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プロローグ

 これは恋の物語。

 どこにでもある、ささやかな恋の物語。


 校庭に長い影が落ちた。

 いつもならまだ野球部やサッカー部の練習声が響く校庭も、今は閑散としている。

 部活動の活動休止が出されたのは先週の金曜日の話だ。全ての部活動が休止となるはずだったが、女子バレーボール部だけはその中で活動を許された。全国でも強豪校と云われるが所以の措置だという。

 そんな背景があり、閑散としている校庭にも時折体育館からコートに叩きつけられるボールの音が聞こえる。

 気づけば辺りは闇に包まれ、校庭に落ちた影もすっかり闇に溶け込んでいた。

 影の主は併設されている体育館の全体を観察する。その行動に特に意味はない。ただなんとなく手持ち無沙汰のために見ているだけにすぎない。

 今もまだ聞こえるボールの音を聞きながら、影の主は体育館にいる彼女の姿を思い浮かべる。選手として活動しているのではなくチームのマネージャーとして働く彼女。時計の針は9時を指そうとしていた。もうすぐ部活も終わる。試合形式の練習が終わるのを片隅で見守る彼女の姿が浮かんだ。片付けが終わり、帰り支度を済ませ体育館の照明が落とされるにはあと30分は掛かるだろう。

 影の主は体育館から目を離し校庭から姿を消していく。

 「またね、鶫ちゃん」

 独り言ではない、彼女に向かって発した言葉はもちろん届くはずもなく、そんな言葉もまた闇夜に溶けて消えていった。

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