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番外-5-3.ディーゼルエンジンにホワイトガソリン使う場面があると止めたくなる件

今期(2025/1~)の異世界ものアニメを見ていたところ、個人的に凄く気になるバグ的なものがありました。


個人的には、『フィクション作品は、作品の根幹に影響を与えない部分で少々のバグがあっても構わない』と思っています。

その作品は異世界ものなので、たいした問題ではありません。


そのように前置きした上での指摘になりますが、

ディーゼルエンジンにガソリンを使う場面があって、これが凄く気になりました。


これ、気になる人にはとても気になるものではないかと思います。


これ、気になる人にはとても気になるものではないかと思うのですが、そうでも無いのでしょうか?



セリフでは白灯油と言っているのですが、購入商品はホワイトガソリンなのです。

『だから何?』と思う人が多いかもしれません。


でも、これ、入れ間違えると凄く面倒なことになるのです。


いきなり爆発するわけではありませんが、ディーゼルエンジンはガソリンでは動きません。

運が悪いと壊れます。

壊れなくても、正しい燃料に入れ替えて動作するようにするためには、相当な労力が必要です。


これ、なおすのが凄く面倒なのです。



このアニメ、異世界に飛ばされた主人公が、元の世界の通販サイトを利用できるというものなのですが、重機を購入した際に、エンジンがディーゼルであることに気付きます。

そして、この作品の主人公はディーゼルエンジンにガソリンが使えないことを理解しているのですが、なぜか購入する商品はホワイトガソリンで、届く品にもホワイトガソリンと書いてあるので、見た目的にはホワイトガソリンで重機動かしていることになっています。

英語圏の人が見ると、思い切りWHITE GASOLINEと書かれた燃料に添加剤を加えて使っているように見えるはずです。


ただし、セリフではガソリンではなく白灯油と言ってます。

セリフ的には問題無いのですが、絵的には主人公はショップのサイトでホワイトガソリンという商品を選択して購入します。そして、実際に届いた品もホワイトガソリンです。


アニメをそのまま見ると、主人公がガソリンと灯油の区別がついていなくて、灯油のつもりでガソリン買っているように見えてしまいます。


ただし、絵を見ると燃料缶にWHITE GASOLINEと書かれているのに、日本語で白灯油と説明が書かれているので、作画した人がガソリンと灯油の区別がついていない人だった可能性が高い気もしますが、それじゃ重機動かんだろと思いました。


その差が物語に影響を与えるのかというと、そんなことは無く、たいした問題では無いのですが、あの絵を見ると、

『その燃料入れちゃいかーん!!!!』

と止めたい気持ちでいっぱいになってしまいます。


たぶん、同じように感じる人も居ると思います。

居ますよね???


現実世界でも燃料の入れ間違えというのはけっこうあります。


特に軽自動車に軽油というのはけっこう地味にトラップ感あるように感じます。

軽油と呼ばず、ディーゼル燃料と呼んだ方が良いように思います。


MSR Dragonfly(アウトドア用液燃ストーブ)の取説見ると、日本も含めて主要国全てでディーゼル燃料をディーゼルと呼んでいるような記載になっていますが、日本では一般的に軽油と呼ばれていると思います。

わざわざ取説に各国での油種の呼び名が書かれているのは、そういう用途での使用が想定されているからです。このストーブ持って行けば、世界中のあらゆる場所で手に入る燃料が使用可能です的な意味です。

車が走っている場所であれば、ガソリンかディーゼルが手に入るので、それを燃料として使用可能です。


================


ホワイトガソリンというのは、素のガソリンのことです。

元はこっちが本当のガソリンだと思うのですが、ガソリンは無色透明ですが、ガソリンエンジン用の燃料には色が付けられています。


自動車燃料用のガソリンはこんな感じで着色されています。

かなりはっきり見えるくらい赤く、紅茶くらいの色合いです。

キャンプ用語的には通称『赤ガス』と呼ばれています。

挿絵(By みてみん)


現在では、ガソリンと言えば、素の本物のガソリンのことでは無く、このガソリンエンジン用の燃料のことを指す場合が多く、素のガソリンの方をガソリンエンジン用の燃料と区別する意味でホワイトガソリンと呼んでいます。

ホワイトガソリンは、アウトドア用品用に限らず、洗浄用など幅広く使われています。

(昔はガソリンスタンドでも買えましたが、今はどうでしょうか)

洗浄後、しばらく放置しておけば、ほぼ完全に蒸発するので便利なのです。

※今は環境問題的な観点から、あまり自由に使えないかもしれません。


同様に軽油も無色透明の液体ですが、ガソリンスタンドで給油する軽油には色が付いています。

色で見分けがつくようになっています。

灯油も洗浄用に使いますが、なかなか蒸発しないので、個人的にはガソリンの方が使いやすく感じます。


色が付いていないものを白と呼ぶので、初めから色無しの灯油を白灯油と呼ぶのは変ですし、絵は思い切りホワイトガソリンなのです。


軽自動車に間違って軽油入れてしまうなんていう失敗もよくあるようですが、軽自動車はガソリンエンジンで、ガソリンエンジンは軽油ではまともに動きません。

逆にディーゼルエンジン車にガソリン入れても、まともに動きません。


アウトドア用の液燃ストーブの場合、ガスでもガソリンでも灯油でもディーゼル燃料でも燃やせますが、あれは点火タイミングの制御が不要だからです。


見た目的には灯油とホワイトガソリンは似ていますが、ピストンエンジン側から見ると性質がかなり異なるものです。


ピストンエンジンの場合は、点火タイミングの制御が必要です。

4ストロークエンジンの場合、1回転でピストンは2往復ですから、1分間に10000往復くらいしているわけで、点火タイミングはマイクロ秒単位(実際は回転角で制御することが多いと思うので、アナログ時代は時間で制御している感覚は無かったかもしれません)で正確に制御する必要があります。


