表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

単なる臆病者の詩

作者: 冥月 霜華

 それが正しいかどうかを知る術は

 生きてきた経験よりも

 教えられた過去の記憶が

 何よりも多く語るから

 ずっとそれに委ねてきた


 外に出て

「違う」と声高に否定された

 それを言えば

「正しい」を教えてくれていたその人は

「当然でしょう」と冷たい声で私を叱った


 見捨てられたような気がして

 感じられていたはずの温もりが

 急激に失われていった

 

 いつだっていい子でいたはずだった

 いつだって

 いつだって

 いつだって


 外に出て

 受け入れたくない事実を突きつけられて

 目に見える差別に

 目に見えない傷が増えていった


 味方も

 中立者も

 

 いない


 内側にこもっても聞こえる

 否定の声


 助けを求めたけれど

 声も

 手も

 届かなかった

 傷が増える

 治りきってない傷が

 また抉られる


 深く

 深く

 深く


 不意に届いた

 陽溜まりのような暖かさ

 くれたのは

 少しでも分けて欲しいと思っていた人からではなかった


 けれど

 傷は痛くて

 知っている世界は冷たくて

 

 暖かさに惹かれて

 違う外へと出れば

 知っている世界はとても狭くて


 目の前の光景に

 戸惑って

 足跡をつけるのが怖かった


 だから

 まだ

 誰かの手を借りて

 

 何時か 一人で

 この世界に 足跡をつけられる日が来ることを

 願って眠る

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