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加齢臭と転移する竜 (内容まとめ:おっさんが異世界に終活をしに行く話なのですが、なぜか『ほのぼの』と言われています)  作者: 黒長 二郎太
3章.加齢臭と恋の匂い編

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3-1.漏らさない男

遂にトルテラの暮らしに便利な能力が開花します。ただ居るだけで快適環境が手に入る実用的なお年寄りに進化です。

挿絵(By みてみん)


不思議なことに、すっかり元気になった。

悪いことではないが、奇妙には思える。


リナを治療して極端に衰弱したので、てっきりごっそり寿命が削れたと思っていたのだ。

寿命を削って魔法が使えると聞いていたから、それをやってしまったのかと思ったのだ。


それでもリナが元気なら良いかと思っていた。

俺がリナの身代わりになったと思えば、仕方ないとも思えた。


ところが、しばらくたったら、すっかり回復した。

リナが怪我して一月半くらい経ったと思う。

それに伴ってか、あんまりリナが世話してくれなくなったのでちょっと寂しくなった。


俺は、リナが優しくしてくれるので、幸せを感じていたのだ。

また再び、雑に扱われてる気がして悲しい。


俺を老人扱いする割には、あまりいたわってくれないのだ。


それはともかく、体の回復とともに魔法の強さも回復した。

リナの治療で衰弱して以来、しばらく弱まっていたのだが、そちらも無事回復して一安心した。


皆が当たり前に使えるものを、俺だけが使えないと困る。

まあ、来たばかりの頃は使えなかったのだけれど。


================


このところ雨が多くうんざりしている。


この世界のテントは固くて厚くて重い、防御力高そうな布でできてるくせに、すぐ雨漏りするのだ。


雨の日は雨漏りするのが普通で、あとは個々にシールド魔法を使う前提になっているのだと思う。

シールド魔法というのは雨除けの魔法だ。


雨漏りするのは普通のことで、そのシールド魔法を使って少しでも快適に過ごすって感じなのだが、寝てるとシールドは切れるか弱くなる。


それが普通なのだが、俺の場合は寝てても切れないので便利だ。

魔法は男の方が強いそうなので、そのくらいの差が出るのだろう。

ただし、俺のシールドが効いていると、俺に当たるはずだった水滴が、俺を避けて横に落ちるので、エスティアかリナかテーラが濡れるだけで、結局、テント内に水が入ると誰かが濡れる。


