進化は続く
初めて感想をいただきました!やったね!!
やる気が出てきました。
返信はするべきかどうか迷うのですが、返したり返さなかったりするのも悪いし……気分次第かな??
そろそろ一日二日休憩するつもりだったけどもうちょい頑張るぞ!!
ブックマークしてくれてる人も徐々に増えて書くのが楽しいです。
気長にお付き合いいただけると幸いです。 今回はこれで返信とさせてもらおうかな??
ダンジョンに閉じ込められて多分五時間ぐらいは経っている。
多分というのはダンジョンの中は時間感覚が狂うから仕方ない。
探索を始めて7回ほど先頭があったが、5回はサダさん1人で戦っていた。
1回はカヤ先生も参加し、もう1回はアカリ達も参加した。
7回目でようやく戦闘慣れて参加することができたのだ。
サダさんから戦い方を説明されながら今は休憩中だ。
みんなが戦えるようになってきたので連携を取る必要が出てきた。
むやみに攻撃して仲間同士で邪魔になってしまうことがないように打ち合わせだ。
役割を決めた時にどうしてしなかったのかと聞かれるだろうが、みんな不安と恐怖でそれどころではなかったのでとりあえず仕事をあたえてただけでサダさんは戦えるとは思っていなかった。
戦闘に参加し始めて少し驚いた顔をしていたが、戦う意思があるのならと打ち合わせすることにした。
前衛の3人に魔物との間合いの取り方や、人型・獣型の魔物の行動の特徴を教えながらダンジョン内特に味方が近くにいるときの武器の扱い方を細かく指導している。
指導中の今はカヤ先生が魔物がこないか機会している。いちよう俺もサダさんの話を聞きながら周りを警戒しているのだが、通路が増えたり減ったりしているのでどう警戒していいのか正直わからない。
ダンジョンの進化はまだ続いているのだ。進化中はあまり動くべきではないと俺は思っていたのだが、魔物のいないセーフルームに入らない限りいつ地面に穴が開くか、いつ魔物が襲ってくるかわからないので危険度は大差ないと言っていた。
進化中のダンジョンで助かる方法は脱出するかセーフルームで待機するのが常識なんだという。
セーフルームだけは進化中でも魔物がわかないし、穴が空いて他の場所に移動することはほとんどないのだ。
ただし、部屋ごと移動するので深層に部屋が言ってしまうと脱出が難しいのだとか。
それでも当面の安全は確保できるので今は移動と休憩を繰り返しつつセーフルームを探している。
食料に関しては襲ってきた魔物の中にソルティードックやホーンラビット、スパイストレントといった食材をドロップする魔物も混じっていていたので少しずつ回収するようにしている。
食材をドロップする魔物は積極的に倒すのが今の方針だ。おそらく進化が終わるまで外には出れないからな。
休憩も終わりまた探索を開始する。
何度目かの分かれ道がある少しひらけた空間にでると中央にキラキラと輝く宝箱が存在した。
どう見ても怪しいのだが、みんなちょっと嬉しそうだ。
飛びつきそうになっているサヤの首根っこを掴むサダさん。
「マフユ、罠の確認を。うん。」
「は〜い!私に任せる〜ん♪」
タッと後ろから飛び出して宝箱の前に飛び出すと注意深く周りを観察する。
普段のふざけた態度は全くなく、真剣そのものだ。
言動は正す気は無さそうだが、ここがダンジョン内であることは忘れていないようだ。
サヤとは違うな。
手早く調べた後「罠ないよ〜ん♪」と言いながら宝箱を開ける。
中から出てきたのはデキャンタだった。
中には水が入っていて俺の鑑定によると三時間で2ℓまで水が出るそうだ。
三時間経つごとに2ℓ入るデキャンタ内に水が貯まるらしい。
三時間ごとに入れ物を入れ替えておいた方がよさそうだな。
俺とサダさんのマジックバックに入ってる飲み物は限られた量しかなかったので、ちびちび少量ずつ分け合っていたのだがこれで飲み水の心配はあまりしなくても良さそうでちょっと安心する。
デキャンタの水を入れ替えて空にしてから時間経過する方のマジックバックにしまうと先ほどの宝箱が霧となって消えた。
「へぇ〜宝箱って中身とったら消えるのか。」
「普通は消えずに残るな。うん。宝石なんかが散りばめてある宝箱なら持って帰ってくることもあるくらいだ。うん。」
「?じゃあ今消えたのは進化の影響???」
「だろうな。うん。もしかしたらさっき開けたなかったら開ける前に消えていたかもしれん。うん。」
うはっ!ギリギリだったのね。
運がいい!と思いたいが今の状況は運が悪いし……なんだこれ?
悪いことがあるといいことがあるってやつだろうか??
所謂悪運が強いってことだろうか?
そうこう考えてるとさっきまであった道が閉じてしまった。
「え!閉じ込められた?」
そういった途端に天井に穴が空き、ボトボトと何かが落ちてきた。
緑の表皮に醜い顔のような模様が頭についており、1m近い大きさでゴブリンが仲間を呼ぶときに発する声をギィギィと喚く芋虫『ゴブリンイーター』だ。
ダンジョン外でならゴブリンを食べてくれる益虫なのだが、ダンジョン内では大量のゴブリンを呼び集めてしまう恐ろしい魔物。ドロップする鮮やかな緑色の絹糸は女性に人気の代物だ。
1、2、3、4……四匹も出てきやがった。
「「「「ぎぃ…ギィギィ!!ギィ〜〜」」」」
ドドドド……ドゴゥ…ドドドドドド!!!
