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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
26章.横浜編6 妻の形見2

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26-23.味覚障害(3)

挿絵(By みてみん)


~~~~~~~~

★注意書き

現在の我々が住んでる、このリアル世界は、WHOが世界で一律、1日当たりの塩の摂取量は5g以下が理想と言っている世界です。

(ナトリウム摂取量を塩化ナトリウムの重さに換算した数字で5g以下)


おっさんが、元々居た世界では、理想の塩の量を、一律、何グラムなら健康的だで管理する考え方が、否定された世界です。

おっさんの言っている常識は、こっちの世界との常識とは別です。騙されないように、ご注意ください。この世界での常識ではありません。


でも、適温の病室で寝てるだけの人は別として、普通に活動してれば、1日分の汗には余裕でグラム単位の塩分が含まれるような人も多いわけで、じっとしてても汗かく土地と、ほとんど汗かかない国で、区別無しに世界で一律5g以下が適量という基準を設定しちゃうというのは、普通に考えて、頭おか……いえ、汗に塩が含まれていること自体を知らない人が基準作っちゃったか、故意に、5g以下で暮らせない生活を送っている人間は滅びろと言ってるのか、まあ、どっちにしろ、凄い基準だなって思いますよね。


実際、少ない塩分で生活している人たちも世界には存在しますので、塩が少なくても人は生きて行けないわけではありませんが、その人たちは高血圧では死なないかもしれませんが、寿命は長くありません。

つまり、高血圧以外の病気で、早死にします。


世界で一律1日5g以下と言っている人は、1日5g以下で生活して、青森で雪かきしながら何年生きられるか試してから言って欲しいものです。

おそらく、普通の青森県民の平均寿命より短くなるでしょう。


涼しい部屋で一日中過ごす人、老人や病人は1日5g以下という基準に該当する人も多いかもしれませんが、日本でやったら夏の通勤は命がけみたいなことになりそうです。


関連:塩の天動説の説明(概要レベル)

<<https://ncode.syosetu.com/n8384gg/>>


~~~~~~~~


======== 本文ここから ========


唯は疑問に思う。

「でも、病院なら、味、薄目じゃないんですか?」


栫井(かこい)は、思い出しながら答える。


「まあ、たしかに、老人多いから、薄味なんだけど、減塩でそうしているわけじゃ無かったから。

 あそこでは、俺なんか若造って感じで、お年寄りがほとんどだから、味合わなくて」


老人相手なので、さすがに外食のような、濃い味付けでは無い。

舌は、塩に対する感度が非常に高く、まさに塩の適量を調整するための要の器官だ。

活動量で塩分消費は変わる。

同じ環境で過ごしていても、お年寄りと俺とでは、塩の消費量が違う。

多数派がお年寄りなので、そっちに合わせられるのは仕方が無いところではある。


と言っても、塩味に関しては、そうなのだけど、逆に甘みが強くて苦戦する。

年とると甘みを感じにくくなるようで、甘いものがクソ甘くて、俺は苦戦した。

あれは、手術したときか?

あ、あれ? 異世界(あっち)での話だったか?

