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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
30章.ルルシアを助けに来た老人、その後

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30-34.ルルシアを助けに来た老人、その後(27) 呪いの存在に気付く?

だんだんと、終活の時期が近付いてきます……

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


(この世界では老人扱いされている49歳の)おっさんは、再度水浴び。

ルルのせいで倒れて、かえって土がついてしまった。


酷い目に遭った。


おっさんは、”子供は無邪気だから、むしろ厄介なんだよな”などと考えながら行水する。

※ルルは邪気出まくりのような?


何かの修行みたいだ。


井戸の水汲みは、めんどくさい。まあ、手が覚えてるって感じで、スムーズに汲むことはできるが、

連続で水浴びたいのに、間に水汲みが入るのはいただけない。


========


その頃家の中では、ガスパールとルルシアが話をしていた。


「なんで倒れるんだろう?」

ルルには、どうも理解しにくかった。

触れることを極端に恐れるのに、嫌っているわけではないと言う。


ガスパールが助言する。

「慣れるまで、少しずつ仲良くなりなさい」

「なに?」

慣れるまで。慣れていないのだろうか? ルルは既に、神様と仲良くなったつもりでいた。


「神様は、人間の女の裸には不慣れなのかもしれないからね」


ガスパールには思い当たることは有った。

ただし、神様にも同じ症状があるとは思わなかった。


川に流された時も、もしやとは思ったが、さっきの反応を見ると、より可能性が高まった。


ルルシアが裸になったとき、ルルシアの裸に怯えているように見えた。


あれは”女性恐怖症”だ。


~~~~~~~~

”女性恐怖症”は、男子学校では、よく知られています。

長期間女性と隔離されて、”女が出たら逃げろ”と言われて育っているため、

(女子禁制の男子学校に乱入してくる女から守るため)

長年そんなところで過ごすと、一定の割合で、女性恐怖症の子供も出てきます。


有名な症状なので、逆に、ある程度の歳になると、逆に極度に恐れないようにという指導を受けるようになります。


乱入してくるのは、我が子を取り返しに来る母親とかが多いのですが、半狂乱で現れることが多いので、幼い子供にとっては、けっこうトラウマになることがあります。

~~~~~~~~


ただし、その割には、ルルシアが裸にならない限り、特に問題無いようなので、”人間の女の裸”が怖いのかもしれないと考える。


そのとき、突然思い当たることが! 急に思い出した。

思い出す機会が無く、すっかり忘れていたが、ガスパールにも、よく似た経験があった。


ガスパールが子供の頃、何度もラグベルに抱っこされて、男子学校を抜け出した。

ラグベルの胸は、ほんのり少しだけ膨らんでいて柔らかくて、ドキドキした。

ラグベルの体(裸)を見た時、とてもすらっとしていて美しかった。

その姿に憧れを抱いていた。

※要約:貧乳正義!!


