冒険者登録
仮とはいえ冒険者に登録をされてからは学校に通うことがなくなった。
特例措置を受けたせいで学校に居づらくなってしまったためという建前のもと装備品を狙った人間が俺たちを襲って来る可能性があるとのことで隔離されたという方が正しい。
それに俺たちはダンジョン内で鍛えられたので他の子供との力量差が離れすぎてちょっとした訓練ですら相手に怪我を負わせる可能性があるとなれば隔離されても仕方ないだろう。
そういえば俺も新しいスキルを手にいれた。10個目となる最後のスキルなのだが、思考加速とかいうスキルだ。ダンジョン内で度々ゆっくり時間が進んでたのはこのスキルのおかげなんだろう。ただ思考を加速したところで賢くなったわけでも早く動けるわけでもない。正確にいうと認識が早くなるのでコンマ数秒早く動けるのかもしれないが段だけ役に立つのかいまいちわからん。
俺たちは10歳になるまでは灰蝙蝠の監視下でカヤ先生から勉強を教えてもらうということになるそうだ。
ドロップ品をみんなで分けて売却処分も終わって少し町が賑やかになった。ダンジョンで入手できる物がどういったものかわかって活気に満ちているようだった。おそらく高価なものがドロップするんだろうな。
訓練をしつつ日常生活を送るがダンジョン内ほどの訓練はなかなかできない。正直仮登録時にテストをしたが俺ですらCランク以上は確定しているので特にすることもない。
何度か俺たちの装備を狙ったものたちが襲って来たことがあるが俺以外は簡単に返り討ちにしたようだ。
俺?いや〜まぁ結構善戦はしたんだけどアカリが現れてパパッと退治しちゃったんだよね……
いや多分あのまま戦ってたら俺も勝てたんだよ?
1対4ってねぇ??10分は戦ってたしあと20分あったら倒せてたと思うよマジで!
俺はスキルレベル的に戦闘に使えそうなスキルは頭打ちしちゃってる感じなんだよね。
俺がこのレベルになったのはダンジョン内で命の危機に迫っていたから以外の何物でもないだろうな。
レベルが高くても技術がそれに伴うかどうかは違うのか、それともダンジョンの外に出たからなのかよくわからんが俺の戦闘技術が徐々に落ちて来ているような気がする。気のせいかな?みんなと訓練しててもどんどん負けるまでの時間が早くなってるんだ。不思議だ。
冒険者の歌詞登録をしているのでカヤ先生同伴でならダンジョン内に入る許可をもらっている。
何度か入って見たが、浅い階層はさほど脅威となる魔物はいないようだ。新しくなってからのダンジョンは上に向かう階層がなくなってしまったようだ。今の所確認している魔物はゴブリン、ソルティードック、ゴブリンイーター、オークが出てきているそうだ。たまにスパイストレントやメープルアント、オーガなんてのも出てくると聞いている。
この世界日本語を使ってる割に魔物の名前はカタカナばっかだなと思っていたのだが日本語を使った名前もちゃんとあるそうだ。先生曰くこの国の中だけでも3つ、外の国も含めると8つは言葉があると教えてくれた。
まだまだ学んでないこともあったんだと思うこともあるが、やはりこの世界は前世ほど学ぶ教科は少ないし科学もそんなに発展しているように思えない。ほとんど魔法がどうの氣がどうので片付けてしまってなかなか研究する人が現れないんだそうだ。俺が知ってる内容を少し話すだけで国家機密になるとかなんとか慌ててる先生と意味のわからない尊敬の眼差しを受けたことが何度かある。現代知識チートってすげぇ!!なんて思ったけど鍼灸以外に関して特に役立ちそうな知識がないので中途半端にもてはやされるだけだろう。
年々学ぶことがなくなり戦闘訓練も伸び悩む長い長い時間を過ごしやっと10歳になった。
