初代・勇者の冒険
昔々、魔界にデスハザードという名のハゲ悪魔がいました。
そこに赤い悪魔が現れ、言いました。
「おいハゲ!早く人間界を支配せんか!」
「(お前もヅラだろが!)は、はいヘルハザード様っ!」
デスハザードは困りました。
「うーむ、楽して人間界を支配する方法は無いものか・・・」
彼の楽ばかり求める性格は、後に彼の作り出す、ある悪魔に受け継がれることになります。
「そうだ、悪魔を人間に変化させ、桃に詰めて送ってしまおう!」
誰も思いつかない発想です。
「人間どもは馬鹿ばかりだからな、罠とは知らずきっと拾って育てるだろう!フフフ」
桃から生まれた人間を育てる人間など、本当にいるのでしょうか・・・
所変わってある所に、太郎という名のおじいさんと、おばあさんが住んでいました。
ある日おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯していると、川上から何とおじいさんが!
「O G SAAAAAN!!!・・・何じゃ、見間違いか」
ひどい見間違いです。
川上から流れてきたのは、何と大きな桃でした。
「わしのもの!」
お婆さんは手を伸ばしましたが、届かず溺れてしまいました。
通りがかった村人に助けられ、桃を持って帰ったおばあさん。
おじいさんは何の疑いもなく、桃を切ろうとします。
おじいさんが桃を一刀両断すると、中には血まみれの子供がいました。
しかし気付かず、おじいさんは食べてしまいました。
「って、待てや!」
血まみれの子供は、おじいさんの肛門を破壊して出てきました。
おじいさんとおばあさんは、何と子供を育てることにしました。
子供は桃太郎と名付けられ、二人の愛のムチによって、礼儀正しい少年となりました。
その頃、巷は鬼が暴れまわる大航海時代。
いくつもの海賊が、鬼ヶ島を目指して旅立ちました。
ゴールド・タマタマという男も、その一人でした。
そんなどうでも良い奴のことはさておき。
桃太郎は鬼を退治すべく、旅に出ることにしました。
おばあさんにはきびだんごを貰いました。
「じいさん、ばあさん、行ってくる!」
「気を付けるんじゃよ・・・」
「・・・ああっ!」
桃太郎は今までの怨みを込めて二人を一刀両断し、出発しました。
「まずは仲間が欲しい所だ。強い者が良いな」
桃太郎はライオンを仲間にすべく、草原へと向かいました。
そこには退屈そうな馬がいました。
「おい貴様、この辺に寂しがりライオンがいると聞いたのだが・・・どこだ」
「ん?あっちにいるんじゃないの」
「ご苦労。さらばだ」
この馬はスポポビッチ。後にランディと呼ばれ、世界を救う天馬へと成長します。
「そろそろ参りましょう王子」
老犬に連れられ、スポポビッチは自分の国へと帰って行きました。
「(今の馬、人間語を喋って・・・いや、そんなことはどうでもいい)」
桃太郎は仲間のことしか頭にありませんでした。
そして遂に、吊り橋で寂しがりライオンを見付けました。
「ライオン・・・こ、怖っ」
桃太郎はライオンを仲間にすることを諦め、住宅地へと向かいました。
桃太郎は山田さんの家へ到着しました。
「ペス、こっち来い」
この家の飼い犬ペスは、昔から桃太郎によくなついていました。
「ペスよ、よく聞け。お前は今から『ウォルフ』と名乗れ」
ペスは混乱していましたが、桃太郎は勝手に縄をほどいて拉致してしまいました。
これが桃太郎と後の陸軍長・ウォルフの出逢いでした。
次に桃太郎は、ペットショップへと向かいました。
「強い動物はいるか?」
「お客様、それならばこれなどどうでしょう」
ケルベロスです。
「おぉ何と雄々しい。私のペス・・・いやウォルフと交換してくれないか?」
しかし断られ、桃太郎は諦めました。
ペス改めウォルフは涙目でした。
その晩桃太郎は、キジ肉を食そうと狩りに出かけます。
しかしキジハンターの武蔵に先を越されてしまいました。
「その肉は・・・私のものだッ!」
桃太郎は武蔵を一刀両断し、キジを手に入れました。
早速食べようとした桃太郎でしたが、助けられたと勘違いした憐れなキジは、桃太郎にとてもなついてしまいました。
桃太郎は仕方なく、キジを仲間としフィレバルドと名付けました。
桃太郎は山へと向かいます。
そこには金太郎と、熊がいました。
「おい貴様」
「ん?何だおめぇ」
「私のきびだんごと、お前の熊を交換しろ」
金太郎は桃太郎を一刀両断しました。
諦めた桃太郎は、考えます。
「朱雀と白虎は手に入れた・・・次は玄武(亀)だ」
何かが間違っていますが、桃太郎は海辺へと向かい、亀を見付けました。
「おい貴様、これを食え」
桃太郎は亀に無理矢理きびだんごを食べさせ、強引に仲間にしようとします。
そこにモリを持った少年がやって来て、桃太郎を追い払いました。
この少年は後に浦島太郎と呼ばれ、子供たちのヒーローとなりました。
桃太郎は「孫悟空」を読んでいました。
「・・・猿ほしい!」
桃太郎は無性に猿を飼いたくなり、探し続けていました。
そして何と、猿蟹合戦に敗れ、ウスで潰されている猿を見付けました。
「愚かなる猿よ・・・私が新しい力をやろう」
桃太郎はウスをどけて猿を助け、仲間にしてダンカンと名付けました。
遂に三匹の仲間を揃えた桃太郎は、残りのきびだんごを全てぶちまけます。
そして仲間の誓いとして、それを皆で食べました。
「・・・んぐっ」
あまりのマズさに、四人はまとめて倒れ、病院送りにされて絆が深まりました。
「(ババァ・・・殺す!)」
桃太郎はおばあさんを恨みました。
こうして桃太郎たちは運命的な出逢いを果たしました。
そして桃太郎の愛のムチによって、三匹は人間語と風・炎・水を操る力を得ました。
彼らは鬼ヶ島へと向かいます・・・
(「リンゴ太郎」へ続く)