甘いものに苦戦した記憶がたくさんあって混ざってしまう。


俺が死んだのは、まさに、終末医療の現場だった。

まあ、そう明言されているわけでは無いけれど、(病棟の)並び順でだいたいわかる。


この病棟は、入院すると、回復して出て行くのではなく、出て行くときは死んだとき。

ベッドが空いて、新しい人が入ってくるのは、前にそのベッドで寝てた人が死んだからだ。

人口の多い団塊世代が減りつつあったが、まだ満床状態が続いていた。

※実際はピークはもっと後ですが、おっさんはこれより後を知らないので


俺の世代も人数多いから、俺が、80歳くらいまで生きたとしたら、やっぱり、満員状態の

病室の空き待ちになるのだろう。


入ったら生きて出られない入院のベッドの空き待ち。

それは、つまり、誰かが死ぬのを待っているのだ。


まあ、入院したくて入院するわけでは無いのだけれど。

家で最期を迎えるのは、家族の負担が大きすぎるから。


退院目指すわけでは無いので、健康的な完璧な食事である必要は無い。

だから、割と味が優先されている……はずだった。

そもそも、塩分なんて、高血圧関連の病気を持たない者には、気にする必要が無い。

寿命どうこう言う以前の話だ。


末期がんの患者なんて、高血圧であろうが、塩分摂りすぎなど気にする必要は無い。

※とおっさんは説明していますが、消化器系のがんでも制限受けることがあります。

 知らないわけでは無く、説明省いてるだけです


元々健康な人も含めて、ほとんどの人は、塩を減らして血圧が下がっても、健康になるわけではない。

塩不足によるリスクと天秤にかけて、減塩の方がお得という判定の出る数少ない人がやれば良いこと。


太ると血圧は上がる。太って上がった血圧を減塩で下げてはいけない。

汗をかけば塩分を失う。だから一日何グラム以下とか、そんな基準で決めることはできない。

水を多く飲めば、そのぶん多くの塩分を失うことになる。

良いことなわけがない。

だが、そんな当たり前のことが、昭和の時代には良いことのように言われていた。


「唯ちゃんは若いから知らないかもしれないけど、昔は何故か塩が体に悪いと言われてて、塩多すぎ、減塩減塩言ってたんだよ」


「え? そうなんですか?」

唯はどちらかと言うと、減塩は体に良いと思っていた。

洋子も違和感を持ちつつ話を聞く。


「病院って結構、塩不足になりやすいんだよ」


温度管理された病室で、活動量の低い老人が多いこの施設で標準的な味付けは、薄い。

それは、減塩ではなく、消費量が少ないからだ。

入院患者の好みに合わせた味付けにすると、俺のような若い患者が混ざると味が薄く感じる。


でも、入院患者の多くの人にとっては、そのくらいの味付けで適量。

それでも、塩不足の人達は、わんさか居る。暇潰しに、お茶で水分摂り過ぎるからだ。


塩の量を超えて水を飲むと、脱水症状を起こし、血液はドロドロになる。

頻繁にトイレ行くほど水分摂りすぎてはいけないのだ。


腎臓は浸透圧が下がると積極的に水を排出しようとする。

浸透圧を作っている支配的な物質がナトリウムなので、ナトリウムを補給せずに水を飲むと、腎臓は水を排出しようとする。その際、ナトリウムも排出される。


浸透圧が不足したから水を排出したのに、水と一緒に塩分も少量出て行ってしまう。

なので排出された後は、水を飲む前より血液量が減りドロドロになる。

ただし、血液が不足すると、血圧は下がる。

血液量が減って血圧が保てなくなった状態が健康的なわけはない。

なので、血圧上がると再発しやすい病気を持ってる人でもない限りは、そういう下げ方は避けた方が良い。


「汗でも尿でも、身体から水分を排出する際は、老廃物だけでなく、必要なものも含めて出ていく。

 ゆっくり出ていく水分からは、必要な物質は再回収される。」


 尿の場合、水分補給量が少なければ、水分やナトリウム、その他の必要な栄養素の多くが再回収されて、相対的に尿素が濃くなるが、飲む水分が多いと、尿素が少なく、栄養分の再回収も間に合わず、水と一緒に必要なものまで一緒に出て行ってしまう。