ガソリンエンジンとディーゼルエンジンは燃料を燃やす仕組みに差があり、ガソリンエンジンをガスで動かしたり、ディーゼルエンジンをてんぷら油で動かすことはできても、ディーゼルでガソリンやガス、ガソリンエンジンで軽油やてんぷら油は使用できません。


ピストンエンジンの点火方式の観点からは、ガソリンとガスの間に壁は無く、ガソリンと軽油(灯油)の間には壁がある。


なので、ディーゼルエンジンにガソリン使おうとする場面を出されると、それはやめとけ……と思わずにはいられません。

物語の根幹に影響の無い些細なことだということは承知しているのですが、あの画面見ると、思わず爆釣されてしまいます。


ガソリンエンジンには点火プラグが付いており、点火プラグで点火のタイミングを決めています。

点火プラグで点火する前に勝手に発火すると困ります。

この発火しにくさがオクタン価という数字で表現されています。


ガソリンエンジンで使用可能な燃料は、発火点が高いものになります。

ガスも発火点が高いため、ガソリンエンジンで使用することが可能です。

実際ハイブリッド車が普及する前は、タクシーの燃料としてガスが使われていた時代があります。

燃料の混合器は変わりますが、エンジン自体は同じものが使いまわせるので改造にさほど大きな手間がかからなかったのです。

木炭車も、エンジンに供給される燃料はガスなので、ガソリンエンジンが流用可能でした。

(基本的な構造のガソリンエンジンは、ガスでも動かせるという話であって、現在の車に搭載されているガソリンエンジンを木炭ガスで動かすことができるという話ではありません)


ディーゼルエンジンは逆で、点火プラグがありません。

燃料を燃やすタイミングは、燃料をシリンダ内に噴射するタイミングで決めています。

ピストンで圧縮されて高温高圧になった空気に燃料を噴射すると、燃料自体が発火する。

ガソリンエンジンが点火プラグで点火するまで勝手に燃えられると困るのに対し、こちらは、点火プラグが無くとも勝手に燃えてくれないと困る。

点火プラグで火花を出さずとも燃えるような、発火しやすい燃料である必要があります。

オクタン価が高い燃料だと困るのです。


ガソリンはディーゼルエンジンでは発火しないのでエンジンは回りませんが、継ぎ足し給油する場合は軽油が残っている場合が多く、始動する場合が多い。

そのまま走り出すと壊れるそうです。

壊れなくても止まるでしょう(どっちにしろ、まともに動作しない)。


なので、ホワイトガソリンはやめとけ……と思ってしまいます。


検索するとこんな感じの記事が出てきます。


ガソリンを入れてしまった場合は、エンジンかけずに燃料を抜けと書いてあります。

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clicccar.comの記事へのリンク

ディーゼル車にガソリン入れちゃったらどうなるの【セルフ給油の基礎知識・2022年版】

著者山本晋也

<<https://clicccar.com/2022/05/17/723215/>>

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多くの人は気にしないのかもしれませんが、多少なりともピストンエンジンの仕組みを知っている人は、気になる部分のような気がします。


普通はディーゼルエンジン車にガソリン入れようとしたら止めると思います。


アニメではホワイトガソリンと書かれた燃料缶が出てくるので、そう思っただけなので、原作の表現がどうなっているのかは確認していませんし、物語の根幹に関わる部分ではないので、それによって面白さが変わるというほど大きな問題では無いのですが、割とショッキングな絵面です。


恐らく、多少なりとも知識のある人であればディーゼルエンジンにホワイトガソリン使おうとしている場面を見たら止めようとするはずなのです。


壊れるかどうかはわかりませんが、ガソリンでディーゼルエンジンは動かせないのではないかと思います。


ファンタジーにするなら、ガソリンでディーゼルエンジンを動かすファンタジーではなく、灯油が缶で売られているファンタジーにした方が良かったような気がします。

(たぶん、作画の方が間違っているのだと思いますが)


なお、白灯油は普通にAMAZONで売られています。

GASOLINEの文字をKEROSENEに変えるだけで、だいぶ安心して見られるようになります。



元から透明な灯油に白灯油があるのは個人的には妙な気がするのですが、アウトドア用品用が白という意味で白灯油という名前なのではないかと思います。

(実際に白灯油という謎の液体が売られています。もしかしたら、海外では灯油に色が付いているのかもしれません)


灯油とガソリンで互換性が無いというのはピストンエンジン固有の問題で、アウトドアストーブでもそうですが、どちらでも使える場合が多いです。

普通はガソリンより安全(不慮の事故で燃えにくい)で安価な灯油を使います。

※私は液燃ストーブはガソリンでしか使いませんが。


例えば、同じ内燃機関でも、ジェットエンジン(ガスタービンエンジン)は、高性能エンジンには専用燃料が必要とか言い出さなければ、まあ、理屈的にはガスでもガソリンでも灯油でも何でも行けそうな気がします。

液燃ストーブと同じで、点火タイミングの制御はさほど重要ではないからです。

燃焼室内で燃えてくれないと困りますが、燃えれば何でも良い。

灯油、軽油はもちろん、ガソリンでもガスでも行けるはずです。


調べたら、普通にガスで回してますね。

--------

Small homebuilt gas turbine engine

自作ガスタービンエンジン 静岡菊川発動機運転会20170226

重機TV

<<https://www.youtube.com/watch?v=GC_QDaZO2vQ>>

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