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捕獲したのは

俺の仕事もほとんど終わり一休み。


他のみんなは夜明けとともに不審者を捕獲するようだ。


まぁ俺が治療して疲労も解消、体調万全となれば簡単に捕まえてくれるだろう。

そうでないと困ったもんだ。


朝方、夜明け前に半分ほどが出発した。

俺を含めてもう半分が後詰となるそうだ。

おぉ!俺にも仕事があったか!!

そう思ってみたが後詰って物は言いようだな。

疲労困憊の相手に俺が治療して顔を取り替えたばかりの某国民的ヒーロのごとく元気りんりんなメンバーを奇襲。

もう捕獲できたと言っても過言ではない!!



薄闇が少しずつ開けてくる。

俺たちも出発だ。




ガサガサガサ




わーわーわーわー

カン!ギャーーーー

わーわーわーわー



なんか派手に戦ってる音が聞こえてくる。




ザザザザザ



バサ!!


「うお!」


草陰から1人の男が飛び出してくる。

口元をマスクで隠してピッチリとした服装の変態。いや、忍者のような格好をした男?いや、女だ。

明らかに大きな胸がある。


ぎょっとした表情の女が俺に小刀を振りかざす。


とっさの出来事ではあるがこういうドッキリはマフユとサキでもうなれている。

下手に避けるより懐に飛び込む方が安全なのだ。

一瞬の驚きはあれど冷静に相手も胸元に飛び込む。


もふん


「うは!」


顔に心地よい感触が!!


「ひゃ!!あんっ」


ドサ


こけた。でも俺の顔にはしっかりとクッションがあったので痛みはない。

ちょっと呼吸はしにくいが問題はない。

変態女子との戦闘中?だということを思い出し起きようとするがどうもこけた時に葦か何かに絡まったようで起きれない。モゾモゾと動くと「ん、ん」と小さな吐息が聞こえて変な気分になる。


ようやく顔を上げた頃には顔を真っ赤にして気持ち良さそうにしてるマスク女。


「ふっ、ここで。見知らぬ敵に奪われるのですね。いいでしょう。あぁなんと!この、このために生きていたのですね!さぁさぁ早く!!」


うん変態だ!!

とりあえず女の持っていた小刀で絡みついた足を切り起きる。なぜががっかりした表情の女にドン引きしながらも簡単に捕まえれそうなので先ほど切った足を使って手を縛る。


「うへ。やっぱりそうなんですね。あなたに!初めてを!!森の中で唐突に現れる男性!!占い通り!!汚れ仕事を受けると運命の相手に出会える!!ふふふ、あの貴族みたいな占い師の言葉を信じて正解でしたね。」


背筋が泡立つ感覚に襲われつつもこの変態をどうしようかと悩む。

もうここに置き去りにしてもいいんじゃないだろうか??なんて思える。

一様口元を覆うマスクを取って顔を見る。くりっとした瞳にぷっくりと色っぽい唇、頬をピンク色に染めている様はすごく綺麗だ。ただそのブツブツと呟く変態思考と涎が不気味でならない。


「うへ。子供は3人ですか?あぁ私愛人でいいですから!うへ。体目当てなんてそそられる。」


あぁダメだ顔がいくらこれでも頭が腐ってる。

悪寒を感じつつこの女を連れて音の中心へと足を向ける。

徐々に争う音も収束し俺が現場に着く頃にはもう終わっていた。

森の中で少し開けて場所20人ほどの不審者が捕まっている。あたりには倒れた木に捲れた地面、真っ赤な血の跡もあることから激しい戦いがあったのがわかる。

そちこちで回復魔法を使っているのが見える。

外傷は俺の専門外なのでそれはまぁいい。まぁいいのだが、うちのお嬢様方はどこだろうか??


辺りを見回していると「アーーーー」っという大きな奇声とともにマフユが走ってくる。その後ろにはみんないるようだ。


「どこでそんな女の子拾ったの!!私というものがありながらそんな、そんな!!」


あぁここにも変態がいた。

「うへ、正妻に見つかる愛人。」後ろからも変態のつぶやきが聞こえる。


「さっきここにくる途中で見つけたんだけど切りかかってきたから捕まえたんだ。」


なぜかみんなジト目で見てくる。

なになに!どういうことだよ!!ほんとだよ!!

嘘はついていないので俺は何もやましくないというのにこうドキドキするのはなぜだろう?

後ろを向くと胸元がはだけて艶かしい格好をした美人が1人。

あぁこりゃいかん。


その後誤解を解くのに若干時間がかかったのは言うまでもない。

この変態が胸に顔を押し付けてきただの激しかっただの誤解を生む発言をしたのもいただけない。

サダさんが俺を見つけるまで冤罪裁判が行われてしまった。


「おう坊主、修羅場だな。うん。」


半笑いので話しかけてきたサダさんを睨みつける。


「あははは。まぁ無事で何よりだ。うん。」

「助けてくださいよ!!」

「あ〜まぁなんだ。夫婦喧嘩は家でやりな。うん。」


サダさんの意味のわからない言葉に皆顔を赤らめて黙り込む。

ちょっと嬉しそうだ。俺でいいのかと聞きたくなるがそれはまぁまた今度。


「うん?その坊主が捕まえてるやつはなんだ?うん。」

「え?あぁさっきここにくる途中でバッタリ遭遇して捕まえたんですよ。」

「ほう、よく捕まえれたな。そいつのせいで今まで逃げられてたってのに。うん。」

「へ?」


どういうことだ?そういえば今まで何度か交戦してサダさんクラスの化け物のせいで逃げられたとか言ってたな。

え?こいつがそうなの??


「うへ、運命の出会いに捕まった。」


背筋が凍る発言に皆ゾッとする。


「お、おう。そうか。じゃあそれは坊主に任せる。うん。どうやらそいつはただ雇われただけみたいだし、あっちの派手なおっさんだけで十分だしな。うん。おお!そうだ!今回の坊主の報酬ってことで連れて行け!!うん。それがいい。」


サダさんの突然の思いつきになぜか変態女が「そうだそうだ!私の体を貪るんだ!」と追従してる。

ちょ!これ厄介払いしたいだけなんじゃ!!

俺の悲痛な叫び虚しく他の兵も関わりたくないとばかりに無視してる。

うちのメンバーもすでに無視を決め込んでるようでさっさと帰ろうと言い始める始末。

これ置いてってもいいのだろうか??

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