当然、失うナトリウムの量も多くなる。


「つまり、飲むのがお茶で、出て行くのが塩水。

 すると、塩が不足する。

 そして、塩分が不足すると、精神を病みやすくなる」


お茶飲んで、元気なお婆さんも居るので、極端に多く飲まなければ影響無いのかもしれないが。


----


洋子はなんだか怖くなってきた。

理屈的に合っているようにも思えるし、それを当然のように説明している。

栫井(かこい)にとって、それが常識なのだ。


ところが、洋子の知っている常識とは違う……なのに、洋子は、栫井(かこい)の言う常識も知っている気がしていた。

洋子には、二重に常識が存在していた。


----


「昔は塩分の量を単独で見て、多すぎとか、バカみたいな規準だったけど、俺死んだの、れい……あ、2021年だったから」


俺は、実際に体感したような記憶は持っていなくても、2013年以降についても、年表レベルの記憶は、持っているようだ。

2021年に死んだことを思い出したとき、いっしょに思い出したようだ。


少なくとも、元号は覚えている。

元号は厄介だ。通し番号の西暦と違って、まだ、令和なんて誰も知らない。だから、元号の話はしない方が良い。

だぶんオリンピックに向けてだと思うが、生前退位という特別な技を使ったのだ。

オリンピック以外にも、そろそろ、いろいろ物騒なタイミングだったので、仕方が無い。


元々天皇は終身制。陛下が崩御されるタイミングはコントロールが難しく、計画的なイベントで問題が生じる。

生前退位と言う手段をとれば、交代のタイミングをコントロール可能になり、空白期間が無くなる。


----


2021年。洋子の夫が死んだのは2021年だった。それは石の記憶で読んだ。

だが、塩分の話は、なんとなくしか思い出していない。


洋子は、さらに栫井(かこい)から説明を引き出す。

「塩分単独の量?」


「ナトリウムの量で書かれてることもあるけど。ナトリウムの2.5倍」

「塩の量? 10g以下とかそういう?」


「そうそう。水とのバランスの問題だから、塩の重さだけ見ても意味が無い。

 脱水症状で打つ点滴が塩水(生理食塩水。体液の浸透圧に合わせて濃さを調整した食塩水)。

 薄いか濃いか、濃度で見ないとダメだ。

 運動する人だと塩分補給が大事って話は有名だと思うけど。

 入院してると、暇潰しにお茶飲むから、不足しがちなんだ」


「入院中は不足?」


「暇だから。飲み物飲んじゃう。

 料理が悪いんじゃ無くて、だいたい0.9%相当の味付けが美味しく感じるように

 なってるから、食べる時の味の濃さは固定なのに、追加でお茶飲みまくって、

 お茶で薄めてしまう。それが毎日続くと足りなくなる」


0.9%。こんな数字を、いきなり常識のように言われて、唯は途惑う。

もしかしたら常識なのかもしれない?


----


「通常食だったら、0.9%相当に近い味付けになってるはずだから、味がわからないほどだったらもう駄目だと思った」


あのとき俺は、階段2階分、自力で上るのが難しいほど、肺が弱っていた。

味を感じなくなったら、もう駄目だと思っていた。

まあ、あの時の状態では、健康な人だったら、少々息が切れる程度の症状でも死に至るわけで……


「味がしないから、減塩食来たかと思った」


「濃さって何の話?」 洋子は、ついに訊く。


今は2013年だから、今の小泉さん(洋子)は、知らないのか?

俺が入院したときは良く知ってたんだけどな。

あれは、俺のために調べてくれたのか……なんて良い妻……


今、俺が教えてしまうと興醒め感があるが、どうせ、俺は時間を戻す。

この歴史は、石の中にしか残らない。でも、小泉さん(洋子)、石読んじゃうかな?


そんなことを考えつつも、説明してしまう。


「諸説あるけど、水1リットル当たり、4gくらいが適量と思っておけば良い。汗かく人は、もっと多くて良い。

 (汗に含まれる塩分は1Lあたり0.5~5g程度で、個人差が大きく、変化はしないようです)

 厳密に言うと”塩換算の浸透圧”だけど、塩で9割決まるから、塩だけである程度コントロールできる。


 水を飲んだら、塩分も補給する。その方が長時間水が体内に残るから。


 血液の浸透圧は、ほとんど塩で決まってるし、浸透圧さえ保てれば、成分の比率は多少変わっても、浸透圧的には問題無い。

 血圧が高いからと言って、安易に減塩すると、代わりに糖分まで使われて糖尿病になりやすくなる。


 人間の味の好み自体が、0.9%相当に近いところに有るから、味噌汁とか、ラーメンのスープとかは、2倍に薄まる程度の水を飲むと丁度良い。


 塩の量考えずに、水は体に良いからいくら飲んでも良いとか言ってた時代も有ったけど、そんなわけない。

 水中毒で、身体に悪い。いや、精神にも異常が出る。

 だから、1Lの水飲んだら2gくらいの塩分を追加で摂った方が良い。

 食事も全部ひっくるめて考えると水分1Lあたり塩分4gくらい」


※1Lあたり4gだと、水2.5Lに対して10gの塩なので、実は現在の先進国の実際の数字に近い。

 失われた塩分を補充することが目的なのですが、出て行った塩の量っを測るのが難しいので

 せめて水との比率にしましょうという基準です。0.4%の塩水飲めと言う話ではありません。

 ナトリウムの量を塩化ナトリウムの重さに換算しての話なので、出汁をきかせて塩分控えめ

 とかやっても、出汁に含まれるナトリウムは塩分量に加算されます。


唯のまったく知らない話だった。

「はじめて聞きました」

とは言ったものの、あまりに突拍子も無い話に少々困る。


「学校では教えてない……まあ、21世紀の話だから、唯ちゃんの時代には、まだ反映されてないのか」


「私も知らない」 洋子が答える。


「え?……減塩も体に悪いって」

「知らない」


細かい数字はともかく、大騒ぎになったので、大人なら知っているはずだ。


「昭和の迷信とか、世紀の大誤報とかって大騒ぎしてた」

「知らない」


今は2013年。あれは、2013~2021年までの間の出来事だったか?