問題はその後だ。

ガスパールは、ずっと長い間、ラグベルが普通だと思っていた。

あれ(貧乳)こそが美しい姿だと思っていた。


ところが、カタリナ……カタイヤと、子を残すという約束を果たしに行ったとき、ラグベルとまったく違っていて驚いた。

胸が恐ろしく膨らんでいた。はじめて見た時は、異様なものに見えた。

※ガスパール(テリオス)は40期(20歳)まで、施設で隔離されてますので、大人の女性の裸を見る機会がほとんど無かった。


確かに、それまでも、変だとは思っていた。

服を着た状態でもシルエットが全く違っていたから。


ただ、脱ぐと、バイーーーンと、アレ(巨乳)が出てくるとは思わなかったのだ。


見慣れないものは、怖く感じたりする。でも、それは慣れるまでの短い期間だけ。

まだ慣れていないだけかもしれない。


慣れるまでに、少し時間がかかるのだ。それは神様でも同じなのだと思う。


ルルシアの体が触れて、倒れたのも、

思えば、子供が、はじめて見る動物に対し、可愛いと思いつつも、触るのは怖かったりする、

あれと同じ状況なのかもしれない。


テリシアも、猫が怖くてなかなか触れなかったことを思い出す。

かわいいけれど、触るのは怖い。


※ルルは、猫が苦手です。元は好きだったのですが、(テリシアが尻尾を引っ張ったので)怒った猫に引っ掻かれて、それから怖がってます。

 大人になるころには、克服しているようですが。


…………


「不慣れ?」


「まだ、慣れてないんだよ。

 竜が人になった神様だとしたら、人間の裸を見たことが無いかもしれない」


「嫌いじゃ無いの?」


「嫌いには見えないね」


ルルも、あの神様はルルのことが(大)好きだと思った。

それに、(ち〇こを)見てしまったから、妻になるしかない!と何故か思っていた。


「嫌いじゃ無いなら、わたし、あの人の妻になる」


ルルシアは、いきなり妻になると言い出した。

この歳の子供に、こんなことを決めさせるのはどうかと思うものの、

ルルシアが望まない生き方を強制しても、もはや見守る時間は、ガスパールには残されていない。

希望を叶えるために、手助けしようと思う。


もう一度確認する。

「ルルシア、本当に良いのかい?」


「私、あの人が良い」

「普通の人間ではない。竜に戻ってしまうかもしれないよ」

「うん。それでも良い」


ここまで言うなら、覚悟を身めるしかない。


シートに聞いた話では、

”テリシア”を”大鎧様”に捧げる儀式は、

その時点で”大鎧様”が、捧げもの、即ちテリシアを受け取ったとしても、

すぐに連れ去るわけではない。


捧げものを受け取ってしまった神様は、それより少し後になって現れる。

そのとき妻になる。


テリシアが妻になるはずだった。


だから、テリシアの儀式に現れず、ルルシアに呼び寄せられた神様も、今はルルシアを連れ去ったりせず、あとで再び現れるだろう。

おそらく、実際に妻にするのは、その時だ。


「わかった。ルルシアを神様の妻にしてくれるよう約束をしてもらおう」

「ありがとう。お父さん」


========


ようやく、その神様が戻ってくる。


「毛布は洗って干しておいたから」

「はい。すみません、あのようなことになって」

「ごめんなさい」


「あ、ああ、ちょっと驚いただけだから」


”驚いた”。確かに、慣れていないだけと言っているようだ。


せっかく湯を用意して、体を拭いていたのに、ルルシアのせいで、かえって泥だらけになってしまった。

そのせいで、結局、冷水浴びて、湯を用意した意味がなくなってしまったのだ。


神様を歓迎するつもりが、ちょっと印象を悪くしてしまったかもしれない。


今日はなんとしても、ルルシアを妻にしてもらう話をして、石を渡す。

ガスパールにとって、最後の大仕事だ。


一番大きな竜は、人になる時、鎧を残す。鎧は既にある。

そこを切り口にして、話を進める。


「先ほど、一番大きな竜だったことを思い出したと」

「ああ」


「一番大きな竜が人になるとき、尾は剣に、牙は盾に、爪が鎧と兜になった。

 鎧は現れたが、本人は現れなかった。いずれ姿を現すという言葉を残した。

 そして、ルルシアに会うと姿を現しました」


「ああ、妻の話か。俺とルルじゃ歳が離れすぎてる」


”妻の話か”と言った。

ガスパールは、酔っていて、はっきり覚えていなかったが、既にルルを妻にしてもらう話はしていたようだ。


