17-9.残念な特別の騎士
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
しばらくして、目が覚める。女達の配置が、さっきとだいぶ変わっている。
寝相が悪すぎなんだよ!と思う。
目が覚めたのは、なんか妙に密着してくるやつのせいだ。
見るとリーディアだった。
リーディアは、見た目が良すぎてうそ臭いのだが、その副作用で胸も無駄にでかい。
なので、こいつがくっ付いてくると胸が当たって困る……?
あれ? 違和感が。
コイツは元から巨乳だ。無駄にでかい。
コイツのターゲットが俺だとした場合、それは無駄な装備だ。
俺は、大小にかかわらず、おっぱいに弱い。
いや、そうではなく、そう言うことに関してはヘタレで控え目なリーディアが何故、今更密着してくるか?
何かあるのだろうか?
俺が起きたことにリーディアが気付く。リーディアは寝ていなかった。
「すまん。起こしてしまった」 そう言って、抱き着きが少し緩くなった。
なんとなく、わかった。
そう言えば、リーディアは、俺と離れると無駄に心配して、寝られない呪いにかかっているのだった。
俺がどこかに行ってしまうと、無駄に心配するのだ。……無駄では無いかもしれないが。
昨日、安心して寝られなかったから、そのぶん密着してきたのだろう。
「昨日寝られなかったのか?」
「少し……な」
少しって何だよ。少ししか寝られなかった?
あまり話したくないようなので、話題を変える。
「弟には会えたのか?」
昨日リーディアは、弟に会うため、自分の屋敷に行っていたのだ。
「ああ、運が良かった。もう二度と会うことは無いと思っていた」 リーディアが答える。
そう、”会えたよ”、では済まないのだ。
大袈裟だけど、この世界だとそんなものかもしれない。
この世界は、俺が元々住んでた地球の日本の風習とは男女逆で、男の方が嫁に出されるイメージになる。
いや、もっと酷くて、兄弟でも二度と会えないというのが普通にあるのだ。
「元気だったか」
「ああ、元気な姿を見ることができただけで良かった。安心した」
「じっくり話しできたか?」
「いや、少しだけ。実は、弟の件もあったが、1日がかりだったのは、別件だ」
私用では無いアピールだろうか? 俺的には、私用でまったく構わないのだが。
「別件?」
「観客席の準備に行ってたのだ。あなたが急に言い出すから、準備が大変だった」
リーディアに見つめられる。
俺が明日と言ってしまったために、大混乱になったのは確かなのだが、そもそも、なんでリーディアが観客席に関係あるのだろうか?
あ、なんか嫌な予感が!
「そういや、なんか、旗いっぱい立ってたのが気になるんだが。あれは何だ?」
「辺境の国々の旗だ」 リーディアが答える。
そうじゃねーよ!
「だから、なんで見物するのに旗立てるんだ?って聞いているんだ」
「ランデルは小国だ。だが、武力に関しては、そこそこのレベルにある」 リーディアが言う。
何故にランデル? 全然関係なさそうだし、嫌な予感はするが、続きを聞く。
「ああ」 相槌を打つ。
「そのランデルの軍が一人の男に撃破され、軍を指揮する姫ごとその男の元に降った」
姫?
姫って? ラハイテスは姫か? 気付かんかった! やつは姫か!
しかも、その言い方、いろいろおかしいだろ!
「ラハイテスは姫なのか! ますます、まずいじゃないか!
俺はただの残念脳筋枠だと思ってたのに!」
「ざんねんのうきん……わく?」 リーディアが、余計なところに引っかかる。
いや、大事なのは、そこじゃねーよ!!
「姫とか降ったとか、人聞きが悪い事を……」
「だが、事実だ」
「言い方ってものがあるだろ、悪意がな……」
「目撃者が、……負けて生還したものが大勢居たのだ。
その者たちが、思ったことを口にすれば、当然こうなる」
「思ったことってなんだよ!」
「あなた一人に弄ばれた。そして、姫ごと奪われた」
勝手なことを言いやがる!
「あれは、死人出したらまずいと思って、良かれと思って……」
「圧勝できるのに、死人が出ない。それをやられた側からしたら、弄ばれた。
そうなるのも不思議はないだろう」
リーディアが言う。
「それじゃ、俺が極悪エロ爺みたいに聞こえるだろ」
「当然、悪意も感じるでしょう。だが……」
「だが?」
「辺境の国の者は、好き嫌いに関わらず、流れを読まなければ生き残れない。
当然、現時点で、その流れが最も激しい場所、即ち、城壁のストーンサークルと、そこを支配するダルガンイストに興味を持ち、視察が増える。
そんなところに、わざわざ観客席を設けて竜を見せる。
当然、何か意味があると考えるのが普通でしょう。
普通の人間は、深い意味も無しに竜を呼んだり、尻尾の破壊力を見せつけたりはしないから」
「俺は、そもそもこの世界の人間じゃねーし、この世界の普通を考えて動いてねーから!」
問題あるなら、それを止めるのがお前の役目だろ!!!