いや、俺は塩の天動説の記憶を持っている。2013年までに体験したものだ。

たしかに、未来の出来事も、ある程度知ってはいるが、知識としてあるだけで、主な出来事を1ページに書き出した程度しか覚えていない。

たとえば、生前退位で令和になることとか、そんなレベルだ。


ペラペラ説明できるのは、2013年より前に体験している、俺にとっての常識だからだ。


今は2013年。俺が死んだのは2021年……いや、2013年には既に塩の天動説が出てるはずだ。

戦後減塩信仰が出て、塩分摂取量は年々下がっていた。

貧乏だった時代に、寿命を決める要素が何かというのは調査が難しかったはずだ。

長寿で東京1位、以下大都市の寿命がやたら長かったのは塩の量とは関係が無い。


それでも、盲目的に塩の量は減らされてきた。


挿絵(By みてみん)


減塩の悪影響は、社会が安定して、ある程度まともな平均寿命が出せるようになったころには出始めている。昭和の頃には、十分データに現れるレベルで出ているのだ。

昭和末期には、秋田、岩手の方が大阪より長寿だったのだ。


(文中の寿命と、塩分摂取量は男性のもの(女性は都道府県ごとの差が少ない))

都道府県の寿命ランキングを時代と共に追っていくと、どんな変化が起きたかが良くわかる。

日本全体で減塩が進むと、雪かきの負荷が大きい県ほど早いタイミングで寿命ランキング下落が始まる。そして、昭和末期には西日本の方が寿命が短い。


塩以外の要因での寿命の延びが大きいので、単純に塩と寿命だけ見ても、効果はわかりにくい。

ところが、都道府県間での相対的な位置としては、動きが見えやすくなる。

簡単に言えば、寿命ランキングが上がっていって落ちていくという山となって適量が現れる。

或いは、雪国が長寿を維持する場合、逆に他の県よりも塩分摂取量が多いように見えるようになる。

長野や福井が、寿命が長く、塩が多く見えるパターンだ。減らすと落ちていく。

(雪かき負荷が重要なので、積雪量が同じでも、都市化や自動化が進むと最適な塩分量は減っていく)


挿絵(By みてみん)


大阪が急降下しているのは、戦後は都市部の寿命が圧倒的に長かったものが、人の流入で悪化したため。1985~2000くらいまでは、大阪より岩手の方が(少なくとも数字上は)平均寿命が長かった。

1985時点で最上位と最下位の沖縄と大阪は2015年にはクロス寸前まで来ている。


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2015年 都道府県別寿命ランキング(男)

1位 滋賀  81.78歳 11.4g

2位 長野  81.75歳 12.5g

3位 京都  81.50歳  11.5g

4位 奈良  81.36歳 12.1g

5位 神奈川 81.32歳 12.1g


2015年 都道府県別寿命ランキング(男)

塩分摂取量の少ない順5府県


36位 沖縄 80.27歳 9.5g

26位 佐賀 80.65歳 10.9g

20位 香川 80.85歳 11.0g

38位 大阪 80.23歳 11.1g

9位  大分 81.08歳 11.1g


※普通に考えて、この結果を見て、減塩で寿命が長くなると考えるのはおかしいですよね!

 寿命で上位の県は、塩分摂取量が少ない県と重なりません。


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そして、なぜ長野や福井は、塩分多くて長生きなのだろう? きっと、塩以外の部分が健康的だから……と何故か塩を避けて考えると答えは見えてこない。単純に、適量だから寿命が長い。それだけだ。


塩分摂取量と寿命ランキングには逆転が現れている。寿命上位の県は、塩分摂取量が少ない県ではない。さらに減塩を進めていくと、雪無し県が上位に来る可能性が高そうだ。

そうなると、一見、塩分摂取量が少ない方が寿命が延びるように見えるようになるが、同時に、積雪県の寿命が短く見えるはずだ(塩分摂取量が減ると現在上位の滋賀や長野の順位が下がる)。


そして、同程度の積雪量の県を比較すると、塩分摂取量が多い方が寿命が長い傾向が見えやすくなる(現在既に、近い積雪量同士の県を比較すると、塩分摂取量が多い方が長寿という傾向が見えます。岩手と長野が積雪量が近くて寿命は最上位と最下位。もちろん、塩が多い方が寿命の上位です)。


減塩を進めると、現在既に適量に居る県が、現在の上位の県で、雪無し県は、今後適量に入る。つまり、全国一律では無いし、適量が5g以下である可能性も低いということが見えてくる。


