賢い息子
本日二度目の投稿です。
錬丹術はなかったかもと今更思っています。
私には息子が一人いる。
ムツキだ。
この子はすごく頭がいい。乳ばなれがなかなかできない甘えん坊だがな(笑)
1歳にたった頃にはとぎれとぎて単語の会話ができるようになり。
一歳半になればほとんどの言葉がわかるようであった。
そしてステータスカードを幼児期にして取り出す才能!!
祝福の儀では本来3つあるスキルが得体の知れない固有スキル一つしかなく落胆してしまったが1歳と半年でステータスカードを出す才能!!
しかも儀式ではなかったスキルの発現。
エリは自分のおっぱいのおかげだとかいうが、普通に考えてあのレベルは説明つかない。
本能的に氣と魔力を理解して使っているに違いない。
あの時あんなに落胆した俺たち夫婦のために本能で努力したんだ。
こんなことを言うと親ばかだと言われるから心のうちで止めておく。
本当に賢いあの子だ、多少甘えん坊で乳ばなれが遅くても仕方がないのだろう。
そして今日固有スキルについて説明を見ようとムツキに聞いてみた。
なぜか見せたがらない。一体どういうことだ?
10分ほどごねていたが渋々見せてくれる。
鍼?灸?なんだそれは??施術というくらいだから何かするのだろう。治療?
氣に対する才能があるのか。
な!!!基礎魔法しか使えないだと!!
あぁ、これを隠していたのか……本当に聡い子だ。
「基礎だけでもできることがある。練金も調薬も難しい魔法を使うものだけではない。基礎魔法だけでできるものもある。」
必死に傷つけない言葉を選ぶ。
あぁこんなに親思いな子はこの世にいるのだろうか?
たとえ基礎しか使えなくてもできることはすべてしてあげよう!そう心に誓う。
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あれから1年半か?
ムツキが魔法の特訓をし始めた。
基礎魔法を特訓し始めるのは4歳ぐらいか平均だがこの子は少し早い。
さすがムツキだ。
『ライト』で一ヶ月、『ショック』で二ヶ月、『エンチャント』は半年くらいで習得できるだろう。
そしたら俺の練金術をムツキにできる範囲ですべて教えてやろう。魔力なしでも錬金術で食ってる奴もいる。
少なくとも魔力は持っているのだ、生活するぐらいにまではなるだろう。
なんということだ!!
たった二日で基礎魔法を習得してしまった!!
やはりこの子は賢すぎる!!その反動なのだろうか、これほどエリに甘えているのは??
いつも胸に顔を埋めようとするのは一種の病気なのかもしれない。大人になるのが心配だ。
いやそれよりも錬金術を教えよう。
こんなに早くこの日が来ようとは……本来なら早くて7歳くらいで学ぶことが多いのだが。
この子は賢いから悪用はすまい。二日で基礎魔法も取得した麒麟児なんだから危険もそうはあるまい。
簡単な練金術なら2年も練習すればスキルとして覚えるかもしれん。
師匠から物覚えが良いと言われた俺で2年半だからこの子はもっと早い2年でスキルを得るはずだ。
錬金術の基礎の本は昨日渡して読ませているから錬成陣の説明だ。
複雑な錬成陣の内容は10歳になる頃に教えれば良いとして、使い方を説明した。
一度で説明を理解したところを見ると昨日渡した本はもう読んで頭に入っているのだろう。
ムツキが錬成陣の前に立ち練金を始める。緊張しているのか額から玉のような汗を流しているようだ。
手をかざし錬成陣が輝き始める。次第に光が強くなり真剣な表情で錬金術を扱うムツキ。
まぁ初めてのことだから失敗してもしょうがない。
なんて声をかけてやろうか?
「明日は成功する」「父さんも初めはできなかった」「この歳で錬金術の修行をはじめるだけですごいんだ」
どの言葉がいいのだろう?
もう30分は経っただろうか?よく集中できている。
この歳でここまで集中できるとは!?5分程度で諦めると思っていた俺はバカだ!!
頑張れ!お前ならこのままいいとこまで行ける!?
光が収まり丸い玉が二つ現れる。
何!?ガラス!?砂からガラスを作ったのか!それに鉄の玉!?
ただ分けるだけでも一年は修行が必要なのに!!小さな鉄塊を作るにはさらに修行が!
しかもこの子はあろうことかまん丸の綺麗な球状に加工までしている!?
それでも飽き足らず砂からガラスを作りこれまた気泡のないガラス玉だ!?
これはどういうことだ??俺でさえつい半年前にやっとガラスに気泡のない加工ができるようになったというのに……
「……おぉ、たった一度」
たった一度で俺を抜き去った。
天才……麒麟児か??
こんなことが貴族に、王族に知れたら厄介だ!
ムツキがステータスカードを調べている。
錬金術のスキルはなく錬丹術なんてスキルがある。
なんだこれは??
「ムツキそれは?」
思わず問いかける。
「ここここ……すぅー、はぁー、この錬丹術は錬金術と調薬を足した感じなんだけど、魔力じゃなくて氣を使ってるんだって!!」
ムツキの慌てた声も今はどうでもいい。
「そうなのか。氣による錬金術か…固有のスキル錬丹術。そんなスキルが…見たところ錬金術より断然優れているではないか。」
小さく呟く。
なんということだ。今まで錬金術とは一体何なのだ??
得体の知れない嫉妬と息子の才能への喜びで心のうちが乱される。
この子の才能は悪用されてしまうやもしれん。絶対に隠し通さなければ。
「ムツキこの錬丹術は誰にも言ってはいけないよ。」
この子のことだから分かっているとは思うが忠告はしておこう。




