17-8.対中華まん戦訓練(4)竜の体と異様な消耗
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
ストーンサークルから落下した!……と思うと、今度は平衡感覚が無くなって倒れる……いや、倒れつつある。
……凄く遅い。
”ドゴーーーーーーン!”
倒れた。
って、またかよ! 自分で突っ込み入れる。
間違いなく竜の体だ。
少し遅れて衝撃を感じる。でかすぎて時差がある。
竜の世界に来た。
いきなり色っぽい匂いがする。
”ディアガルド”と”グリアノス”だ。
とりあえず起き上がらないと、めんどうなことになる。
「おお、凛々しいのう」ベロン
【やめなさい】ベロン
ぐわぁぁぁ! セリフは違うけどやってること一緒だし。
「ゴワーーーー!(訳:やめんか!)」
「気にするでない、ちょっとじゃ、ちょっと。サービスじゃ」
くっそ、腹立つ。
しかし、なんというか、コイツら無駄に色っぽい匂いがするし、超かわいく見える。
いやいやいや、俺は対中華まんの訓練に来ただけだ!!
コイツらとラブラブしている暇など無いのだ!
「まずは、一人でどこまでできるか試す。それが終わったら、協力して貰ってどこまでできるか試したい。わかったか?」
【わかったわ?】
「まずは見ておれば良いのじゃな?」
くっそ、無駄に魅力的で困る。
まずは、一人でどこまでできるのか確認する。
「まずは、邪魔しないで見ていてくれ」
尻尾の先をストーンサークルに……入らない。少しづつサークルの中心に近付き、尻尾を入れようとすると、今度はずぼっと足が嵌る。
この状態だと、尻尾が向こうに出せる……が、もう少し尻尾をと思うと、もう片方の足までずぼっと落ちる。
片足入れて、ちょっと尻尾を出すか、両足入れて丸々出すかどっちかしか無いようだ。
”ディアガルド”と”グリアノス”に見守られながら、尻尾での打撃を試す。
尻尾による打撃は、尻尾の先を動かす程度なら簡単なのだが、ある程度広い範囲を攻撃しようとすると、足を着けないので、体がぐるぐると回ってしまう。
やっぱり駄目だ。体が回ってしまう。
頭が人間の世界側に出る。こりゃ駄目だ。
人がいっぱい見てる。早くも、見物人が大騒ぎだ。
別に宣伝したわけでも無いのに、どこから話を聞きつけてくるのだろう?
旗振ってる。ラハイテスの旗もある。あれはたぶんランデルの旗なのだろう。
他にも知らないのが何本もある。青いのはトート森なんだろうな……
なんで旗立ててるのだろう?と考えると、ちょっと嫌な予感がした。
俺に見えるようにか?
わざわざ旗立てて宣伝しまくる意味……なんかいろいろまずくないか?
とか思っていると、やられた。
"ゴワーーー"(訳:うわ)
誰か(ディアガルドかグリアノスのどっちか)が尻尾を舐めやがった!
急いで回転して、今度は竜の世界側に顔を持ってくる。
「誰だ、尻尾舐めただろ」
【その女よ。だから、こんな女いても邪魔なだけだって】
「仕方なかったのじゃ!あまりに魅力的だった故」
「真面目に協力してくれ」
見てろと言ったのがまずかったか。コイツらは待てない生き物なのだ。きっと。
「回っちゃうから押さえてくれるか?」
と言うと、両側から寄ってくる。
「こら舐めるな」
どさくさに紛れて、グリアノスも舐めた。やはり、両方信用ならない。
【ちょっとだけよ】
ちょっとなら良いと思ったのかよ!
