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セーフルーム

揺れも収まり数分が立ったところで壁の一部が崩れ落ちた。

どうやら一旦移動は終わったみたいだ。


崩れた壁の向こうにはハニービーという甘い蜜を腹の中に溜め込んでる魔物とオークが戦っていた。この世界でオークは食肉でもある。普通のオークはスーパーで安売りしてる豚肉のようなものだが食べれることにはかわりない。繁殖力が高く、ゴブリンのメスをさらって来て子供を産ませることもあるそうだ。ゴブリンの次に繁殖力の高い魔物だと言われている。ごく稀に人間をさらうこともあるが、基本的にはしない。魔物図鑑にはオークの美的感覚の好みはゴブリンだと書かれている。

よっぽど切羽詰まった群れでない限り人間をさらうことがないのでゴブリンを刈り尽くさない限りは危険度は少ないと言える。


ちなみに昨年発表された学者の見解ではゴブリンのメスは2週間ほどで子供を産み、オークのメスは4週間ほどかかるのでこれが原因でゴブリンのメスをさらって繁殖しているのではと考察されていた。

そして人間は約一年も明るので妊娠してから出産までの期間が長すぎるのでさらうことが少ないと考えられる。

いくら欲求に忠実な魔物でも同種を妊娠中の母体には本能的に乱暴できないようになっているのだそうだ。


今は食料に余裕がないのでサダさんが「ちょっと行って取ってくるからここにいろ。うん。」と行って飛び出して行った。

サダさんが飛び出してすぐみんなはソワソワとし始める。

一体どうしたのか聞いてみるとセーフルームで安心したらトイレに行きたくなったんだそうだ。

いくらセーフルームといえどトイレなんてない。

外でするのも危険だからセーフルーム内出するしかない。

もう我慢もギリギリだというみんなのためにセーフルームの端っこに簡易のトイレを錬丹術で作ることにした。

トイレといっても流れることはない。冒険者や狩人も野宿することがあり、トイレは匂いを放ってしまい野生の魔物や獣を集めてしまうことがあるので消臭用の道具というものがある。

砂出会ったり香水のようなふりかけるものであったり種類も様々だが、うちの店でも扱っているので当然俺も作ったこともあり、マジックバックにも入っているので消臭薬入りの砂を地面に2㎝ほどの厚みで撒いて木の板でその周りを囲うことでトイレとした。

見えないが音は聞こえてしまう。今はこれで我慢してもらうしかないだろう。


すぐにトイレを作ると順番に入っていく。

音のことがたまになかったのか順番待ちしている時も今か今かとトイレが開くのを待っている。

済ました人から音に気づいて出てくるときには顔は真っ赤になっている。

こればっかりはどうにもならんので文句は言わなかったが出てくるたびにみんな赤い顔で俺をチラチラと見ている。

我慢してくれてはいるが後で何か言われそうだ……


俺もトイレに行きたくなって来たのだが女性が優先で我慢も限界になって来たので俺とサツキは一緒にトイレに入ることになった。結果から言おう。男だと思ってたサツキは男ではなかったよ……

なんか視線が気になっていたらね。俺の方を見ながら「ムツキは男らしい(・・・・)ね!ちゃんとついてる。僕だって男らしい(・・・・)なんだけど……」なんてよくわからないことを言い始めた。男らしいのイントネーションがなんだかおかしい。

不思議に思いながらサツキの方を向くとあるはずのものがなかった。

なかったんだ!!

よくよく思い出しても着替えの時ももじもじしてるしたまに「きゃ!」とか女の子みたいな反応をする。5歳じゃ着替えで上半身が裸だろうが特に変わったこともない。

初対面の時だって「サツキだよ。男らしい(・・・・)んだよ?」と訳のわからない自己紹介をしていた。

これはいかん!とサツキが女の子であることを告げると「やっぱりそうなのか……薄々気づいてはいたんだけどね…はぁ、両親は男だっていうから自己紹介の時は『男らしい(・・・・)』っていうようにしてたんだ……やっぱり……でも…もごもごもご」

最後の方はよく聞こえなかったがどうやら最近自分は男じゃないのでは?と思い始めていたらしい。

漫画やアニメみたいに「自分は男だ!」と騒がれるよりはいいのかもしれないが……


「どうしたの?何か魔物でも出たの!!」


トイレで少し大きな声を出してしまったためにみんながトイレに入って来てしまった。

ズボンを下ろした状態の俺たちを凝視して顔を赤らめたみんなと先生。

なぜかみんな口角が上がってにやにやしている。


「「「「「きゃっ!」」」」」


小声で叫びながらも目線が離れない。よっぽどサツキの状態に驚いてしまったのだろう。

男と思っていたのに女の子なんだから。

目を丸くさせてこっちを見ている。すぐにズボンを履くと「あぁ…」とちょっと残念そうな声が聞こえる。

そんなにサツキが女の子だというのがショックだったのだろうか?みんなサツキが初恋(?)なんだろうか??

