異能者カドワキ・タケハル 01
テスト結果の解析はどちらにしても翌月以降になる。
しかし、サンライズはすでに部屋で報告書原稿のタイプを進めていた。
出来上がったものをシヴァの部屋に持っていって、プリントアウトを頼む。
シヴァはサンライズを待っていた。
画面を指し示して
「こんなん出ましたケド」
とみせる。
サンライズは彼の端末の前に腰をおろし、画面のデータを読んだ。
「どこで手に入れた?」
静かに聞く。
「アクシオのパスワードを手に入れた」
つまり、あの組織の内部データだという。
3年前の調査以降、この集落に対しては特に動きはなかったはずなのに、アクシオは調査の半年後、極秘でカドワキ・タケハルつまり大倉健治に接触し、個別にテストを行っていた。
「ケンジはどこかに入社後、軽井沢で研修をしたらしいよ」
彼の履歴もとれたらしく、シヴァは一覧を出してみせた。
高校卒業後、いったんはどこかに就職したらしいが、2ヶ月もしないうちにそこを辞め、その後はさまざまな仕事を転々としていた。
テストの結果は、最初の勤め先での研修結果の中に入っていた。
『 カドワキ・タケハル 18 男 調査期間5日 』
「これ……ESPカードのテストだな」
どうも、アクシオの息のかかった会社に拾われてしまったようだった。
予め100枚のカードが伏せられた図が1シートになった状態で、彼の前に提示される。
1回のテストで、5シートずつ、つまり500枚のカードの図柄を当てる、という内容だった。
パスをしてもいいという条件でテストされた、と記載されていたが、彼は几帳面にすべての図柄を答えていた。
「これによると、的中率は普通20パーセントということになる。彼の的中率は1回目は17.6パーセント」
2回目、3回目もそんな感じだった。
所要時間をみてもほぼ即答に近かったのだろう。
みた感じでは当てずっぽうの域を出ていなかった。
4日間、似たり寄ったりのデータ状況が続いている。
そして最終日。
「最終日は、外で1日体を動かしたらしいな、研修生テニス教室とウォーキング終了後、とある」
かなりヘトヘトだったらしく
「疲労のため3回目で中断」
と記録にあった。
この時の2回分の成績が、突出していた。
なんと、正答率84パーセントだった。




