俺は消えることができない。

神を辞めることができない。


----


ガスパールは、この神様が、いきなり無言で何かを考え始めたので驚く。

だがすぐに理解した。石に触れたことをきっかけとして、今何かが起きているのだ。


しばらく待つと、ようやく神様がまた動き出す。


……………………

……………………


確かにいろいろ入っている。


この世界で、大事な人たちが待っている。ルルが見えた。


俺はまたルルと会うのか。約束なんてしなければ良かった。

思いっきりお年頃だ。これじゃ、約束が効力を発揮してしまう。


「また会うのか」

「なんでしょう?」

「ルルと」

「わかるのですか?」


長年手元に石を持っていたガスパールには、特に何も読めなかったのに、この神様は石の内容を読んだのだ。

やはり、少し未来、この神様はルルシアの元に現れる。

シートとテリシアには悪いが、恐らく、”竜のガスパール”が、人間のガスパール(テリオス)に託した願いを叶えることができた。


そして、人間のガスパール(テリオス)とルルシアの願いを、この神様が叶えてくれる。

こうして、願いは連鎖して叶えられていく。


========


「石は返すよ。俺に必要なのは、中身。石自体はもう必要ない。

 俺はまた来るのか……この世界に」


「また、(石が)戻って来ました」


”竜のガスパール”……ラグベルから受け取ったこの石を手放すのは、少々寂しく感じていたが、石は戻ってきた。これは、ガスパール(テリオス)が死ぬまで持ち続けるものだ。


そして、何より、この神様は、またこの世界にやって来る。

シートが言っていた通り。神様に娘を捧げても、すぐに連れて行ったりはせず、いずれまた、この世界に戻ってくる。そのとき、この神様は、この世界で捕らえられてしまうのだ。


----


ガスパールの反応を見て理解する。


「予定通りか。それも知ってたのか。

 なんなんだろうな?」


でも、俺の求めるものは、この先にある。


何が何でも、昨日のうちに読んでおけば良かった。

そうすれば、ルルを妻にする約束なんてしなかったのに。


俺がここに来たのは、横浜に住んでいたころの俺と洋子さんの時間を戻すため。


「俺には待っていてくれる人が居た。

 その人の望みが叶ったら、俺は消えてしまうつもりだった。


 なのに、それを忘れて、ルルを妻にする約束をしてしまった。

 だから、俺は、またここに来るしかない」


「はい」 ガスパールはあっさり答える。


「これが罠か」

「はい」


「楽に死なせてはくれないんだな」


「すみません。でも、私はあなたに会える日を待っていました。娘は妻になる日を待っています」

「俺は、ルルが年頃になったころ、またここに来る」

「はい」


「前から、そう決まってた。俺が忘れていただけだ」

「可愛がってやってください」

「俺は愛でてるつもりなんだけどな」

「は?」


俺は、女たちを、実の娘のように愛でていた。

あれは俺的には妻ではない。


「倒れる呪いは解けないみたいだ」

「はあ」


あいつらとは、勝手に会うことが決まっているようだ。

会っていないのは、ガスパールの最初の妻と、その子供。


「で、カタイヤだっけ? 会いに行った方がいいのか?」

「あ、そこまで話してましたか。どこまで話したか覚えていなくて」

「強引だけど同志なんだろ。妻だし」

「はい」

「それと、子供にも」

「はい。できれば」


「まあ、覚えてるか分からないけれど、覚えていたらな」


俺は再び訪れるが、そのときも、この謎の倒れる呪いに罹ったままだ。

まあ、妻と言っても、俺が思ってるのと違う感じだが。

俺は実の娘のように愛でていた。でも困る。

自称妻が何人か居て、俺が困る。それだけだ。


そのあと、俺が寿命で死ねば、そこですべてが終わるのだろうか?

今度こそ死ぬことができるのだろうか?

その時俺は、幸せに死ぬ事ができるのだろうか?


俺は無念から生まれた神だ。


無念から生まれた神様は、最期の時、幸せに死ぬことはできるのだろうか?


