暇つぶし
煮詰まったから空焚きだ!
ノリで書き進めるぞ!!
こういうのはノリと勢いにちがいない!!
領主邸で暮らすこと数日
逆子の治療も最初は居心地が悪そうに胎動を繰り返してまたひっくり返りそうな時間もあったが、今では子宮口に頭を固定させるように安定している。
ここまでくると正直俺がすることはほとんどない。
妊婦であるマナミさんもしんどそうにしていたのは仰向けに泣かされて血管が圧迫され続けたことによる下半身のむくみが原因だったし、今ではお腹の赤ちゃんの重みで腰をそらして歩くようになったことで起こる腰痛になってたのでそれの治療に変わっている。
会長さんの治療はまだ必要だが、帰る前に治療すればあとは生活習慣の問題になってくるので特に何かすることもない。
先日の『かんむし』の赤ちゃんも青筋が消えて調子も良さそうだ。
お母さんのが精神的に参っていたが、約束通り赤ちゃんの治療をしに行った時に自分も治療してほしいというので治療した。
精神的に不安定だったので心を安らかに整える『寧心安神』と言う作用のあるツボを使うことで治療した。
この作用は簡単に言うとストレス除去だと俺は思っている。
寒暖の差や乾燥、湿気などで鬱々とするストレス。引越しや学校・職場環境の変化によるストレスで起こる不安、怒り、恐怖などのストレス。
これらによって精神的に不安定になっている時に『寧心安神』の効果のあるツボを使うと気持ちが落ち着いて安眠できたり、食欲が通常に戻ったりする。
季節の変わり目や、年度終わりと始まりにはよく使うのがこの効果を持っているツボだ。
さっきから効果効果といっているのは、薬のようにツボにも似たような効果を持つものがあるので、体質や季節によって使うツボを変える必要があるためだ。
いくつか例をあげると、合谷・三陰交・内関と言うツボもこの効果を持っている。
この体質の人は。今の季節は。男性だから。女性だしこっちにしよう。女性でも生理中はこれ。
状況によって使うツボを変えるのでどれが効果が高いとは言い難い。
こんな話を鍼灸学校に通っていた時に聞いたことがある。
むか〜しむかし。不妊症で悩んでいる女性がなかなか子供ができないことでイライラしていたのでストレス緩和のために合谷と言うツボにお灸をしていました。三陰交と言うツボもストレスを和らげてくれる上に婦人科系疾患によく効くと聞いたし、不妊治療に使うとも聞いたことがあるので毎日この二つのツボにお灸をしていたそうです。
ある日鍼灸師の知人に不妊治療によく効くツボを聞いた時に今使っている合谷と三陰交のツボを話したところどちらも中国の戦国時代ではこのツボを使って避妊をしていたというじゃありませんか!!
妊娠希望者が避妊治療とか笑えない。
(不妊治療でも時期によってはこの二つのツボを使うことがあるのであながち嘘ではないよ。)
この女性は合谷と三陰交のおかげで規則正しい周期で生理が来るようになっていたので毎日のお灸をやめて半年後に妊娠したらしいが同じような効果のあるツボでも目的によって使い分けないと思っても見ない効果を発揮していることがあると言うことだ。
この話を聞いたアホな男子が彼女に三陰交を使って避妊していたが、ある日治療するのをを忘れて妊娠したと言う事件があったな。妊娠しやすい体を作っていたのだから治療を忘れたらすぐに妊娠するのも頷ける。
結局結婚して子供のためにバイトを増やした挙句、鍼灸の国家試験に落ちて鍼灸士になれなかったアホな男子がいた。
東洋医学に変に詳しい中二病を患ったおじさんと言うジョブについたらしいよ。リア充ざまぁ!!
っと失敬失敬。充実なんてしてないな。
閑話休題
とりあえず今いる街ですることはほとんどないのだ。
あとは帰る日まで滞在してればいい。今は暇つぶしをして過ごす毎日だ。とはいってもちゃんと体は鍛えてるよ?
今日も朝から特訓をしていたんだから。
今は冒険者ギルドで適当に依頼を受けながらこの街周辺の魔物を狩っている。
できればこの街のダンジョンに潜りたいところだが、毎日帰ってこないといけないので浅いところでうろうろするしかできないので街周辺の魔物退治の方がいい戦闘訓練になる。
にしても暇だ。やることねーーーー。
今日の分の依頼を達成したので街に帰りながら考えるあと2日何しよう。
ちなみに今日の依頼は近くの大根畑を荒らしているホーンラットという子犬サイズのハツカネズミにツノが生えた魔物の駆除だ。1匹見たら100匹のコロニーがあると言われるほど数の多い魔物だ。
強さはEランクとさほどでもないのだが、集団で襲われるとCランク冒険者でも重傷を負うと言われている。
なんでも食べるし回復力も高いので足がちぎれたぐらいだと二、三日もすれば生えてくるらしい。単体が弱い代わりに生命力がある上に歯がとてつもなく硬いので鉄だろうが鋼だろうがかじってしまうのでかなりの嫌われ者だ。唯一の救いは湿気を好んで年中薄暗いジメジメした場所を住処とするのでこの島での生息域は少ない。
この辺にはいない魔物のはずなのだがどういうわけかここ数日で何十匹と狩られるようになった魔物だ。
環境適応の進化したのかそれとも生息域を追われて住処をうつしたのか。時たま増えすぎると外に住処を探しにでるコロニーもないわけではないがどうにもおかしいような?
街の近くまでつくと小汚い人影が街の城壁と近くの岩陰を行ったり来たりしている。
なんだあれ?まだ夕方まで時間があるしちょっと見にいってみようなんて思っているとサツキが「こないだお茶屋さんにいた人じゃない?」なんていう。
もう釈放されたのか?日本だったらありえないだろうけど冒険者が売りのこの国だと釈放も早いのだろうか??
てかよくこの距離で顔の判断できるな!!
「何してんだろ?行ったり来たりしてるけど怪しいな。」
「うーん。何か持ってるようだけど……なんだろう??」
「悪いことしてるの!!絶対そうなの!!」
アカリさん決めつけは良くないよ?俺も思ったけど。
「ちょっと見てくる〜♪」
マフユが飛び出していく。
お!おぅ、なんかたのしそうだな。
でもいい暇つぶしができたかもしれん。探偵気分でちょっとワクワクする。
「……あれ。」
ん?普段無口なイクミが俺の腕を引いて城壁の方を指差す。
「あ!!ネズミーー!!!」
サキが耳元で大声で叫ぶ。
こいつ!まぁいいいつものことだ。
「どこ?どこどこ?あ!」
手のひらサイズのホーンラットが城壁をガジガジかじっている。
あかんやつや!これあかんやつや!!
よく見ると城壁の何箇所に同じように城壁をかじってるホーンラットがいる。うち一箇所はさっき小汚い人改こないだの冒険者が行ったり来たりしていた場所だ。
期せずしてアカリの予想が当たったようだな。多分この魔物を使って壁に穴を開けたいんだろう。でもなんのために??
わからんが最近ホーンラットが多いのはあいつらのせいだったんだな。うん間違いない!!
まずはあの冒険者を捕まえるべきかそれとも衛兵に、いやでもあんだけ露骨にやってて捕まらんのは衛兵の中に……
何が目的なんだ?誰がやらしてんだ?
色々思うとこはあるがまず捕まえてからネズミ退治かな。