濡れた毛布は、雨上がりとかには、ぜんぜん乾かない。

干す時間も無く出発するので、次の日も濡れっぱなしで、非常に不快なのだ。


なんと、その問題が解決したのだ。


俺は、魔法は点火は駄目だったが、それ以外はだいたいうまく使えるようになった。

暗視、遠目、治療、シールド。


一番凄いのはシールド。こいつは便利だ。さらに、俺のは特別凄い。


ふつうシールドと言うと戦闘時に防御力を上げるような魔法になると思うが、この世界のシールドは風雨を避ける魔法だ。

攻撃を受けたときにダメージを減らす効果はおそらく微塵も無い。

でも正直、はっきり言って、凄く役に立つ。

達人になると風雨を気にせず一日行動できるようになると言う。


日本でも使いたい魔法だ。

風が強いと傘さしていても、足がびしょ濡れになってしまう。

火の攻撃魔法とかそんなのより、遥かに役に立つ。


とはいえ、普通のレベルだと、行動中、雨に濡れにくくなるとかそんな程度だ。

この世界の魔法は、地味なものが多い。


効果もゆっくり出るものが多い。例外は衝撃くらいだろう。

衝撃は瞬間で効き、実際に受けた衝撃より、ずっと大きな衝撃を受けたように錯覚させるって感じの魔法だ。

衝撃魔法自体は、受けても痛くも痒くもないはずが、騙されて、体勢を崩しやすい。

意外にこれがバカにならない効果がある。

”おっとっと”となるので戦闘ではかなり重要な魔法だ。


※実は、日ごろからちょくちょく使っている魔法です。

 使うのが普通なので、当たり前で気付きにくいだけです。


で、俺のシールドの何が凄いかと言うと、普通は、自身の体と着てるもの、精々装備品くらいまでしかシールドの効果は出ないのだが、俺の場合は触れてなくても効果が出る。

特に閉鎖空間だと、かなり強い効果が出る。


それで何が嬉しいかと言うと、テントが雨漏りしないのだ。

これは、本当に役に立つ。


この世界のテントは、固くて厚くて重くて、と良いところの無い布でできてるくせに、すぐ雨漏りする。

雨の日は雨漏りするのが普通で、あとは個々にシールドで、少しでも快適に過ごすって感じなのだが、俺の居るテントは傷んだ生地でも雨漏りしないのだ。



元々エスティア達のテントと、アイス達のテントで2つを使っていた。

アイス達のは、まだ新しくてちゃんと張れてれば雨漏りしないのだが、こっちのテントはボロくて雨漏りが激しかったのだ。

テーラが増えてさすがに狭すぎるので、割と最近買い替えたものではあるのだが、たぶんテント資金は俺の余命診察で使ってしまったので、ボロいのしか買えなかったのだと思う。