俺は猛烈に思うのだ。
だが、猛烈な勢いでスルーされる。
「となれば、当然、何かしらの意味があると考える。
そして、誰が来ているかは、お互いに見ればわかる。
となれば、隠す意味が無くなる。
その場であれを見せられれば、敵対する意味など感じないでしょう。圧倒的だ。
だったら、いっそのこと、どれだけ積極的に接近を望んでいるかアピールする方が得。
そう考えるのが普通。であれば、それを、最もスムーズに進められるように準備を整えるのが私の仕事」
”私の仕事 キリッ”じゃねーよ! そんなん頼んでないし!!
リーディア、いつも思うんだが……コイツはいろいろセンスがある……だが、俺のためになることには使わずに、だいたい、俺が困る方向に働いてくれる。
「俺はそう言うの嫌いなんだよ!」
「もちろん知っている。だが、判断するのは辺境の者たち。私ではない」
何が”私ではない キリッ” だよ! 猛烈な勢いでお前のせいだよ!!
もう俺は全身全霊で叫ぶ、全部お前のせいだよ、この残念系脳筋巨乳騎士が!! もちろん、俺の心の中で。
だが口には出さない。何故なら、俺は紳士だからだ。
そして気持ちを切り替える。
「それはそうと、ラハイテスは姫か!」
俺はこのことに気付いていなかった、大失態だ!!
「やはり、あなたでも姫は好きなのだな」
こんなどうでも良い事に、リーディアが真面目に食いつく。
「まあ、姫は男のロマンだからな」 残念ながら否定はできない。
「ロマンとは何だ?」
ああ、ロマンだと通じないのか。
「ロマンってのは、追い続ける夢とか憧れみたいなものだ」
「そうか、ならば私は姫を目指そう。
あなたの望みがそれならば」
コイツが姫を目指す姿なんて、まったく姫のロマンが無い。
脳筋スポコン努力友情系で、私お姫様を目指しまーーーす。ドスコーーーイ!!って感じだ。
ロマンの片鱗も無く、そこにはただ、ただ、とても残念な脳筋の何かがあるだけじゃないか!!
そんなの絶望だ!!
全力で阻止。俺の脳内で即決定された。
「いや、姫は目指してなるものじゃ無いからな。
俺は姫も好きだけど、俺の騎士も好きだから、そんなの目指さなくても良い」
「そうか。騎士も好きなのか」 リーディアが安心したような表情を見せる。
今そんなに重要な話、してないんだけど……と俺は思った。
俺は、姫を狙う野望を未然に阻止しよう……そう思っただけだった。
もっともっとハードルを下げる。
「堅苦しいやつじゃなくて、特別感が好きなだけだから。
忠誠とかそう言うのは、あんまり問題じゃない」
「堅苦しい?」
「俺の騎士ってリーディアだけなんだよな」
特別感を出す。もちろん、姫狙いを阻止するため。
今のままで良いんだよ感を出すために!
「募集すれば、いくらでも……」
そう言うと思ったが、俺的には、量産型の騎士なんか、あんまり嬉しくない。
「いや、そうじゃなくて、”ただの平民の老人の俺の騎士”になりたがったやつは、リーディアだけなんだよな。
偉い人に騎士が居ても普通だ。
ただの老人に忠誠誓うような、ちょっとダメな騎士が可愛いじゃないか」
俺はちょっと良い事を言った。俺的には……というつもりだった。
ところが、そう言うレベルじゃ無かった。
リーディアの目から涙が……途切れることなく……いや、号泣だよ!
「そうか。良かった」
そう言って、やたらしがみ付く。
良いシーンなのに、やたらでかいので、胸が当たる。
「私は、素直に……」
ぐふぅーー、良いシーンだから耐えなければ!
「私も、もう少し、ううっ
……素直に生きて、……うう、みようと……」
「それが良い。リーディアはカッコ付けすぎなんだよ」
そう言うと、リーディアは、ますます抱き着いてくる。
困った、良いシーンなのに、俺はおっぱいの柔らかさが、ぐおおおおおおおー!
「ありが……と、うえっ、うーー」
リーディアが抱き着いて離れない、そして、鼻水を俺の服で拭いた……
なんでコイツらは、泣くと俺の服で鼻水拭くんだ、ぐわぁぁ
素直な行動がこれだったのか!!
ぐわあぁぁ
俺の心の耐久力はリーディアの”ぼよんぼよんの胸”と鼻水で終わってしまった。
でも、少しだけ、リーディアと心で通じた気がした……おっぱいと鼻水で阻止されたのが残念だった。