今日はみんなと一緒に正式な冒険者登録を済ませてクエストを受ける予定だ。この5年でサダさんたち灰蝙蝠のみんなから冒険者の心得を学んだためにその辺の冒険者には銘苅ことはないだろう。俺でBランク他のみんなはAランクの冒険者になった。これは技術より装備の強さがおかしいので装備を引いたランクは一つ下に考えてもらったほうがいい。
魔鋼ってそれだけで普通の武器では歯が立たないのに俺たちのは聖金属まで使ってる所謂神話に出てくる装備にちかい代物になってしまっているのだからタチが悪い。
サダさんも脱出してすぐにSランク冒険者になったがそれも俺が自重せずに作ったネタ武器が強すぎるせいと教えてくれた。
国の宝剣は魔鋼を石を切るかのごとく切り裂くと言われているがサダさんの仕込み杖は豆腐のようにサクッと切ってしまうのだからシャレになっていない。何度か国に寄付して欲しいと頼まれたそうだが、突っぱねたのだといっていた。
サダさん以外のメンバーにも装備を作ろうかと聞いたこともあったがさすがに聖金属を使ったものは厄介ごとしか生まないと断られた。魔鋼を使った装備につては受け取ってもらえたからまぁいいか。装備品を渡してしばらくすると全員Aランクに上がっていた時は驚いたがそれも納得するほど魔鋼の装備はチートなのだろう。みんな装備を返そうとした時にはダンジョンの深い層には魔鋼をドロップする魔物がいた、といい加減な嘘を言ったらとりあえず納得してくれたので良しとしよう。
そういえば魔鋼を錬成できる人は珍しいというのを忘れて作ってしまったので何度か国の専属錬金術師にならないかと勧誘されたのだが、その時にはすでに冒険者の仮登録を済ませていたので強制的に連れて行かれることはなかった。
冒険者ギルドと国との間でややこしいお話があったのかもしれないがギルドが全力で守ってくれた。そのあとに指名依頼としてギルドで保管してる魔鋼で剣を作って納めることになったがそれは仕方ないことだと割り切った。
弟子入りしたいとやってきた鍛治師や錬金術師が町に現れて俺を探していたのを何度か目撃するほどのおおごとになったのはいい思い出だな。結局俺のような子供が作ったとは誰も思わなかったらしく影武者には用がないと帰ってくれたので問題はない。
この5年はこんな感じで過ごしてきたが本登録した今からはダンジョンの進化に巻き込まれた子供組でパーティーを組んで冒険者をすることになる。錬金術師のスキルがない以上家を継ぐことは難しいので特に問題はないが家を離れるのはちょっと寂しい。
ん?この町にいる間は実家に住めばいいって?
俺だってできるならそうしたいのだが冒険者はどこの国にも属さないというルールというか法?があるので国民と同居することを基本的に許してくれないそうだ。家を持つことは拠点ということなので歓迎してくれるのだが、実家に寝泊まりするのは許してくれないのだ。冒険者の管理と実家に住んで国にお金を落とさないのが問題とされての法律だそうだ。
国民では無くなったのだから宿に泊まるか家を買って維持費を国に払えという理由なのだというのがわかるが10歳になってすぐに家を追い出されるような形なのは俺たちぐらいだと思う。学校に在学中は実家に住んでてもあまりヤイヤイ言うことはなかったはずなのだがさすがに仮登録と言うイレギュラーで五年も冒険者と同様の仕事をしていた俺たちは実家に住むことは許されなかった。
仕方がないので全員初心者冒険者用の宿に泊まろうと思っていたのだが、Aランクパーティーと化した俺たちは初心者用の宿には泊まれないと断られてしまった。
仕方ないので灰蝙蝠と同じ高級宿に泊まることにしたが居心地の悪さったらないな。
いや別に宿の批判をしてるわけではないんだが、子供が高級宿に泊まるってのがね?どこのボンボンだよ的な眼が痛いっていうかなんというか。ほら!!ね??