俺のために済まねぇ……とちょっと思っていた。


このあたりの気候は日本に居た頃の首都圏と大差なく、けっこう雨が降る。

テントがぼろいと、シトシト雨でもしばらくすると雨漏りするのだ。


土砂降りでは、テント内にも雨が降るって感じだった。

木の下では、土砂降りの直撃を避けることができるのだが、

土砂降り直撃で漏るのはともかく、少々の雨での雨漏り、これが辛かった。

けっこう頻繁に降るので頻繁に寝具が濡れる。

が、乾かす時間は無いし、雨上がりに少々干しても乾かない。

何日も濡れた寝具で寝ることになるのだ。

体力回復ができず、どんどん疲労が溜まっていく。


ところが、しばらくすると、どういうわけかまったく雨漏りしなくなって不思議に思っていたら、実は俺のシールドが効いてることがわかったのだ。

もう、雨の日の快適さは、以前と比べて天地の差というくらい大差があった。


あるとき土砂降りの中、アイス達のテントが雨漏りして、こっちに避難してきたことがあった。

俺が大きすぎることもあって、狭くて6人は寝られないが、座って過ごすことはできる。


すると、これは快適だと言うことで、アイスとフィーも雨の日はこっちに来ることが多くなった。

それじゃ2つあっても意味無いので、俺たちが今使ってるやつを使うのやめて、アイスのを売り払って、2倍大きなものに買い替えることにした。

普通の生地で2倍になるとパーツを分けて持ち運ぶ必要があり、不便なのと、厚い布の物よりだいぶ安かったこともあって、とりあえず、薄い布のテントにした。


これは大正解だった。

俺のシールドが効いてるので布は薄くても問題なく、漏らさない男認定を受けた。

なんか凄くバカにされてる気もしたが。


アイスの前のテントは売り払ってしまったので、今後は6人での行動になる。

仲間ってあっさり増えるんだなと思った。


ここで揉めたのが、以前と同じで寝る順番だ。

俺は手とか握られるだけでも寿命が削れてしまうので、あまり危険な人物の隣はまずい。

ということでフィーから離れたところで寝るのだが、朝にはだいたいフィーが俺にひっついてるのだ。

フィーはぷよっとしてて抱き心地は良いものの、むしろそれがまずくて、俺はどんどん衰弱してしまうのだ。

だいたいリナが気付いて、引っぺがしてくれるのだが。


テントは真ん中が一番高いので、大きい俺は真ん中以外だと起き上がれない。

それもあって真ん中になる。

フィーが端っこで、その隣がフィーの見張り。

俺の左右が俺の見張り。

残りの一人は俺の見張りの片方とフィーの見張りの間に寝る。

フィー以外はローテーションになってるようだ。


フィーを俺に近付けないのは、俺が消耗してしまうこともあるが、フィーがひっついてるとシールドが弱まって、雨漏りすることがあるのだ。


そのため、フィーは雨漏りが根拠であるなら、晴れの日は引っ付く権利があると主張している。


=======


その後もアイス達は、幕営ではあるが3日ほど滞在して帰っていくというのを2回ほど繰り返した。


来るのに2日、3日滞在して、帰るのに2日、合計7日間。けっこうな長旅だ。

そこまでして会いに来るほどトルテラが好きなら、ここに住んじゃいなよという話になった。


アイスは単純だけど、いいやつなので、普通にシートに気に入られたのだ。

髭マニア仲間だし。これはわかる。

意外だったのは、フィーで、あれはあれで、知識面ではちょっと町民のレベルを超えたものを持っているので、そこを買われたのか、シートからの評価は予想外に高かった。


テーラの家の敷地内には、今は使われていない物置小屋みたいな小屋がある。

湿気でだいぶ傷んでるので、かなり手を入れないと住めないが、

使いたいなら使っても良いと、2人はテーラの家の離れの小屋に住んでも良いことになった。


アイスが会いに来てくれるのは正直嬉しい。

フィーは、ひっつかなければ問題無いのだが、ひっつくのでいろいろ困る。


住めるように準備を進めるが、俺が一番力があるので、材料を運んだり手伝った。


面白いことに、俺が大荷物を運ぶと、アイスが凄い勢いで喜ぶのだ。

アイスは大きくて力の強い男が好きなんだな。


たぶんアイスのお父さんはアイスが物心付くまで元気で力持ちだったのだろう。

だから大きくて力持ちの俺が大好きなのだろうと思った。


アイスはこっちの世界では、下手したら男より大きくて力がある。

この世界の若い男がどれだけ力あるかはわからないが。


かなり大柄なアイスと比べても、こんな圧倒的にでかいのは俺くらいなのだろう。

俺から見ると、こっちの人が皆小さくて、アイスくらいが普通の女の子サイズなんだが。


なんだかアイスが、とてもかわいく見えるようになった。


そういえば、フィーを見かけない。あいつの住む家なのに。

「フィーはどうしたんだ?」

「フィーなら帰ったぞ」

「帰った?」

「急に商売がなんとか言ってた」

アイスに聞くと、フィーは家の商売やれって連れてかれたと言う。


フィーは本当は商家の娘で、遊んでる暇など無いのだという。

なんで冒険者やってたのか聞くとトルテラがいるからじゃないか?と言う。


実は、俺を拾ったらフィーが俺にひっ付いてただけで、元は仲間でもなんでもない知らない人なのだそうだ。


これにはびっくりした。

フィーが居なければ一緒に寝られる日も多かったのに……と思うのだが、「フィー一人にしたらかわいそうだろ」……と言う。

なんていい子なんだ、俺の中でアイスの評価が凄い勢いで上がった。

やべぇ感動のあまり、なんか出ちゃいそうだ……と思った。


しかし、それはエスティアに見破られた。ふんふん。

そうね、アイス良い子よね。何かが出ちゃうくらい。

「体は正直なのね」ボソ……って、うわぁーーー



アイスが一人増えるだけなら、俺たちが間借りしている菜園側の家でも十分足りないか?

「あのさ、アイスだけだったら、この家使わなくてもいいんじゃないか?」


正直なところ無節操にトルテラを衰弱させるフィーが居るから別の建物を用意しただけで、アイスだけなら隔離部屋は必要ない。


「アイスは、そんなにトルテラが困るようなことしないし、良いんじゃない」

「そうだな。シートに話してみよう。アイスなら問題ないだろう」


※フラグが立ちました

挿絵(By みてみん)


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