ようやく
子供の時間感覚というのはものすごく長い。
ほんとーーーーーに長い。
とてつもなく長い。
やることがあれば結構早く感じるが、大して上がることのないスキル上げは辛い。
やっとこさ3歳になった。
もう完全に乳ばなれはしてるよ?母さんの都合だってあるしね?
体感はもう5〜6年ぐらい経ってんじゃね??というぐらい経っている。
もう毎日まだかまだかと疲れて仕方がない。
スキル上げに書斎で読書。両親の仕事場で技術を盗むために必死に覗く。
やることは多いが全く時間が進んでる気がしない。
この疲れた心と体を癒してくれるのはお風呂だ。
うちは錬金術を生業としているが薬も売ってる。
練金の必要な薬も中にはあるので効率を考えればうちのような営業形態もありだと思っている。
それはともかく、薬を扱う関係上、衛生面の問題がある。
この世界でも綺麗なお店、清潔な人から薬を買いたいと思うのは人の常だ。
綺麗にしていないと薬が変質して劣化してしまう。劣化程度ならまだいいが、時と場合によってはお腹を下してしまって効果もない何てこともある。小汚い薬屋で安い回復役を買った冒険者が時たまそんな状態になっているらしい。
この町はまだ新しい建物が多いので薬を買いに来る冒険者がお店の清潔さと比較する笑い話をしていくのだ。
そこで薬を扱う我が家は清潔に保つために毎日掃除・洗濯・お風呂は欠かさない。
この世界ではお風呂は高級品だし、洗濯だって毎日している家は魔法が使える人がいる家か裕福かだという。
高位の水魔法使いが水道設備をしているがそれだってダンジョンのある町にしかない設備だ。
水道局員はかなりの高給取りだそうだ。話が逸れた。
最近ではダンジョン産の道具や、魔力もちモンスターからたまに取れる魔石を使った魔道具が徐々に普及してきているので少しずつ浸透し始めているみたいだが毎日となると珍しい。
日本人としてはやはりお風呂は癒しのひと時となる。
今日も疲れた体を休めるべくお風呂に入る。
明日からはやっと「魔法を使う注意点」などを教えてくれる!!
服を脱ぎお風呂場に入る。
お風呂の温度は40度だろうか。
掛け湯をしてから頭を洗い、体も洗う。
さて湯船につかろう。足先からゆっくりと入り浴槽に両足がつく。
淡い桃色に色づく背もたれにゆっくりともたれかかる。
「フゥ」
柔らかく包まれる感覚に息が漏れる。
「ふふふ、もう!お父さんの真似でもしてるのかしら??」
俺の体を優しく包む。
そう、これこそ至福のひと時!!!
「明日からちゃんと魔法教えてよ!!」
後ろを振り向き抱きつく。あぁなんという……この体で良かったのやら悪かったのやら。
「はいはい、一緒に勉強しましょうね。」
満面の笑みで答える母さんに少しの罪悪感を覚えながら明日の活力を補うため、上気した双丘に顔を埋める。




