なぜ君がここにいる
少しはキラクな仕事だと、たかをくくっていた。
長野県、上田市。
JR上田駅前にある東峰ホテルの前で、それでもサンライズ・リーダーは額に縦じわを寄せていた。
「で、どうしてオマエがここにいる」
目の前には、シヴァが大きなデイバッグを背負って立っていた。
まだ、『上田 UEDA』と書かれた段ボールの切れはしを脇に抱えている。
「シブチョウが、いった」
彼はきれいな日本語でこう言った。
「シヴァ、きみはちょっと日本全国、いろいろ見てくるといいよ。って」
「それでいきなり、上田かよ。何か恨みでもあるのかオレらに」
「知り合いがいるほうが、いいと思って」
「オレたちは、仕事なんですけれども」後ろのボビーも、うんうんとうなずいている。
「気にしないよ」おーれーがぁ、気にするんだ。サンライズは心の中で思い切り突っ込む。
「それよかリーダー」
シヴァは、デイバッグの上から何やら丸い容器を出して言った。
「ダンプにのせてもらった。うんてんの人、ヨコカワで、これうまいよって買ってくれたよ。ええと」
か、め、む、し。だってさ。ところでリーダーたちは、どこに泊まるの?
彼は泣く泣くシヴァを連れ、もう一度ホテルに戻った。