……………………

……………………


俺の世界では、男女が同じ時間の流れの中で生きることができる。

俺は、その女性ただ一人を愛し、一緒に生き、死にたかった。


ここでは男女は同じ時を歩めない。


「ルルは俺を忘れてくれないかな」


とは言いつつも、どうも、自称妻はルル以外にも何人か居るようなので、

ルルだけが忘れてくれたとしても、解決するわけでは無いのかもしれない。

けれど、ルルが忘れてくれれば、俺はここに来なくても良くなるような気もしている。


「恐らく無理でしょう」


「期間も短いし、無理か。わずか数期で、また来るみたいだからな」


「長い期間であっても、おそらく忘れないでしょう。私がまだラグベルを忘れられないように」


ラグベル……ガスパールが、ルルが死にかけたくらいの歳の頃に会ったと言う不思議な女性。

そんな頃の憧れを今も持ち続ける。

ルルも一生忘れないのかもしれない。

ガスパールには、その気持ちはよくわかるのだろう。


「そうか。誰も信じてくれないだろうけど、

 俺は、俺の世界の普通の人間として妻と共に生き、共に死にたかった。

 でも、人間として、普通に死ぬことに失敗してしまった」


「はい」

ガスパールは、信じてくれているようにも見える。

達成感のせいで、俺の苦労のことなど頭に無いのかもしれないが。


「ガスパール。うまく死ねよ。失敗すると俺みたいになってしまう」


「はい。もう、目的は果たしました。

 生きながらえる理由が無くなりました。

 あなたに会って、ルルを妻にする約束をしました。

それに、元々、私には神になる力はありません」


「ガスパールの願いを聞いてしまった。

 おかげで俺は、その約束を果たすまで死ねない。

 誰かの願いを叶えるために、神にならなければならないこともある。

 神は願われれば叶えずにはいられない。

 そして、その願いを叶えるまで、神は神であることを辞めることができない。


 俺はもう十分頑張った。でも、神を辞めるにはまだまだ足りない。


 だから、神になんか、ならない方が幸せだ」


「はい」


「誰か神様代わってくれないかな?」

そう言うと、ガスパールは即こう返した。

「おそらく無理でしょう」


答えを知っているようだ。

「なんでだ?」

「神になって喜ぶような人間は、神になる資格は無いでしょうから」


「なんで知ってるんだ?」


「さあ? 目の前に神になることを嫌っている存在が実在するからでしょうか。

 私も、あなたを見るまでは、こうは思わなかったでしょう。

 神が、神であることを嫌うと思いませんでした」


俺を見てそう思うのか。俺は神には向いていない。


「俺は望んでなったわけじゃ無い。人間を落第して神様になってしまっただけだ」


「他に落第できる方が居なかったのではないでしょうか。

100万人も人が居ても、あなただけが神になったのであれば」


ガスパールは桁しか覚えていないようだが、横浜だけで、その何倍も居る。

日本だけで1億人以上、世界で70億人くらい。

でも、人間を落第して神様になった人の話を、俺は聞いたことが無い。


俺はよほど出来が悪かったのだろうか? 運が悪かったのか。


「俺の世界、70億人くらい人が居るんだよ」


「はあ、私にはさっぱりその数字に見当が付きません。

 でも、特別の中の特別なのです。

 私と娘が待っていたのは、そのたくさんの中の”他の誰でも無く、あなた”だったのですから」


「まあ、もしかしたら、俺の世界の人間は全員他の世界の神様で、異世界が70億同時に存在しているのかもしれないし、真実はわからないんだけどな」


「私も神に会ったのは、あなただけです。私にとっては、それが事実」


愚痴を言っただけなのに、こんな話をしても、話に付いてくるのが凄いと思う。

試しに聞いてみる。

「俺に、普通の人間としての頼み事はあるか?」


「そうですね。いつか、ダルガノードに行くことがあったら、キャゼリアに会ったら、私の計画は成功したと伝えてください。

 ジョージというキャゼリアよりも少し年上の男が生きていたら、”賭けは、ジョージの勝ちだ”と伝えてください」


意図が通じた。何かわかりやすい翻訳でも存在するのか?

それとも、ガスパールが賢いのか。その両方かもしれない。


「まあ、覚えてればな。俺は基本、世界を移動するとき記憶を置いていく。

 たぶん覚えてないぞ」


「はい。そうなれば、賭けに負けたことをジョージに知られずに済みます」


「そうか。まあ、覚えていればで良いならな」


ガスパールは、ただ頷いた。


「ルルと話をしてくる」


========


ルルは席を外して、庭でブラブラしていた。


「帰るの?」

「ああ。石でいろいろ思い出した」


「いつ戻ってくるの?」


具体的にはどのくらいなのだろうか?

俺は子供だと思っているが、本人たちは大人だと思っている。そんな年だ。

よくわからないので濁して答える。

「そんなに先でも無かった」


「そう」


食いついてこなかった。

子供なのに、ずいぶん落ち着いているんだなと思う。

俺が帰ってくることは、よくわかっているようだ。


「水場、不便だな」

「え?」

「沢、あれじゃ、水浴びに不便だ」


「不便?」

「あそこで、水浴びできれば、川に流されずに済んだ」


「あのとき、私の裸見た」

「え、いや、服脱ぐと思わなかった」


「でもいいの。私も見たから」

「見た?」

「背中拭くとき倒れて、そのとき」


見たのか! ち○こを!


なんてことだ。

俺があんなに頑張って、子供に見せないようにしていたのに!

「見たのか!」

「うん」

なんてやつだ。


なんだか、ルルに対する罪悪感が薄まった。


服脱ぐときも、狙ってる感はあった。子供だと思って油断していた。

こいつは、ち○こ見る子だ。


あ、あ、あ、あれ?

ち○こ見る子は、こいつか!!


この歳で、すでにち○こ見る子だったのか。

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