「重いのう」
【重い】
俺から見ると、小型犬くらいのサイズなので重いのは仕方がない。
2人でなんとかってレベルだな。
「それに耐えられるか試している。ダメそうなら諦めるか」
【舐めて良ければ頑張る。
むしろ、頑張ったら舐めてくれても良いんじゃない?】
「妾もそう思うておったわい」
【珍しく気が合うわね】
コイツらの気が合うときは、俺が酷い目に遭うときだ。了解した。
俺には学習能力と言うものがある。
適当にごまかす。
「中華まん倒したらな」
「中華まんは、いつ来るのじゃ?」
駄目だ、コイツら獣だ。餌(報酬)のことしか考えてない。
その分、餌吊るしておけば、手伝ってくれそうだが。
「まあ、もうすぐ来るよ」 さらにテキトーに答える。
俺の手は短く爪ばかりでかい。なので、掴めない。
両脇を固めるように支えてもらう。
竜の体の一部を持って行くとき、俺は宙に浮いたような感じになる。
この状態では、尻尾を振ると反動が大きすぎる。
そこで、竜の世界側で、”ディアガルド”と”グリアノス”のどちらかに抑えていてもらえば、と思っていたのだが、2人ともに手伝ってもらう必要があることが分かった。
両側から押さえて貰わないと、ぜんぜん安定しないのだ。
「どうやら、2人に協力してもらわないと無理そうだ」
それにしても、近くにいるだけで、色香が凄いのに、押さえてもらうと接触するので、凄い刺激で困る。
ぐおーーーーーーー!
俺は竜の目で見ると、こいつらはすげー美竜に見えるのだ。
その上匂いも色っぽくて、俺はもう迎撃訓練が辛くなる。
悶絶しながら訓練する。
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ドゴーーーーン!! ドガーーーン!! 「おおお!!」
「おおお! これほどとは」、「大地が揺れる」、「これほど離れているのに、揺れるとはいったい」
人間の世界は大騒ぎだ。巨大な竜の尻尾が振られるたびに、雷のような轟音と、巨大な何かが落ちるような轟音と振動が響き渡る。
この光景は、周辺国から情報収集に訪れていた者たちの目にも触れ、多くの周辺国は一気にダルガンイスト側に付くことを決心した。
それほどの威力があった。
これを見越して、ラハイテスが見物場所に人を集めた。
そして、旗を立て、あえてどの国がどう動くのか目立つように仕向けていた。
旗を立てれば、トルテラの覚えが良いと。
元々、噂を聞いて、ひとまずはダルガンイストと交渉を始めるつもり満々だった辺境の国々にとって、これは良い宣伝になると、いくつかの国が乗って来た。
「ダルガンイストの時代がきましたな」
「新城下町(トルテラの家がある町のこと)に視察団を出したが、短期間で豊かな町ができていた」
「ランデルは既に姫を老人の元に遣ったそうですな」
「うまくやりおって、我らもうかうかしておれません」
ドゴーーーーン!! ドガーーーン!! 「おおお!!」
頃合いを見計らってラハイテスが切り出す。
「皆のもの、自由に飲め、今日はランデルのおごりだ!」
「おおお!ランデル!! おお!!」
「我らも乗るぞ。我ら、ムラトーデル」
「ダーラマターじゃ、仲良く頼む」
「おおお!」
見物席はお祭り騒ぎになった。
ラハイテスには、戦場だけでなく、高揚時の人心把握に長けていた。
もちろん、この作戦には、リーディアとブロソススワーレンも加担していた。
こうしてトルテラの知らぬ間に、どんどんとフラグが立てられて行くのであった。
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ドゴーーーーン!! ドガーーーン!!
俺単独では体が回ってしまって、狙って攻撃ができない。
ディアガルドとグリアノスに、両側から押さえてもらえばなんとかなる。
「どうやら、2人に協力してもらえば、なんとかなりそうだ」
それにしても、色香が凄くて、刺激が強くて困る。
【そんなに私魅力的?】
ぐおーーーーーーー!
腹立たしいが、猛烈に魅力的だ。
駄目だ、俺の心がオーバーヒートしてしまう!!