ぎゃぎゃぎゃ!がぎゃ!がぎゅがぎが、ぎゃぎぃ〜〜
「ゴブリンが集まってくるぞ!!うん。」
サダさんが焦ってる。いつもの余裕のある表情が今は額に汗を滲ませてゴブリンイーターに杖に仕込んでる剣を抜いて切りかかっている。
あの仕込み杖は俺が遊び半分で作った魔法使いと剣士を兼任できるネタ武器だったんだが、サダさんが気に入ってしまったので譲ったのだ。ちなみに槍としても使えるように杖の先に刃も仕込んでいて杖に氣を流すと先っぽから飛び出す仕掛けにしてある。
見た目が不恰好で正直ダサイのだが実用性はあるとかなんとかいって使ってくれている。
ゴブリンイーター自体はゴブリン以外に攻撃してくることは滅多にないので瞬く間に光る粒子となって絹糸を残す。
俺はその糸をすぐに自分のマジックバックにしまう。
怒号と共に壁の破壊音が近づいてくる。
ドゴン!!
ぎゃぎゃ〜!!
バギ!
ぐぎゃ〜
とてつもない大群が近づいてくるのがわかるが逃げ場がない。天井に開いた穴の向こうからはどうやら音が聞こえないので上から来る可能性は低いが油断はできない。
ビシィ!
壁にヒビが入る。ヒビの入っている壁の反対側に集まりゴブリンを待ち構えていると不意に後ろの壁が薄くなるのを感じた。
やば!後ろかよ!!
パキ!ガシャ!パラパラ……
後ろの壁が崩れると10畳ほどの空間が現れた。
ちょうど真ん中にオベリスクのような柱が立っている。
「え??」
どうやらゴブリンはいないようだ。
心臓に悪いって!!
「セーフルームか!うん。中に入れ!!うん。」
サダさんがそう言いながら前衛の3人を部屋に放り投げて自分も部屋に飛び込む。
カヤ先生も後衛の2人と一緒に飛び込み、俺もそのあとに続く。
とっさに飛び込んだためにサダさん以外の面々は地面に転がっている。
俺も飛び込んだために誰かにぶつかってしまった。
ぶつかった割に不思議と痛くない。
「ひゃ!」
顔を上げると目の前に先生のお尻が……
だから痛くなかったのか!…ゾクッ!!
は!寒気が!!!ゴブリンか!?
後ろを振り返るがまだ壁は破れていない。ガンガンと壁を殴るような音はまだ継続中で壁に入っている日々も先ほどの倍近く広がっている。
今の寒気は一体???
そう思いながら立ち上がると先生とサダさん以外の目が暗いのに気がつく。
よっぽど怖かったんだろうな。
「みんな怪我はない?」
「「「「「……別に。」」」」」
「よかったぁ。」
ガシャ〜ン!!ガラガラガラ
ぎゃぎゃぎゃ!グギャギャ!ギギギギ、ギャギャゴギャ!ギョギャググ!!!
壁の破壊音と共に何十何百というゴブリンがさっきまでいた空間になだれ込む。
一気にゴブリンだらけになった空間に寒気がするが不思議とこの部屋には入ってこない。
俺たちの存在もわからないようでキョロキョロと辺りを見回しながら喚き散らしている。
「こっち見えてない??」
「セーフルームだからな。うん。なぜかこの柱のある部屋の中は魔物どもは無視するみたいだ。うん。魔物に追われながら入っても見えない壁にぶつかったみたいに弾かれちまう。うん。ただこの柱を壊しちまうと魔物も入って来ちまうから壊すんじゃねぇぞ、サヤ!うん」
サダさんはそう言いながら興味深く柱を見て剣を柱に向かって振り上げるサヤの首根っこを掴んで遠ざける。
ヤベェ!サヤ何すんだ!
「あわわ!くるじぃ〜ら〜。ムツキ〜助けるら〜。」
ら〜ら〜言ってるから結構余裕あるな。最近アカリの「○○の」が可愛く見えるのかサヤも真似して語尾に「ら〜」をつけるようになった。余裕のあるときにしかつけないからまだ口癖にはなっていないんだろう。
「さぁちゃんが悪いんだぞ〜うりうり〜。」
マフユがサヤのほっぺをつつきながら注意してる。さっきまでの緊張が嘘のようになくなってるだと!!
さすがに楽観的すぎないか?
そう思いみんなを見回すがカヤ先生が顔を真っ赤にして何かつぶやいてる以外はみんな緊張をといて休憩している。
本能的に安全だと思ってるのだろう。
「お尻…ムツ……結婚し……でも………生徒と………ブツブツブツブツ………」
よく聞こえないが何言ってんだろ?ゴブリンにトラウマでもあったのだろうか??
ガタン!ゴゴゴゴ………
さっき壊れた壁が修復してセーフルームが揺れる。
どうやらどこかに移動するようだ。
みんな地面にへたり込んで揺れが収まるのを待ちながらもさっきまでの緊張感はなくなっているようだ。
進化が終わるまでは極力この部屋から出ずにこもって過ごすのだろう。
水はいいとして食料は足りるだろうか??