特訓3
雷の威力にビビりながら特訓を成功させるために考える。
小一時間あ〜でもない、こ〜でもないと考えた結果出た結論。
今朝考えた第一案を応用すること。
込める物の体から一番遠いところに細い糸状にした魔力のついた魔力の塊を置いて、氣で外にもれないように囲う。
(細い糸状にした魔力も氣でコーティングしている。)
そして魔力の塊を雷に変化させると『エンチャント』の完成だ。
ここで重要なのが魔力の糸を伝って雷が自分に流れてこないようにすることだ。この工夫を思いつくのが大変だった。
氣の防御作用を意図的に作動させることを思いついたのだが半信半疑には思いながら試すことにした。雷は体にとって悪いものだと思い込むことで糸がつながる手からの侵入を弾くのだ。
これの確認にはもともとの第一案で防御できるか実験をした。手にのみ気で覆う膜をはり、糸つき魔力を放出、念のため変化前に防御作用を使う。変化させてみると糸から伝ってくる雷は弾くことができた。
次に糸も氣で覆い同様のことをするとこれも成功。
最後に魔力の塊にも氣で覆うコーティングをしてまたまた成功する。何度か実感を繰り返し、安全性を確認しているうちに気づいたのだが、氣で覆うと1分以内に変化させなくても雷に変化させることが可能だった。
どうやら氣で覆うと体内という判定になるようで放出した魔力を時間制限なしに操れる。コーティング糸なしでも使えるのでは?と思ったがそれはできなかった。
糸でつながっているのが体内判定になっているみたい。
この方法を使えば似非初級魔法も使えるのでそれも嬉しい。本来の基礎は体に触れている魔力を属性に対応したものに変えるだけなのだからこんな抜け道があるなんて!!
欠点は氣の感知範囲である約10メートルほどしか氣で覆った魔力を操れないということ。それより外に出ると氣が霧散してしまった。
魔法が使えるのだからもう何も言うまい。
この一連の工程は普通の魔法よりも複雑なので時間がかかってしまう。
素早くこの工程を完成させる練習をこれからしていかなければならない。
この特訓が将来どれくらい役に立つのかわからないが、毎日練習していこう!!
魔力と氣のコラボができるなら元の世界の鍼灸にもこれを応用できるんじゃないだろうか?
こちらも模索していこう。夕方まで練習あるのみ!!
夕方となり両親の仕事もひと段落し、一緒にお店と工房の掃除。次の特訓が待っている。
次の特訓は錬金術だ!!『エンチャント』を成功させたことで教えてもらうことができるようになった。
なぜ調薬からじゃなく錬金術からかって?
せっかくの鍼灸術でも鍼も灸もないのでろくに使えない。
ということで鍼を確保するために錬金術で作ってしまおうという作戦だ。
錬金術は雷属性か土属性の基礎魔法を利用して物の組成を組み替える。
雷・土属性の魔石を使ったのと、雷・土の魔力を持っている人では練金術の精度・強度が全然違うのだとか。
ということはもともと雷属性の俺にとっては有利!!
錬成魔法陣と呼ばれる錬金術を使うときの補助をする魔法陣の力を借り、雷や土の属性に変えた魔力を練金術を施す対象に込めてイメージにより組成を変えたり、形を変えたりするそうだ。一度でも成功すると『練金術』というスキルが手に入る。ちなみに錬成魔法陣と呼ぶ人はほとんどおらず、錬成陣と呼ぶ人が大半だ。
複雑な練金術となると中級魔法を使える腕前が必要と言われているが、個人的には必要ないんじゃないかと考えている。中級魔法を使うのに必要な複雑なイメージが錬金術にも必要だから中級以上でないと使えないと言ってるのでは?と思う。
仕事終わりの工房で父さんと錬金術の特訓を始める。夕飯までの一時間で一度でも成功すれば一人でする練習用に錬成陣のスクロールをつくってくれる約束なのだ。
初心者がはじめにやる錬金術は砂の中にある砂鉄を集め、鉄の塊にすることだ。
実はこれには一発で成功する自信がある。
なぜかって?雷属性なんだから鉄に磁力をもたせてくっつけてしまえば集めるのは簡単。そこから鉄の塊にすることが雷属性持ちにとって難しいらしいが熱してしまえば一つに固まるのだ。
雷で熱を帯びさせるのも一つの手だが、時間がかかる。ここは氣の性質を変え『火の氣』の特性で鉄を熱してしまえばすぐに鉄塊も作ることができる。
え?ずるい?そんなことはない。氣を使っちゃいけないとは言われていない!!
さぁ実際にやってみよう!!