「2人ともありがとう。感じはわかった」と言い、離れようとする。
ところが、離れ際に、またベロンとやられる。
きつい、体力が減る理由はこれか?
「コラ、やめろ!」
「少しこちらで休んでいくが良い」 ディアガルドが言う。
【少し落ち着いて、お話しましょう】 グリアノスも。
”ゴワァァーー!”
「済まんが、体力が持たない」
これは、逃げるために言った言葉ではない。
本当に体力がごっそり減ってしまった。
この訓練はあまりにも体力の消耗が激しかった。
【ええ? もう終わり? 私、ちゃんと頑張ったのに】
「わかった、近いうちにまた来るから、そのとき」
何しろ体力が……もがくように人間の世界に潜り込む。
また頭がクラっとして、人間に戻ると裸だ。
なんか観客席が盛り上がってる。
ちくしょう、また大勢に見られてしまった。
急いで服を着る。
すると女たちが寄ってくる。
「どうだった?」
「手応えとしては、協力してもらえば、なんとかなるかもしれない。
こっちから、見た感じどうだった?」
「凄い大迫力だった」
迫力とか、そういう感想になっちゃうのは仕方ないのか。
中華まん撃退と言う意味で聞いたのだが。
ただ、とにかく疲れた。
「途轍もなく疲れた。……すぐ寝る」 そう告げる。
「さっき起きたばっかなのに、そんなに疲れたのか?」
「ええ? 大丈夫なの? もしかして、竜になっちゃ駄目なんじゃない?」
確かにそうかもしれない。竜になっちゃまずいのかも。そう思えるほどに体がキツイ。
観客席にも行きたかったが、こりゃダメだ。
「観客席も見ておきたかったが無理そうだ」
辺りを見回すと、やはり、大芋畑や井戸に被害が出ているようだ。
「やっぱり被害出るな」
ここにはもうじき、中華まんが来る。
余計なものは作らない方が良い。
そう思いつつ歩き出すが、ゆっくり歩くのが精いっぱいだった。
「これじゃ、宿には行けないな」
「ラハイテスのところで休ませてもらおう」
ダルガンイスト上部の町に行く体力が無いので、ラハイテスの宿舎を借りる。
離れが作ってある。そこに事実上トルテラ専用の部屋を作ってあった。
ストーンサークルのテントの中身を移してあった。
自分の体じゃないかと思うくらい体が言うことを聞かない
「だいじょうぶ?」
リナとアイスに肩を借りて、なんとかラハイテスの宿舎まで来る。
荒っぽい作りの小屋に、巨大なベッドがある。
ぼふっとベッドに倒れ込む。
誰かが尻尾を拭いてくれる。
尻尾はズルズル引きずって来たので泥だらけだった。
拭いてから部屋に入るべきだったが、体力的に厳しかった。
「あ、尻尾袋が無い。全部宿に持って行っちゃった」 ルルの声がした。
「この敷布使おうぜ!」 アイスの声だ。
「そんなこともあろうかと!」 リーディアの声だ。絶対変なポーズ取ってる。
「ええ?私部屋着持ってきてない」
「私も部屋着を持ってきていない。ずるい」
いや、部屋着要らなくないか?
「俺は凄く疲れてるんだ。ちょっと仮眠するだけだ」
そう言うと、
「うん。わかった」とテーラの声がする。
だが、尻尾に布を巻かれて、ベッドに女達が乗ってくる。
絶対わかってないだろ……
女たちが当然のように寝る。
俺は余計疲れる。
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あの(体だけは)タフなトルテラが、これだけ一気に消耗した。
竜の体を動かすには相当な負担があるのだろう。
すっかり白くなってしまったトルテラの髪を見て思う。
こんなことをしていては、ますます寿命が減るのではないか?
リーディアは、それが心配だった。
そして、既に良ポジションは陣取られた後だったので、場所取りに完全に出遅れたことを後悔した。




