二人
なにかしっくりいきませんねぇ?という事でかなり反省。少しだけ書き直しました。
どうしてこんな事になったんだろう?
と俺は首を捻っていた。
目の前を歩いているのは男だ。メル村から離れて早5日。寡黙と言うか、暗いというか。とにかくこの男ーーユウトと行動を共にしていた。
……。
半ばあのテイカに売られるようにして。いやまぁ、『依頼を果たせるから』と言う甘い誘惑つきだが。世の中そんなに上手く行くものだろうか?
それにあの女なんか企んでやがる。
俺は溜息一つ。
それにしてもそろそろシンドイこの空気。
「なぁ。いい加減なんかさぁ?」
金髪碧眼。スラリとした姿態。何度も言うが俺よりは劣る端正な顔立ち。先程からすれ違う女が振り向いていく。まぁ、俺が笑いかけると、あからさまに嫌な顔をするのだけれど。
因みに俺に振り向いて『楽しげな言葉』をくれるのは男だ。
ムカツクことに。奴らには俺の憂さ晴らしに付き合ってもらうが。
「なんだ?」
「……いや。よく俺と行くことを決めたな、と思って。俺は敵だろ?」
まさか応えるとは思っていなかった。奴も黙って歩く事に飽きたのだろうか?男は、表情を変えず俺を見た。
「勿論だ。どうせ未だ姫様の命を狙って居るのだろう?貴様を倒したり、撒いても新たな奴が来るなら扱い易そうなお前の方がいい。」
「……」
バレてるし。いや、そんなことより。
落ち着け。俺。今すぐ縊り殺したいが落ち着け。と言い聞かせる。何故ならばこいつ倒したらコイツを使って(俺を含めて)何かしら企んでいるテイカに本気で殺される。俺は震える拳を握り潰した。
あまりにも悔しくて笑っていたのかもしれない。ユウトは不審そうに眉を潜めている。
「そんなことより、本当に首都に姫さまが?」
俺たちーー正確にはユウトのみーーは直ぐに村を出て姫様を追ったが、馬で去ったらしくもう姿は無かった。馬を調達しようとしてもあの村には馬が居ない。いても農耕用、脚の太い馬ばかりだ。
絶望に苛なまれている彼に無責任にも『首都にいるわよ』となぜか自信有りげに言ったテイカを信じてここに居る。
確かに、今はアルドルの特使が来ていると聞いたことがあるが……本当だろうか?
「多分。馬だと昨日には付いているはずだ。」
このまま行けば明日には俺たちにも着くだろう。寝ずに歩けばだが。
ついでに言うと、移動用の馬は極端に少くーーほとんど軍部が押さえているーー移動はほぼ、歩きだ。
疲れてるのに。
それにしても……やりそうで嫌だ。泣きそう。とにかくテイカとエルには後で、いろいろ奢って貰おう。うん。
「分かった。」
男は真面目な顔で小さく言うとまた、すたすた歩きだした。
と言うか姫様に対しておどおどしていた彼は何処に行ったのだろう?