そこでルルが口をはさむ。

「わたし、それでもいい」

「え?」


ルルは歳が離れていても構わないと言った。

その言葉で、神様が固まった。


ルルは続けざまに言う。

「わたしは妻に選ばれた」

「え??」、「は?」


これにはガスパールも、驚く。

名無しのおっさんに至っては、時間が止まった……かのように固まった。


----


このおっさんは、ルルに拒絶してほしかった。

拒絶されないと、横浜に帰れなくなる。

帰りたいわけではないが、おっさんは本当は、”妻になりたい”なんてことを言ってくれる女の子が居たら凄く嬉しいと思っていた。

なので、そんな言葉を聞いたら、もう帰れなくなってしまう。


だが、同時に恐れていた。


あと何年かして、お年頃、反抗期に入ったら、今度は”子供に手を出して、キモイんだよ、死ね!!”とか言われてしまったら、

ものすごく悲しくなって、この世界ごと破壊してしまうかもしれないなんて思いもあって、いろいろ怖くなっていた。

※潜在的に、自分が世界を破壊することができてしまうことを知っているようですね


----


神様は固まったまま、汗をだらだら流す。


この反応を見て、ガスパールは少し理解した。

この神様は、ルルシアを既にとても愛している。


でも、距離感がわからない。

嫌われたらどうしようという気持ちとの板挟みにあっている。そう思えた。

※非常に的確ですね!


一押しするなら、その不安を取り除けば良い。


「ルルシア、この方は、ルルシアが”ずっと好きでいてくれるかわからなくて心配している”んだよ」

「どうして?」

「ルルシアを好きになってしまった後で、ルルシアが神様を嫌いになってしまったら、神様はとても悲しくなってしまうから」


「どうしてそう思うの? わたしは神様の妻なのよ」


???


これには、ガスパールも驚く。何故か、ルルシアは既に妻になった気でいる。

今何かガスパールの知らないうちに、話が進んだのか、それとも、

昨日酔った勢いで変なことを言ってしまったのだろうかと心配する。


ルルは、神様の”ち〇こ”を見てしまったので、もう妻になるしかない!と勝手に思っていた。


だから、心配しなくてもルルの意思は変わらない。

そんなことより、ルルは、神様がルルのことを、どのくらい好きなのか知りたかった。


ところが、ルルシアは、妙な聞き方をする。

「なんで、あのとき私を見て、川に流されたの?」

これは”ルルに見とれて流されたのか?”という意味だったが、

おっさんには、”私の裸見たでしょ!”の意味に聞こえた。


おっさんは、ルルが妻だと言い出したので、すっかり重力が凄くて、もうこの地からどこへも行けない気持ちでいっぱいになっていた。とても、まともに頭が回っていないので、うまく答えられない。


ルルは変な聞き方するし、おっさんも変な答え方をする。


「ああ、俺、じょ……女の子に弱くて」


この言葉を聞いて、ルルは思う。やはり、ルルシアの裸に反応したのだ。

背中を拭くとき、裸になったら目を瞑ってしまったので、ルルは、ルルの裸が嫌いなのかと思ったけれど、そうではなくて、緊張するだけ。

ルルのことが好きすぎて、たまらなくなってしまうから……と都合よく解釈した。


「肌が触れて、倒れたのも?」


「ああ、刺激が強くてダメなんだよ」


これは、”ルルのことが好きすぎて”とルルの中で変換されたが、続きがあった。


「呪いがかかってて」


「呪い!」

ガスパールが反応する。神様は、呪いの存在を知っているのだ。


----


ガスパールの反応を見て、急におっさんは我に返る。

ん? なんで、ガスパールが俺の”呪い”に反応する?


「俺の、この呪いかけたのはガスパールなのか?」


「いえ、私では……」

否定するが、何か知っている風だ。


「誰が、呪いをかけたのか知っているのか」


「それが、その……」


「誰だ、こんなわけわからない呪いをかけたのは?」


「呪い?」

今度はルルが反応する。


ルルを巻き込んでしまうのは不味い。ガスパールは覚悟を決める。

「私が話しましょう」


神様は、呪いの存在に気付いていた。

だから、わざとテリシアを避けたのかもしれない……


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