汗で出ていく塩の量を無視すると、健康的な塩の量は出てこない。


逆に言えば、日本全国一律での塩分摂取量と寿命との関係を崩してしまうほどに、雪かきの負荷は大きい。

そして、それは同時に、汗で出ていく塩の量を考慮せずに、一律何g以下と定義するのはバカげているということになる。

だから、寿命を延ばすことが目的であれば、雪かきする人は失う塩を補給するために増塩、そうでない人は、雪かきする人に合わせる必要は無いということになる。


まあ、出て行った塩の量は直接はわからないが、汗の量は、雪かき前後の体重の変動である程度知ることができる。どれだけ汗をかく作業であるかを知ることくらいはできる。


そして、積雪の無い県であっても、塩分摂取量をある程度まで減らすと、急激に寿命ランキングで下落していく可能性がある。

1980年頃は、平均寿命1位だった沖縄が2000年には下から数えた方が早いところまで下落している。

減塩しているのに食文化が変わったから寿命ランキング急降下しているわけでは無く、減らしすぎたから急降下した可能性もある。

寿命上位の雪無し県で11.5~12gくらいだ。雪かきしない県でも、寿命ランキング上位は、そんなところにあるのだから、9.5gまで減らした沖縄が急降下する理由が減塩しすぎである可能性を疑わないというのもおかしな話だ。


人の死因は高血圧だけではない。減塩は、高血圧で死ぬ人を減らす効果はある。

塩を5g以下減らせば、高血圧性の病気で亡くなる人は激減するだろう。

でも、健康とはあまり関係が無い。


平均寿命が下がるなら、高血圧で死ぬはずの人を、それより若いうちに別の病気で殺すことで死因を高血圧以外に転嫁しているだけだ。つまり、減塩は、高血圧の代わりに別の病気を誘発する。

※高血圧回避で罹りやすい病気は、感染症による死亡リスクの高い病気でもあります

 → 結果として、感染症によって社会が受けるダメージが大きくなる


「高血圧の人が減塩したら、塩以外を使って血圧上げに行くから、糖尿病とか他の病気になるって聞いたことある?」

「無い」

※実際には、塩不足ですぐ(短期)に起きる症状は脱水症状、熱中症です。浸透圧が足りないと血糖値が高い状態が続きやすくなる。ナトリウムが足りないと、カルシウムが多く出て行きます。代用されます。

糖尿病の初期症状に喉が渇くというのがありますが、アレが塩不足脱水症状です。




「塩の天動説は?」

「塩の天動説?」


ホントに知らないのか。


俺の記憶がおかしいのか?

いや、さっきも読めた。俺の洋子さんは知っていた。


味覚が無くなったときのことを知っているなら……

石を読んだ、小泉さん(洋子)も、少し知っているはず。


「あのとき、味が濃いのに俺が薄いって言ったから、気付いたんだよね?」

「ええ。それはそうなんだけど」


石から読めた内容は、栫井(かこい)視点のもので、洋子がどんな味を感じたのかは、直接は分からないものの、濃い味を感じていたのは確かだった。


十分濃いはずなのに、薄いと言った。栫井(かこい)の味覚が急に、弱くなったので、洋子は助からないかもしれないと思った。


「ジン君、もういちど読んでみる」


一度読めた記憶は読みやすい。


……………………


栫井(かこい)は一口食べ、小皿料理に醤油をかける。

さらに一口食べると、箸を置き、今度は醤油と迷った末、味噌汁にコショウをかけた。


洋子は、このとき違和感を持つ。

味が薄い時、おかずに醤油をかける。これは家でもだ。

これは、洋子が嫌がっても治らなかった。

だが、味噌汁にコショウはかけない。


そして、味噌汁の味を見た後、コショウのチェックを始めた。

まるで、コショウがおかしいかのように。


そして言う。


「味薄いな。間違って減塩食来てないか?」


それを聞いたとき、洋子はこう思った。濃い目を頼んだが濃い目は無く、調味料セットが付いて来た。


確かに、減塩食と通常食があった。入院手続きをしたのは洋子で、食事はわざわざ濃いめにしようとした。


そもそも、入院前、わざわざ食事が美味しいと言う病院を選んだ。

どうせ、治る見込みは無いので、医療施設と言うよりは、人生の最後を過ごす場所として。


ほとんどの人は通常食だった。糖尿病や、腎臓に疾患を持つ人は、厳重に管理されるが、ここは、(ガン)病棟。

終末医療の(ガン)患者に、今更、管理の難しい減塩食にする意味が無い。

(完全寝たきりだと管理されるようになる)


……………………


確かに濃いめと言う注文をしようとした。

そして、あそこでは、減塩食の方が特別扱いだった。


あのとき、洋子も、減塩が良いことだとは思っていなかった。

むしろ減塩は悪だった。


なんで?