サツキが女の子であることがみんなにバレたので改めて説明する。

なぜかみんな「ぅえ!!」と驚いていたので「見てただろうが!!」とツッコミそうになった。

なんで驚くんだ?サツキが男だとまだ思い込んでたことか??まぁ驚くけど……

証拠を見た後に驚くことなのか???意味がわからん。


そんな事件があったがしばらくしてサダさんが帰って来た。

大量の食料を確保したようで、自分のマジックバックに入りきらないからと俺のに入れ直してもう一度回収して来た。

結構な量なので進化が終わるまで食いつなぐことはなんとかできそうだ。


疲れ切った顔をしているサダさんを鍼で治療している間にみんなには今取って来た食材でご飯を作ってもらう。

相当神経を張っていたのか身体中の筋肉が緊張してしまっている。

精神的にも疲労が溜まっているようで、いつもの『足三里』だけでは回復しきらないだろう。

今日は本格的に治療してあげよう!!


脈を見た限り氣の流れが悪いるようだ。ストレスが溜まっているだろうからその除去と疲労回復をするために『四関』を使うことにする。

四関は氣と血の流れを活性化してくれ、疲労の回復、ストレスの除去もしてくれる。

合谷と太衝というツボを同時に使う組み合わせのときに四関と言われ、よく使われるツボだ。

四関を鍼で刺してから、もう一度脈を確認して効果を確かめる。


よく効いているのかサダさんが寝息を立て始めた。

よっぽど疲れていたんだろう。緊張した筋肉も幾分か柔らかくなっている。

今日取れたドロップ品の中にスライムの皮膜というものがあった。

これは粘着質の皮膜で、破れた服を一時的にくっつけておいたり、乾燥させると片栗粉のような液体にとろみをつけることができる。

これを手に入れたときにはこっそり歓喜したものだ。

シールのようにペタッと張り付くし、食べ物としても消費されているぐらいだから皮膚に貼っても大丈夫!!

これで円皮鍼が作れるぞ!

置鍼(鍼を刺したまま一定時間安静にしておくこと)している間に作ってしまおう。

円皮鍼は見た目は押しピンのような形をした鍼だ。

細さは0.2㎜、長さは0.6㎜で頭のところが押しピンのようになっていて体内に入っていかないようになっている。

その鍼をシールで上から貼ると日常生活中も鍼の効果を得られるという優れものだ!!

この世界で使うと常に自然回復力が上がっていわゆる『リジェネ』の状態になると考えられる。

これはチートではないか??貼ってる間はずっと自然回復上昇がかかるとかやばいな!

早速スライムの皮膜と似非ステンレスを使って円皮鍼を作成する。

作った鍼をサダさんに試す前に自分の体に貼ってみる。


うん。痛くない。チクチクしない。違和感もない。

貼ったのは合谷というツボだが、氣の流れも良くなってるし、ツボの効果もきちんと出てる。

問題はなさそうだ。


筋肉の疲労を取るために『陽陵泉ようりょうせん』というツボに円皮鍼を貼る。

筋肉の問題には『筋会きんえ』という別名のある『陽陵泉』は効果覿面だろう。

貼り終えたら四関に刺していた鍼を抜く。抜いた鍼は錬丹術で鋳潰してマジックバックにポイだ。

治療も終わったところでご飯ができたようだ。

時間は多分夜の7時くらいだろうか?体内時間があっているのかはわからんがおそらく夕食を食べて今日は寝ることにする。

進化に巻き込まれた他の冒険者がセーフルームに入ってくるかもしれないし、その冒険者がいい人かどうかもわからないということで交代で見張りをすることにした。5歳の子供では大して見張りにならないだろうからまずはサダさんが今のうちに休んで深夜に見張りを頼むことになった。俺以外の子供たちはもう眠そうなので一緒に寝てもらう。

今から五時間ほどはカヤ先生と俺の2人で見張りだ。

ダンジョンの進化に巻き込まれてもう何日も経っているような錯覚を覚えるが実際はまだ半日ほどしか経っていないことを思い出しこれからどうなるのか不安を感じながら見張りをすることになるのだった。

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