単なる臆病者の詩
それが正しいかどうかを知る術は
生きてきた経験よりも
教えられた過去の記憶が
何よりも多く語るから
ずっとそれに委ねてきた
外に出て
「違う」と声高に否定された
それを言えば
「正しい」を教えてくれていたその人は
「当然でしょう」と冷たい声で私を叱った
見捨てられたような気がして
感じられていたはずの温もりが
急激に失われていった
いつだっていい子でいたはずだった
いつだって
いつだって
いつだって
外に出て
受け入れたくない事実を突きつけられて
目に見える差別に
目に見えない傷が増えていった
味方も
中立者も
いない
内側にこもっても聞こえる
否定の声
助けを求めたけれど
声も
手も
届かなかった
傷が増える
治りきってない傷が
また抉られる
深く
深く
深く
不意に届いた
陽溜まりのような暖かさ
くれたのは
少しでも分けて欲しいと思っていた人からではなかった
けれど
傷は痛くて
知っている世界は冷たくて
暖かさに惹かれて
違う外へと出れば
知っている世界はとても狭くて
目の前の光景に
戸惑って
足跡をつけるのが怖かった
だから
まだ
誰かの手を借りて
何時か 一人で
この世界に 足跡をつけられる日が来ることを
願って眠る