そのとき新しい情報が読める


……………………


栫井(かこい)がベッドで、食事について話をしているシーンだった。


「しばらく前の病院食は、不味かったらしいな。なんでも減塩で。

 昭和の頃、塩は体に悪いって言われてて」


「なに?」


「高血圧で死ぬ人を減らすためには……血圧高目の人は、塩分控えろって」


「言ってたわね」


「うん。でも、その人の寿命が少々延びても、同じ病気で死ぬと集計上、死因は変わらない。

 でも、結果的に寿命が短くなったとしても、他の病気で死ねば、高血圧で死ぬ人は減る。

 死因を変えないと減らない。


 塩を減らして、循環器系の死因が減るのは、他の病気で死ぬようになるから。

 健康になったからじゃない。

 不健康にして、別の死因を増やしただけだ。

 体は、塩不足で血液量や浸透圧が保て無くなれば、糖でも使う。

 そうすれば、死因は糖尿病やら、別の病気になるから、循環器系の死因は減る」


「うん。昭和の迷信だって、言ってたわね」


……………………


これは、手術前、1回目の入院の時の話だ。


確かに、記憶の中で、洋子自身が言っている。

”昭和の迷信だって、言ってたわね”


ところが、今の洋子は、塩の昭和の迷信なんて知らない。

「言ってたわね?」


「塩の天動説は?」


塩の天動説。これは、洋子はまったく思い当たらない。聞いたことの無い言葉だと思った。

「知らない。なんなの?」


「無いのか……ここには、塩の天動説……」


----


塩の天動説が無い……


減塩製品がやけに多いとは思ってた。塩の天動説が無い世界?


WHOと塩分で検索する。

世界で一律5g以下? なぜ、塩単独で基準を設定してるんだ? これじゃ20世紀基準だ。


確かに5gが適量になる条件もある。水分をあまりとならない人ならそうなる。

人口的に大多数の人は汗をそれなりかくし、水分も取る。だから、ほとんどの人にとって5gは不健康な数字だ。


ここは、俺が知っている世界じゃない。


「ここは異世界なのか?」


「え?」


そういえば、2013年なのに、塩分革命の話を聞かない。

※革命につながる、いくつもの研究結果発表と、各国の塩分量見直し。WHOが基準変えるのはもっと後。


なんてことだ、俺はいつの間にか、異世界に来ていたのか……

この世界で入院すると、不味くて不健康な飯を食わされてしまう……


俺が時間を戻したことと、塩の天動説には関連は無い。


バーベキューの時、塩不足からくる脱水にやられた。90年代後半だ。

あのときはまだ、塩の天動説は無かった。21世紀に入ってからだと思う。


俺は何故、そんな世界に来た?


そう思うと、背中がゾワゾワっとする。いい加減体が覚えた感覚が。


……またか、何かが来る。


次の瞬間、凄い電気ショックが!!

頭のてっぺんから、脊柱を通って、尻に……尾骨に当たる。


「あだだだだだだっっ!! フラグが立った」


「え? また?」


来た。しかも、今度はメッセージ付きだ。

”俺は、元の世界で死ぬことができる”


そうか。保険が掛けてあった。

俺が、この回で終わりにするのを辞めさせるため、わざと、違う世界に連れてきたんだ。


俺は死んだ時のことを思い出すと、病院食で塩のことに気付く。


「やりなおせって、言ってるみたいだ。俺の世界に帰れるようだ」


「そう」


洋子は微妙な気持ちになった。今のこの世界は、栫井(かこい)と洋子が夫婦だった世界と別物。

時間を戻しただけじゃなく偽物。


洋子も偽物……だが、おそらく、次に時間を戻せば、洋子も本物の洋子に戻る。

今回の人生を、否定するようで嫌だけど、洋子自身は、石の中の記憶の洋子と同一人物だと思う。


違うのは、世界の方だ。


----


そして、栫井(かこい)は確信する。

やはり、石には条件が満たされたとき、電気ショックやメッセージを届ける機能がある。


俺は、それを使って、自分の行動をある程度、コントロールできる。

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